塔の心臓
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、
白の塔編の中でもかなり重要な回です。
今まで積み上げてきた謎が、
少しずつ繋がり始めます。
黒騎士。
霧喰い。
白の巫子。
全部が一本の線になっていく回です。
そして今回、
レンはいつも以上に叫びます。
それでは、第61話。
よろしくお願いします。
ドクン。
ドクン。
ドクン。
塔全体が脈打つ。
「いやいやいやいや」
レンは後退した。
「聞いてない聞いてない」
「レン落ち着いて」
ミアが言う。
「いや壁が心臓みたいに動いてるんだけど!?」
普通に怖い。
むしろ怖くない方がおかしい。
すると。
セレナが静かに塔の奥を見た。
「もう目覚め始めてる」
「だから何が」
レンが聞く。
セレナの表情は重かった。
「この塔は生きている」
「知ってた!!」
レンが即答した。
「もう隠す気もないじゃん!」
セレナは少しだけ苦笑する。
でも。
その目には笑いがなかった。
「正確には」
彼女は塔の壁へ手を触れる。
「これは巨大な封印」
静寂。
フィオが目を細めた。
「封印……」
「昔、この世界にいた“災厄”を閉じ込めるためのもの」
空気が変わる。
レンは嫌な予感しかしなかった。
「待って」
「うん」
「それ絶対ラスボス」
「たぶんそう」
セレナが頷いた。
認めるんだ。
「じゃあ黒騎士とか霧喰いは?」
ミアが聞く。
セレナは静かに答える。
「封印が弱った時に漏れ出したもの」
全員が黙る。
つまり。
今まで戦ってきた奴ら。
全部。
本体じゃない。
「……うわぁ」
レンが遠い目になった。
「俺たち今まで前座と戦ってたの?」
「うん」
「帰りたい」
本日二回目である。
すると。
ドクン。
また塔が脈打った。
同時に。
リオンが苦しそうに胸を押さえる。
「っ……」
「リオン!?」
レンが支える。
冷たい。
顔色も悪い。
「大丈夫か!?」
「……だいじょばない」
全然大丈夫じゃなかった。
フィオもすぐ近づく。
「リオン」
「塔が……呼んでる」
静かな声。
でも苦しそうだった。
セレナが目を伏せる。
「白の巫子は塔と繋がっている」
「……最悪」
リオンが吐き捨てる。
「ほんと最悪」
その時。
塔の奥から声が響いた。
低い声。
男とも女とも分からない。
『――見つけた』
全員が凍る。
空気が重い。
呼吸しづらい。
レンは本能で理解した。
まずい。
今までと違う。
本当に。
桁が違う。
『白の巫子』
声が笑う。
『ようやく見つけた』
その瞬間。
塔の奥。
巨大な黒い目が開いた。
「…………」
「…………」
「…………」
数秒の沈黙。
そして。
「ぎゃああああああああ!!!!!」
レンが叫んだ。
全力で叫んだ。
「目ぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
普通に怖かった。
巨大だった。
意味が分からないくらい。
フィオですら顔が強張っている。
ミアも剣を握る手に力が入る。
リオンは歯を食いしばった。
そして。
その巨大な目は。
真っ直ぐリオンだけを見ていた。
第61話、ありがとうございました。
ついに出ました。
巨大な目。
ホラーです。
完全にホラーです。
レンじゃなくても叫びます。
今回のポイントは、
「今までの敵は前座だった」
ということ。
黒騎士も。
霧喰いも。
全部、
封印の隙間から漏れ出したもの。
つまり本体は、
まだ封印の奥にいる。
かなり絶望的です。
そして今回、
リオンと塔の繋がりもはっきりしてきました。
塔はずっと、
リオンを探していた。
だから兵士たちも追ってきた。
だから王家も手放さなかった。
でも。
リオンはずっと逃げてきた。
それが今回、
ついに追いつかれた形になります。
あと今回好きなのは、
「大丈夫か!?」
「だいじょばない」
です。
かなりシリアスな場面なのに、
リオンらしさが残っている気がします。
そしてレン。
今回も一番正常な反応をしています。
巨大な目が出てきたら、
普通は叫ぶ。
たぶん読者の皆さんも叫ぶ。
そして最後。
巨大な目は、
リオンだけを見ていました。
次回、
ついに塔の“心臓”へ近づいていきます。
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