塔は呼んでいる
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、
“白の塔”へ向かう前夜の回です。
大きな戦いの前って、
静かな時間ほど不安になるんですよね。
そして今回、
リオンと塔の繋がりが、
さらに強く見え始めます。
今までの敵とは違う、
もっと根本的な“何か”が動き始めている感じを、
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
そしていつも、
感想・評価・ブックマーク本当にありがとうございます!
一言でもめちゃくちゃ励みになっています。
それでは、第58話。
よろしくお願いします。
夜。
アルセリアは静かだった。
でも。
白の塔だけは違う。
「……光ってない?」
宿の窓から塔を見ながら、レンが言った。
白い塔。
その表面を、淡い光が脈みたいに流れている。
まるで生き物。
「はい怖い」
レンは即座にカーテンを閉めた。
「最近ずっと怖いしか言ってない」
ミアが呆れた顔をする。
「怖いもんは怖いんだよ!」
リオンはベッドへ寝転がったまま、
ぼんやり天井を見ていた。
いつもならここで茶化す。
でも今日は静かだ。
レンは少し迷ってから、隣へ座る。
「……リオン」
「ん?」
「その……
大丈夫?」
「またそれ聞く?」
リオンが小さく笑う。
でも。
やっぱり少し疲れた顔をしていた。
「まあでも」
リオンは目を閉じる。
「正直、来ると思ってたんだよね」
「え?」
「塔が開いた時点で、
たぶん逃げ切れないって」
静かな声。
レンは何も言えなかった。
すると。
コンコン。
扉が叩かれる。
「……はい?」
レンが開ける。
そこにはゼクトが立っていた。
「失礼します」
相変わらず空気が重い。
ゼクトは部屋へ入ると、
静かにリオンを見た。
「……姫様」
「その呼び方やめろって」
「失礼」
即修正した。
ちょっと面白い。
でもゼクトの顔は真剣だった。
「明日、塔へ入ります」
空気が変わる。
「内部調査は我々も同行しますが、
おそらく最深部までは行けない」
「……リオンだけ行けるってこと?」
レンが聞く。
ゼクトは頷いた。
「塔は“拒絶”します」
「適性の低い者ほど深く進めない」
「クソダンジョンすぎる……」
リオンが死んだ目で呟いた。
するとゼクトは一瞬だけ黙り。
それから静かに言った。
「本来なら、
あなたを巻き込むべきではない」
「……」
「ですが今の塔は危険です」
「放置すれば、霧喰いのような存在がさらに増える」
リオンは帽子のつばを掴む。
沈黙。
長い沈黙だった。
そして。
「……行くよ」
小さな声。
レンたちが顔を上げる。
「リオン」
「でも一人じゃ行かない」
リオンはレンたちを見る。
「お前ら連れてく」
「うわ巻き込まれ確定した」
レンが真顔で言った。
ミアが吹き出す。
フィオも少しだけ笑っている。
その空気を見て。
リオンも、
少しだけいつもの顔に戻った。
「まあでも」
リオンが肩をすくめる。
「一人で行くよりは怖くないし」
その言葉。
レンは少しだけ嬉しかった。
すると。
ゴォン――。
また鐘の音。
塔の光が強くなる。
同時に。
リオンの身体が僅かに震えた。
「っ……!」
「リオン!?」
レンが支える。
リオンは苦しそうに塔を見た。
「……呼ばれてる」
静かな声。
でも。
今までで一番、
怖そうな顔だった。
第58話、ありがとうございました。
今回は、
塔突入前の静かな回でした。
でもたぶん、
かなり不穏です。
特に最後。
リオンが
「呼ばれてる」
と感じたシーン。
白の塔は、
ただの建物じゃありません。
もっと、
意思に近い何かです。
そして今回、
リオンが初めて
「行く」
と自分で決めました。
昔みたいに、
誰かに“姫”として命令されたからじゃない。
“リオン”として、
仲間と一緒に行く。
そこがかなり大きい変化だと思っています。
あと今回好きなのは、
「一人で行くよりは怖くないし」
です。
このパーティ、
恋愛感情だけじゃなく、
ちゃんと“居場所”になってるんですよね。
だからリオンも、
昔より少しだけ弱音を出せるようになっています。
そしてレン。
相変わらず巻き込まれ体質です。
でも、
ちゃんとリオンを支えに行くところ、
かなり相棒してます。
そしてついに次回、
白の塔へ突入です。
絶対に平和では終わりません。
もし楽しんでいただけたら、
ぜひ感想・評価・ブックマークなどいただけると嬉しいです!
皆さんの反応、
本当に力になっています。
次回もよろしくお願いします。




