塔へ行く前に事件起きがち
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、
ついに“リオンの違和感”が動き始める回です。
今まで少しずつ積み上げてきた伏線が、
ここで一気に空気を変えます。
でもこの作品なので、
シリアスだけじゃ終わりません。
……レンは相変わらず混乱しています。
それでは、第55話。
よろしくお願いします。
「よし」
レンは新品の剣を腰へ装着した。
「準備完了!」
「死亡フラグっぽい言い方やめて」
リオンが即ツッコミする。
現在。
白の塔攻略前日。
レンたちは広場で装備確認をしていた。
フィオは魔法触媒を調整中。
リナは剣の手入れ。
リオンは荷物整理。
そしてレンは。
「なんか主人公っぽい!」
「単純だなぁ……」
ミアが呆れた顔をした。
でも少し笑っている。
すると。
「レン」
「ん?」
フィオが近づいてくる。
「これ」
小さな銀色の石。
「お守り」
「え」
「塔の魔力、嫌な感じするから」
レンは目を丸くした。
「……くれんの?」
「うん」
フィオは少しだけ視線を逸らす。
「無茶するから」
「信用なっ!?」
「実績ある」
「否定できない……」
リオンが吹き出した。
「レン、完全に保護対象じゃん」
「おかしいな、
俺男主人公なんだけど」
「百合に守られる主人公」
「字面終わってる!!」
その時だった。
広場の奥。
ざわめき。
「……?」
レンたちが振り向く。
人混み。
その中心。
銀色の鎧。
王都騎士団だった。
しかも。
「……っ」
リオンの顔色が変わる。
騎士たちは何かを探している。
周囲を見回しながら歩いていた。
「おい、リオン?」
「……行こ」
小さい声。
珍しく焦っていた。
「今すぐ」
その瞬間。
「――お待ちください」
低い声。
空気が止まる。
一人の騎士が、こちらを見ていた。
鋭い目。
年上の男。
そして。
その視線は。
真っ直ぐリオンへ向いていた。
「……やば」
リオンが小さく呟く。
「え?」
レンが振り向く。
騎士がゆっくり近づいてくる。
「その方を」
低い声。
「こちらへ」
空気が、一瞬で変わった。
ミアが前へ出る。
「……どういう意味?」
騎士は答えない。
ただリオンを見る。
その目。
明らかに、
“知っている”目だった。
レンの背筋が冷える。
「リオン?」
「……」
リオンは数秒黙って。
そして。
笑った。
いつもの軽い笑顔。
でも。
レンには分かった。
今、
無理やり笑ってる。
「悪いけど」
リオンが静かに言う。
「俺、そっち行く気ないんだよね」
騎士の目が細くなる。
「……姫様」
静寂。
「…………は?」
レンが固まる。
ミアも止まる。
フィオだけが、
静かにリオンを見ていた。
リオンは目を閉じる。
「……最悪」
その声だけが、
やけに小さかった。
第55話、ありがとうございました。
ついに言われました。
「姫様」
です。
ここ、
かなり前から少しずつ伏線を積んでいました。
* 女の子に間違われる
* 兵士を見ると空気が変わる
* 王家の紋章への反応
* 顔立ちが整いすぎている
全部、
ここへ繋がっています。
そして今回大事なのは、
リオンが“否定しなかった”こと。
つまり、
完全な間違いではない。
でも同時に、
本人はかなり嫌がっています。
あの
「……最悪」
には、
かなり色んな感情が入っています。
あと今回、
フィオだけがそこまで驚いていません。
この子、
たぶん結構前から気づいてました。
観察力が高いので。
そしてレン。
完全に脳が止まっています。
そりゃそう。
一緒に百合実況してた男友達が、
突然「姫様」呼ばわりされたので。
次回、
ついにリオンの過去へ少し触れていきます。
そしてもちろん、
レンはめちゃくちゃ混乱します。
次回もよろしくお願いします。




