主人公、全力で逃げる
いつも読んでいただきありがとうございます。
ついに第50話です!
ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。
今回は、
霧喰いとの戦いの決着回。
ホラー。
全力疾走。
主人公のおとり作戦。
そして最後はなぜかラブコメ。
かなりこの作品らしい回になった気がします。
それでは、第50話。
よろしくお願いします。
「……よし」
レンは剣を握り直した。
霧の奥。
無数の霧喰い。
そして、その中心にある赤黒い“核”。
正直。
行きたくない。
めちゃくちゃ怖い。
「レン」
フィオがまだ手を握っていた。
少し冷たい指。
「……絶対戻る」
レンが言う。
「たぶん」
「“たぶん”付けないで」
ミアが即ツッコミした。
リオンは真顔だった。
「死亡フラグが雑すぎる」
「だって怖いんだよ!!」
本音である。
すると。
霧喰いたちがまた笑った。
ケタケタケタ。
「ほらぁ!!
なんか笑ってるし!!」
「レン、今」
フィオが霧を見る。
「かなり狙われてる」
「聞きたくなかった情報!!」
レンは半泣きになりながら剣を構えた。
そして。
「うおおおおおお!!」
全力疾走。
同時に。
霧喰いたちも一斉にレンへ向かった。
「ほんとに全部来たぁぁぁ!!?」
「レン走れぇぇ!!」
ミアの声。
レンは泣きそうな顔で石畳を駆ける。
後ろから大量の笑い声。
怖い。
無理。
帰りたい。
「なんで異世界転生してホラー鬼ごっこしてんだよぉぉ!!」
曲がり角を飛び込む。
直後。
壁から霧の腕。
「うわぁぁぁ!?」
レンはスライディングで回避した。
そのまま転がる。
「痛っっ!!」
でも止まれない。
霧喰いたちが迫ってくる。
その時。
「レン、今!!」
フィオの声。
レンが振り向く。
霧喰いたちが完全にレンへ集中していた。
つまり。
核が、空いた。
「ミア!!」
「任せて!!」
ミアが駆ける。
一瞬で霧を切り裂き、核へ向かう。
しかし。
ぐちゃり。
核の周囲から巨大な腕が生えた。
「っ!?」
ミアが目を見開く。
「ミア!!」
レンは反射的に叫んだ。
巨大な腕が振り下ろされる。
間に合わない。
そう思った瞬間。
「邪魔」
銀色の光。
フィオの氷魔法が巨大腕を凍らせた。
その隙に。
ミアが剣を振り抜く。
「はぁぁぁぁっ!!」
轟音。
赤黒い核へ、刃が叩き込まれる。
ピシッ。
亀裂。
次の瞬間。
街全体へ、悲鳴みたいな音が響いた。
『――――ッ!!!』
「うわ耳痛ぁぁ!!」
レンがしゃがみ込む。
霧喰いたちの身体が崩れていく。
霧が暴走する。
視界が真っ白になる。
「レン!!」
誰かの声。
次の瞬間。
レンの身体が強く引っ張られた。
「うわっ!?」
そのまま倒れ込む。
柔らかい感触。
「……え?」
目を開ける。
すぐ目の前。
ミアの顔。
「……っ!!?」
「よかった……」
ミアが息を吐く。
どうやら庇われたらしい。
距離が近い。
めちゃくちゃ近い。
「ミ、ミアさん!?」
「何!?」
「顔近い!!」
「今それ言う!?」
すると。
その上から。
ぎゅっ。
「……レン、生きてる」
フィオだった。
「重っ!?」
完全に三人重なっていた。
リオンが少し離れた場所で爆笑している。
「ははっ!!
何そのラブコメみたいな体勢!!」
「笑ってないで助けろ!!」
霧は少しずつ晴れていく。
そして。
街へ、静寂が戻った。
「……終わった?」
レンが呟く。
フィオが小さく頷く。
「たぶん」
「その“たぶん”怖いんだよなぁ……」
レンは空を見上げる。
霧の向こう。
月が、少しだけ見えていた。
第50話、ありがとうございました。
ついにアルセリア編、
ひとまず決着です。
今回のレン、
たぶん人生で一番必死に走ってました。
しかも後ろから、
顔のない怪物が大量に追ってくる。
普通に悪夢です。
でもそんな中でも、
「仲間のために前へ出る」
ところが、
やっぱりレンらしいんですよね。
そして今回、
リナとフィオの連携もかなり強かったです。
フィオが止めて、
ミアが斬る。
この二人、
戦闘面でもどんどん噛み合い始めています。
あと最後。
完全にラブコメ事故でした。
レン、
たぶん人生で一番「近い近い近い!!」ってなってます。
リオンは楽しそうでした。
そして、
霧が晴れたことで、
アルセリアの“本当の異変”も少しずつ見えてきます。
黒騎士。
霧喰い。
そして裏で動いている何か。
物語は、
ここからさらに大きくなっていく予定です。
……でもギャグと百合は消えません。
次回もよろしくお願いします。




