ホラー耐性ゼロ主人公
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、
かなりホラー寄りです。
霧。
分断。
顔のない怪物。
そして、
ホラー耐性ゼロの主人公。
怖い空気の中でも、
レンだけずっと騒がしいので、
シリアスなのかギャグなのか分からない回になりました。
でも、
このパーティらしさはかなり出ている気がします。
それでは、第47話。
よろしくお願いします。
「うわぁぁぁ来たぁぁぁ!!?」
レンの叫びが夜の霧へ響いた。
霧喰い。
それは、人の形をしていた。
でも、人間じゃない。
顔がない。
なのに笑っている。
しかも。
走ってきた。
「速っっっ!?」
レンは半泣きで後退する。
「レンうるさい!!」
ミアが叫びながら剣を抜いた。
霧喰いの腕が伸びる。
ぐにゃり、と。
「うわ伸びた!!!
今絶対伸びた!!」
「実況しなくていいから!!」
ミアが斬りつける。
しかし。
剣が霧を裂いただけだった。
「え!?」
手応えがない。
霧喰いは笑ったまま、後ろへ滑る。
気持ち悪い動き。
「……物理効きにくい」
フィオが静かに分析する。
その間にも霧喰いが動く。
今度は。
レンへ。
「なんで俺ぇぇぇ!?」
「主人公だからじゃね?」
リオンが普通に言った。
「こんなホラーイベントの主人公嫌だ!!」
霧喰いの腕が迫る。
レンは反射的に剣を振った。
ガキィン!!
「……え?」
今度は弾けた。
霧が散る。
霧喰いが初めて後退する。
「レン?」
ミアが驚く。
レンも驚いていた。
「な、なんで俺だけ当たった?」
するとフィオが目を細める。
「レンの剣……黒騎士の魔力残ってる」
「は?」
意味が分からない。
でも。
霧喰いは明らかにレンを警戒していた。
「うわ嫌だ!
なんか主人公みたいな設定生えてきた!!」
「今さら?」
リオンが真顔だった。
すると霧喰いが低く唸る。
空気が震える。
次の瞬間。
霧が街中へ広がった。
「っ……!」
視界が真っ白になる。
「レン!?」
リナの声。
「フィオ! リオン!」
返事がない。
まずい。
「ちょ、こういう分断イベント嫌なんだけど!?」
レンは慌てて周囲を見る。
でも何も見えない。
霧だけ。
静かすぎる。
「……レン」
「うわぁぁぁ!?」
真後ろから声。
レンが飛び上がる。
振り向く。
フィオだった。
「びっくりした……」
「ごめん」
「いや今の環境で急に後ろ立つの禁止!!」
フィオは少しだけ不思議そうだった。
すると。
ぎゅっ。
「!?」
袖を掴まれる。
「……離れると危ない」
フィオの声は静かだった。
でも少しだけ強張っている。
珍しい。
「フィオ、怖いの?」
「……少し」
レンは目を丸くする。
フィオでも怖がるんだ。
その瞬間。
霧の奥で、笑い声がした。
ケタケタケタ。
「うわ無理無理無理!!」
レンが即座に半泣きになる。
フィオは袖を掴む力を少し強くした。
「レン」
「な、なに」
「逃げないで」
「逃げたい気持ちはある!!」
すると。
霧の向こうから声。
「おーい!!
レン生きてるー!?」
リオンだった。
「リオン!!」
「お前の悲鳴めちゃくちゃ聞こえるから助かる」
「最悪!!」
でも少し安心する。
その時。
ミアの叫び声が響いた。
「っ――レン!!」
声が、近い。
でも。
どこか焦っていた。
レンたちの空気が変わる。
「……今の」
フィオの瞳が細くなる。
「ミア、危ない」
第47話、ありがとうございました。
ついに霧喰いとの初戦闘でした。
今回の敵、
“強い”というより、
本当に気持ち悪い。
動きも、
笑い方も、
全部「理解できない怖さ」を意識しています。
そして今回、
レンのホラー耐性の低さが完全に露呈しました。
たぶんこの世界で一番叫んでます。
でも面白いのは、
そんなレンの悲鳴が、
逆に仲間の位置確認に役立ってるところなんですよね。
ある意味すごい才能。
あと今回、
フィオが少し怖がっている描写を入れました。
この子、
基本かなり冷静なんですが、
“得体の知れないもの”は苦手寄りです。
だから無意識にレンの袖を掴んでいます。
そして最後。
ミアの声。
明らかに何か起きています。
次回、
霧の中でミアが何を見たのか、
そして霧喰いの正体に少し近づいていきます。
……レンの悲鳴もたぶん増えます。
次回もよろしくお願いします。




