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俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?  作者: 星恋 hosiko


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43/67

ラスボスよりも怖いもの

いつも読んでいただきありがとうございます。


今回は、

戦いのあとの“いつもの空気”回です。


命がけの戦闘をした直後なのに、

このパーティは相変わらず騒がしい。


でもその空気があるからこそ、

「ちゃんと生きて帰ってこられたんだな」

という安心感も出ている気がします。


そして今回は、

黒騎士の残した不穏さも少しずつ見え始めます。


それでは、第43話。

よろしくお願いします。

 黒騎士との戦いから一夜。


 宿は静かだった。


「……いてぇ」


 レンは肩を押さえながら起き上がる。


 昨日の傷。


 応急処置はしたけど、普通に痛い。


「レン、起きた?」


 隣から声。


 フィオだった。


 ベッドの横に椅子を置いて座っている。


「え、ずっといたの?」


「うん」


「なんで!?」


「心配だったから」


 真顔だった。


 レンは一瞬言葉に詰まる。


 すると反対側から。


「私もいたけど」


 ミアがむすっとした顔で出てきた。


「うわっ!?」


「うわって何!?」


 どうやら二人とも看病していたらしい。


 レンはゆっくり周囲を見る。


 机には薬。

 水。

 包帯。


 しかも妙に丁寧に整理されている。


「……え、これ全部?」


「フィオがほとんどやった」


「ミアもやった」


「ちょっとだけ!」


 ミアが顔を赤くする。


 その様子を見て、レンは小さく笑った。


「……ありがとな」


 一瞬。


 二人とも止まる。


 それから。


「……うん」


「別に普通だし」


 反応が真逆だった。


 するとその時。


 ガチャッ!!


 勢いよく扉が開く。


「レン生きてるかー!?」


「うるっさ!?」


 リオンだった。


 朝からテンションが高い。


「いやぁ安心した!

 死んでたらこの百合を誰と共有すればいいのかと」


「最低な心配の仕方するな」


 ミアが呆れた顔をする。


 リオンはケラケラ笑いながら椅子へ座った。


「でもマジで危なかったよな昨日」


「……まあな」


 レンは少し真面目な顔になる。


 黒騎士。


 あれは今までと格が違った。


 しかも最後まで、

 “誰かの意思”みたいなものを感じた。


「なあフィオ」


「なに」


「あれ、魔王とか?」


「違うと思う」


 即答だった。


 フィオは少し考えるように目を伏せる。


「もっと嫌な感じ」

「誰かが、何かを探してるみたいだった」


 部屋の空気が少し静かになる。


 レンは喉を鳴らした。


 嫌な予感。


 この旅、

 思ったより大きな話に巻き込まれてる気がする。


 すると。


「でもまあ」


 リオンが突然言った。


「昨日一番怖かったの、黒騎士じゃなかったけどな」


「……は?」


 レンが眉をひそめる。


 リオンは真顔だった。


「レン斬られた瞬間のリナ」


「やめろ」


「あと静かにキレてるフィオ」


「やめて」


 レンは真剣に止めた。


 あれは怖かった。


 本当に。


 ミアは真っ赤になる。


「だ、だってレン傷ついたし……!」


「うん」


「うんじゃない!!」


 フィオは小さく首を傾げた。


「大事だから怒った」


「さらっと重い!!」


 レンが叫ぶ。


 リオンは腹を抱えて笑っていた。


「いやほんと、

 黒騎士かわいそうだったな」


「なんで敵側に同情してんだよ」


「だってあいつ、

 “百合を怒らせる”っていう最大のミスしたし」


 レンは少し考えて。


 そして静かに頷いた。


「……確かに」


「レンまで!?」


 ミアが絶叫した。


 でも。


 その騒がしい空気が、少し嬉しかった。


 昨日まで、

 本当に死ぬかもしれなかったから。


 レンは窓の外を見る。


 街には、いつもの朝が戻っていた。


 だけど。


 黒騎士が残した不穏さだけは、

 まだ胸の奥に残っていた。

第43話、ありがとうございました。


戦闘後回でした。


こういう、

“戦いのあとにみんなでわちゃわちゃする回”

個人的にかなり好きです。


特に今回は、

レンがちゃんと「守られていた側」でもあった回ですね。


ミアとフィオ、

完全に看病モード入ってました。


そしてリオン。


この男、

もう完全に

「百合実況席」

になっています。


たぶん一番楽しそうです。


あと今回大事なのは、

黒騎士が“魔王っぽくない”こと。


ただ暴れる敵ではなく、

何か目的を持って動いている。


このあたりから、

物語の裏側が少しずつ見え始めていきます。


……でも安心してください。


シリアスになっても、

レンたちの空気はたぶんずっとうるさいです。


次回もよろしくお願いします。

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