脇役の一撃
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は、
レンが真正面から
「お前は脇役だ」
と突きつけられる回です。
この作品のレンは、
最強でも勇者でもありません。
だからこそ、
“何のために戦うのか”
が大事になっていきます。
そして今回、
リオンがかなり良い男してます。
それでは、第41話。
よろしくお願いします。
ミアの剣が、黒騎士を吹き飛ばした。
轟音。
建物の壁が崩れる。
「やっば……」
レンが引いた。
「火力どうなってんだよ……」
「今それ言う!?」
ミアが叫ぶ。
でもその顔は、まだ険しい。
黒騎士は瓦礫の中から立ち上がる。
身体の黒い霧が、少しだけ薄くなっていた。
『……理解不能』
低い声。
『なぜそこまで抗う』
「だから言ってんだろ!」
レンが剣を向ける。
「仲間守るためだって!」
『仲間』
黒騎士がその言葉を繰り返す。
すると。
黒い霧が、ゆらりと揺れた。
『脆い感情だ』
次の瞬間。
空気が変わる。
「っ!!」
フィオが目を見開く。
「レン下がって!!」
遅かった。
黒騎士の剣が、目の前に来ていた。
「うおっ!?」
ギリギリで受ける。
重い。
腕が軋む。
「レン!!」
ミアが駆ける。
だが。
『遅い』
黒騎士の蹴り。
「がっ……!!」
レンの身体が吹き飛んだ。
石畳を転がる。
「レンぇぇぇ!?」
リオンが叫ぶ。
痛い。
息ができない。
でも。
「……っ、まだ」
立ち上がろうとする。
その時だった。
『なぜ立つ』
黒騎士がレンを見る。
『お前は脇役だ』
「……」
『勇者でもない』
『選ばれた者でもない』
黒い声が響く。
『お前が戦う意味はない』
その言葉。
胸の奥へ沈む。
痛いくらい分かってしまう。
俺は特別じゃない。
フィオみたいに魔法の才能もない。
ミアみたいに強くもない。
主人公っぽいのは、
たぶんミアたちのほうだ。
「レン!!」
リオンが駆け寄る。
「立てるか!?」
「……まあ、なんとか」
「なんとかに見えねぇよ!」
リオンが肩を貸してくる。
レンは小さく笑った。
「……なあリオン」
「ん?」
「俺さ」
「うん」
「主人公向いてないらしい」
「今さら?」
「ひどっ!?」
戦闘中なのに、
リオンは真顔だった。
「でもまあ」
リオンが黒騎士を見る。
「お前、そういうとこだろ」
「……え?」
「ビビっても前出るし」
「才能なくても突っ込むし」
リオンは肩をすくめた。
「俺、結構そういう主人公好きだけど」
「っ……」
レンが目を見開く。
その瞬間。
後ろからフィオの声。
「レン」
振り向く。
フィオとミアが並んでいた。
「何もない人は」
フィオが静かに言う。
「仲間守るために動けない」
ミアも頷く。
「レンは、ちゃんと主人公だよ」
「……!」
胸が熱くなる。
黒騎士が剣を構える。
空気が震える。
でも。
もう、さっきみたいに怖くなかった。
レンはゆっくり立ち上がる。
「……聞いたか黒騎士」
『――』
「俺、主人公らしいぞ」
「単純!!」
リオンがツッコむ。
レンは剣を握り直した。
傷だらけ。
腕も痛い。
でも。
「脇役でも何でもいい」
前を見る。
「俺は、こいつらと勝つ」
その瞬間。
黒騎士の身体に、
初めて“揺らぎ”が走った。
第41話、ありがとうございました。
今回のテーマは、
「主人公っぽくない主人公」です。
レンって、
能力だけ見るとかなり普通なんですよね。
怖がるし、
叫ぶし、
無双もしない。
でも、
それでも立ち上がる。
そこを、
リオンやミアたちがちゃんと見ている。
今回の
「俺、結構そういう主人公好きだけど」
は、
たぶんレンが一番救われた言葉だったと思います。
そして黒騎士。
この敵、
ただ強いだけじゃなく、
“心の弱い部分”を見抜いてきます。
でも逆に言うと、
仲間との繋がりが強い相手には、
少しずつ効かなくなっていく。
そこが、
今回黒騎士が揺らぎ始めた理由でもあります。
あと今回、
レンとリオンの男同士の空気感、
かなり好きでした。
百合に挟まれながら、
ちゃんと相棒になってきています。
次回、
ついに黒騎士との決着です。
次回もよろしくお願いします。




