ギルドのみんな、なんか知ってない?
レン、
ついに周囲から現実を突きつけられ始めました。
でも本人はまだ、
「勘違いかもしれない」
を握りしめています。
今回はギルド回です!
冒険者たちの反応をお楽しみください。
冒険者ギルドは今日も騒がしかった。
酒の匂い。
笑い声。
武器のぶつかる音。
異世界って感じがする。
俺たちは依頼達成の報告を終え、
カウンター前に並んでいた。
「はい、角ウサギ討伐確認しました!」
受付嬢が笑顔で書類を返してくる。
「初依頼達成、おめでとうございます!」
「ありがとうございます!」
フィアが嬉しそうに頭を下げた。
ミアはいつも通り静か。
でも少しだけ、
肩の力が抜けてる気がする。
「それにしても」
受付嬢がくすっと笑った。
「皆さん、本当に仲良しですね」
「え?」
俺は反応した。
よし来た。
こういう“周囲から見た関係性”イベント、
ラブコメでは重要だ。
たぶんここで、
「恋人同士みたいですね〜」
とか言われて、
ヒロインが照れるやつ。
もちろん対象は俺。
自然な流れでそうなる。
「特にお二人」
受付嬢はミアとフィアを見た。
…………。
………………ん?
「え、あの」
フィアが慌てる。
「そ、そう見えますか……?」
「すごく」
即答だった。
ミアは無表情のまま視線を逸らした。
耳だけちょっと赤い。
なんで???
俺ここいるんだけど???
「いやいやいや」
思わず口を挟む。
「俺たち、まだ結成したばっかですよ?」
「ええ、ですから初々しくて」
「だからなんで二人を見るんです!?」
受付嬢がきょとんとした。
「……?」
本気で分かってなさそうな顔だった。
怖い。
世界の認識が怖い。
すると近くのテーブルにいた冒険者たちまでニヤニヤし始める。
「お、例の新人三人組か」
「黒髪剣士と聖職者の子、かなりいい雰囲気だよな」
「分かる」
「分かるじゃねぇよ!?」
なんなんだこの世界!?
俺の存在感どうなってる!?
ミアは居心地悪そうに眉を寄せた。
「……見られてる」
「だ、大丈夫だよミア」
フィアが小声で言う。
「気にしなくていいから」
そう言って。
フィアは自然に、
ミアの袖をきゅっと掴んだ。
自然すぎた。
もう呼吸くらい自然。
ミアも振り払わない。
むしろ少しだけ身体を寄せた。
えっ。
待って。
ちょっと待って。
俺の脳内会議が始まる。
『偶然では?』
『いや距離近くない?』
『でも女の子同士って仲良いし』
『いやでもさっき耳赤く』
『考えすぎ考えすぎ』
『でも』
ぐるぐるしていると。
「レンさん」
「はい?」
フィアがこちらを見る。
「今日の報酬、三等分で大丈夫ですか?」
「え? ああ、もちろん」
「よかった」
フィアは安心したように笑った。
その笑顔はちゃんと可愛い。
めちゃくちゃ可愛い。
なのに。
その直後。
「ミア、あとで新しい包帯見に行こ?」
「……うん」
声が柔らかい。
俺に向ける時より、
明らかに。
明らかに。
違う。
俺は静かに椅子へ座った。
隣にいた大柄な冒険者が、
ぽんっと肩を叩いてくる。
「まぁ元気出せ兄ちゃん」
「何を!?」
「人生いろいろある」
「何を察した!?」
冒険者は遠い目をした。
「俺も昔、幼馴染二人組のパーティに入ってな……」
「やめろ経験者みたいな顔するな!!」
ギルド中が笑う。
ミアは呆れた顔をしていた。
フィアは笑いを堪えている。
なんだこれ。
なんなんだこの空間。
でも。
二人が楽しそうなら、
それでいいかとも少し思ってしまう。
……いや良くない。
良くないぞ俺。
まだだ。
まだ俺の異世界ハーレムライフは始まったばかりなんだから。
第4話ありがとうございました!
ギルドの人たち、
だいぶ察しがいいです。
たぶんレンだけが気づいてません。
でもレンは、
ちゃんと二人を大事な仲間だと思い始めています。
だからこそ、
この三人パーティは変にギスギスせず、
少し不思議な距離感になっていきます。
あと大柄冒険者のおじさんは、
たぶん昔いろいろありました。
次回は街探索回!
レンが“デートイベント”だと思い込みます。




