俺たち、このパーティで必要?
いつも読んでいただきありがとうございます。
今回は少しだけ、
“原点”に戻る回です。
この作品、
もともとは
「男主人公がハーレムを夢見ていたら、ヒロイン同士がくっついていく」
というところから始まっていました。
なので今回は、
レン視点をしっかり戻して、
“百合を最前列で浴びる側”の温度感を書いています。
そしてリオンも、本格的に巻き込まれ始めました。
それでは、第35話。
よろしくお願いします。
朝。
宿の窓から差し込む光で目が覚めた。
「……ん」
ぼんやりしながら起き上がる。
隣のベッドを見る。
「…………」
そして俺は静かに天井を見上げた。
なんで?
いや本当に。
なんで自然に抱き合って寝てるの?
銀髪のフィオと、顔を真っ赤にしたまま眠るミア。
距離が近いとかいうレベルじゃない。
完全に恋人だった。
「……夢?」
違う。
昨日ちゃんと見た。
キスしてた。
しかも二回。
俺の目の前で。
「レン、起きてる?」
背後から声。
振り向くと、もう一つのベッドでリオンが半目になっていた。
さらさらの茶髪。
女子みたいな顔。
初対面でミアに「かわいい子!」って言われて、
「男だけど」って返した瞬間空気を止めた男である。
「……起きてる」
「俺、まだ夢見てる気がする」
「分かる」
男二人、遠い目。
焚き火を囲んでいた頃を思い出す。
あの頃はまだ普通だった。
たぶん。
いや、怪しかったけど。
「……なあレン」
「なんだよ」
「俺たち、このパーティで必要?」
「やめろ」
朝から重い。
でも否定できない。
最近の俺たちの役割、
“百合を最前列で見守る男”
しかない気がする。
すると。
「……レン」
ベッドのほうから小さな声。
フィオが目を開けていた。
「おはよ」
「お、おう……」
普通に返したけど、
お前その状態で言うんだ。
ミア抱きしめたままなんだが?
「……っ」
その瞬間、ミアも目を覚ます。
数秒後。
状況を理解したらしい。
「〜〜〜〜〜〜っ!!?」
布団の中に消えた。
「おはようミア」
「おはようじゃないから!!」
真っ赤な声だけ飛んでくる。
フィオは少し首を傾げる。
「なんで隠れるの」
「レンとリオンいるから!!」
「昨日いたよ?」
「そういう問題じゃないの!!」
俺とリオンは静かに顔を見合わせた。
「……レン」
「なんだ」
「俺、最近分かってきた」
「何を」
「百合って、見る側になると破壊力やばい」
「分かる」
妙に深い共感が生まれる。
するとフィオが不思議そうな顔をした。
「百合?」
「フィオは知らなくていい」
俺は真顔で言った。
絶対知らないままでいてくれ。
その純粋さが怖い。
ミアはまだ布団に埋まっている。
耳まで赤い。
「……ミア」
フィオが静かに呼ぶ。
「な、なに……」
「かわいい」
「っっっ!!?」
再び布団の奥へ消えた。
俺とリオンはまた静かに空を見上げる。
「……レン」
「……なんだ」
「ハーレムルート、どこで分岐ミスったんだろうな」
「たぶん最初から」
異世界転生。
美少女二人との旅。
男なら一度は夢見る展開。
……だったはずなのに。
現実は。
俺たち男二人、
今日も百合を浴びながら生きている。
第35話、ありがとうございました。
ついに、
「男二人が百合を見守る構図」
が完成しました。
レンだけだと“脳破壊”寄りでしたが、
リオンが入ったことで、
ツッコミと共感が増えてかなり空気が軽くなった気がします。
特に、
「俺たち、このパーティで必要?」
は、
今の男側の全てを表している台詞でした。
でも面白いのは、
レンもリオンも、
本気で二人を嫌がれないところなんですよね。
むしろ、
尊すぎて見守る側に回り始めている。
そしてフィオは相変わらず天然で強いです。
悪気なく爆弾を落としていくので、
ミアの寿命が心配です。
ここからは、
“付き合った後の百合”と、
“それを浴び続ける男二人”
の空気感がどんどん強くなっていきます。
次回もよろしくお願いします。




