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俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?  作者: 星恋 hosiko


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33/67

嫉妬は恋人の特権?

いつも読んでいただきありがとうございます。


今回は、

“恋人になったあと初めての嫉妬”回です。


好きな人が他の誰かに向けられる瞬間って、

自分でも驚くくらい感情が先に動いたりしますよね。


付き合ったから終わりではなく、

むしろここから、

「相手を特別に思う気持ち」がどんどん形になっていきます。


少し甘めな空気を楽しんでもらえたら嬉しいです。


それでは、第33話。

よろしくお願いします。

 市場通りは朝から賑やかだった。


 果物の匂い。

 焼き立てのパン。

 行き交う人の笑い声。


 旅の街らしい、明るい空気。


「ミア、見て」


 フィオが小さく声をかける。


 振り向くと、露店に並んだ銀細工を見ていた。


「綺麗」


「ほんとだ……」


 陽の光を反射して、小さな装飾品たちがきらきら揺れている。


 その中に、一つだけ目を引くものがあった。


 細い銀の指輪。


 中央に青い石が埋め込まれている。


「似合いそう」


 気づけば、ミアはそう呟いていた。


「フィオに」


 フィオが少し目を丸くする。


「……そう?」


「うん。絶対似合う」


 白い指に、きっと綺麗に映える。


 そんなことを考えていたら。


「お姉さん、恋人に贈り物?」


 店主がにやにやしながら言った。


「っ!?」


 ミアが固まる。


「えっ、いや、その……!」


「恋人です」


 フィオが即答した。


「言うの早い!!」


 店主は楽しそうに笑う。


「いいねぇ、若い恋人さんは」


 ミアは顔を覆いたくなった。


 でも。


 “恋人”って言われるのは、嫌じゃない。


 むしろ少し嬉しい。


 するとフィオが指輪を見つめる。


「……ミアは?」


「え?」


「欲しいものないの」


「えぇ!?」


 急に振られて焦る。


「いやいや、別にそんな!」


「恋人だから、何か欲しい」


「その言い方ずるい!」


 本当に最近、遠慮がなくなってきた。


 フィオは静かそうに見えて、

 一度決めたら真っ直ぐ来るタイプなのかもしれない。


 すると。


「へぇ」


 横から知らない声。


 二人が振り向く。


 そこにいたのは、若い女性冒険者だった。


 長い赤髪を後ろで結んでいる。


「可愛い子連れてるじゃん」


「っ」


 その視線がフィオへ向く。


 瞬間。


 ミアの胸がざわついた。


「あんた、旅人?」


 女性は気軽にフィオへ話しかける。


 距離が近い。


 しかも自然にフィオの髪へ触れようとした。


 その瞬間。


 ミアは反射的にフィオの腕を引いた。


「……!」


 フィオが小さく目を見開く。


 女性も驚いた顔をした。


 ミアはハッとする。


「あ……」


 やってしまった。


 完全に嫉妬だった。


 しかも反射。


 女性は数秒きょとんとしてから、ふっと笑う。


「なにそれ。独占欲強め?」


「ち、違っ……!」


「恋人?」


「……そう、ですけど」


 言った瞬間、顔が熱くなる。


 女性は面白そうに笑った。


「なるほどねぇ」


 そう言って軽く手を振る。


「ごめんごめん。取ったりしないから安心しなよ」


 そのまま去っていく。


 ミアはその背中を見送りながら、頭を抱えたくなった。


「……最悪」


「最悪?」


 隣から声。


 フィオがじっとこちらを見ている。


「嫉妬してるみたいだった……」


「みたいじゃない」


「うっ」


 否定できない。


 フィオは少しだけ考えるように瞬きをしてから、小さく笑った。


「……嬉しい」


「なんで!?」


「特別って感じする」


 またそれだ。


 心臓に悪い。


 するとフィオがそっと近づく。


「でも」


「……なに」


「私はミアがいい」


 静かな声。


 市場のざわめきの中なのに、その言葉だけ妙にはっきり聞こえた。


「他の人じゃなくて」


 胸が熱くなる。


 嬉しくて、苦しくて。


 ミアは耐えきれず、フィオの袖をぎゅっと掴んだ。


「……もう」


「うん?」


「好きすぎるんだけど」


 フィオは少しだけ目を丸くして。


 それから、嬉しそうに笑った。

第33話、ありがとうございました。


ミア、

ついに反射でフィオを引き寄せました。


しかも本人より先に身体が動いているので、

かなり重症です。


でも今回大きいのは、

フィオがその嫉妬を“嫌がっていない”こと。


むしろ、

「特別って感じする」

と受け取っているところに、

この二人らしさが出ている気がします。


あと個人的に、

「私はミアがいい」

はかなり強い台詞でした。


静かなタイプが、

迷いなく一人を選ぶ瞬間って、

破壊力ありますよね。


ここから先は、

“好き”がもっと日常に溶けていきます。


でも同時に、

恋人だからこその不安や独占欲も少しずつ増えていく予定です。


次回もよろしくお願いします。

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