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俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?  作者: 星恋 hosiko


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29/67

あと少しだけ

いつも読んでいただきありがとうございます。


今回は、

“あと少し”の回です。


両想いになってからの二人は、

近づきたいのに慎重で、

でも触れたくてたまらない。


そんな、恋が一番不安定で甘い時間を書きました。


朝の静かな空気ごと、

楽しんでもらえたら嬉しいです。


それでは、第29話。

よろしくお願いします。

 翌朝。


 ミアは人生で一番静かに目を覚ました。


「……」


 理由は簡単だった。


 動けない。


 いや、正確には。


 動いたら終わる。


 隣ではフィオが眠っている。


 そして。


 手を繋いだまま。


「…………」


 昨日の夜。


 “繋いでもいい?”って聞かれて。


 そのまま。


 離せなくなった。


 結果、朝までずっとこの状態である。


 心臓に悪すぎる。


 ミアはそっと視線を落とす。


 指が絡んでいる。


 こんなの恋人みたいだ。


「っ……」


 思った瞬間、顔が熱くなる。


 すると。


「……起きてる?」


 眠そうな声。


「!?」


 フィオがゆっくり目を開けた。


 至近距離。


 朝の光を映した瞳が、ぼんやりこちらを見る。


 ミアは固まる。


「お、おはよう……」


「おはよ」


 フィオは少しだけ笑った。


 そのまま、繋いだ手を見る。


「……まだ繋いでた」


「そ、それは!!」


 言い訳しようとして止まる。


 どっちも離さなかっただけだ。


 つまり同罪だった。


「……嫌だった?」


 フィオが静かに聞く。


 その声が少し不安そうで。


 ミアは即座に首を振る。


「嫌じゃない!」


 勢いが強すぎた。


 フィオがぱち、と瞬きをする。


 ミアは真っ赤になる。


「ち、違う、いや違わないけど……!」


「ふふ」


 小さく笑われた。


 最近フィオ、絶対楽しんでる。


「ミア」


「……なに」


「嬉しかった」


 またそんな顔で言う。


 静かで、柔らかくて。


 逃げられない声。


「私も、離したくなかった」


「っ」


 心臓が痛い。


 好きすぎて。


 ミアは耐えきれず、毛布に顔を埋めた。


「……無理」


「無理?」


「フィオが無理」


「私?」


「そう!!」


 フィオは少し考えるように首を傾げる。


 その仕草すら可愛いから困る。


「……でも」


 フィオが小さく呟く。


「ミア、昨日より近い」


「え」


 ミアはハッとして距離を確認した。


 近い。


 昨日より明らかに。


 寝ている間に寄ったらしい。


「〜〜〜〜〜っ!!」


 ミアは顔を覆う。


 もう駄目だった。


 恥ずかしすぎる。


 すると。


 フィオの指が、そっと髪に触れた。


「!」


 一瞬、息が止まる。


 優しく撫でるみたいな触れ方だった。


「……かわいい」


「っっっ!!?」


 今なんて言った?


 ミアの思考が完全に停止する。


 フィオは触れたまま、小さく笑った。


「すぐ赤くなる」


「だ、だれのせいだと思ってるの!?」


「私?」


「自覚あったんだ!?」


 フィオは少しだけ嬉しそうだった。


 その顔を見た瞬間。


 ミアの胸が、ぎゅっと苦しくなる。


 好きだ。


 たぶんもう、誤魔化せないくらい。


 するとフィオが、静かにこちらを見る。


「……ミア」


「……なに」


「もっと触りたい」


「!!!!!!」


 ミアの脳が真っ白になる。


 朝の光の中。


 フィオは真剣な顔だった。


 冗談じゃない。


 からかいでもない。


 本気で言っている。


「でも」


 フィオは少しだけ目を伏せた。


「嫌だったら、しない」


 その一言で。


 ミアの胸が熱くなる。


 ちゃんと大事にされてる。


 そう思った。


「……嫌じゃ、ない」


 声が震える。


 フィオがゆっくり顔を上げる。


 朝焼けみたいな光が瞳に揺れた。


 そして。


 そっと。


 額が触れた。


「……っ」


 キスじゃない。


 でも。


 それよりずっと近く感じた。


 二人とも動けない。


 呼吸だけが混ざる。


「……あと少し」


 フィオが小さく呟く。


 その意味を考えた瞬間。


 ミアの心臓が、また大きく跳ねた。

第29話、ありがとうございました。


ついにフィオが、

「もっと触りたい」

まで言いました。


かなり大きな一歩です。


でもこの二人、

まだキスしてません。


なのに額を合わせるだけで、

空気が完全に恋人なんですよね。


個人的には、

“嫌だったらしない”

をちゃんと言えるフィオがすごく好きです。


ただ近づくんじゃなく、

相手を大切にしながら触れようとしている感じが、

今の二人らしいなと思っています。


そしてミアは、

もうほぼ限界です。


次回、

この“あと少し”がどう動くのか。


ぜひ見届けてください。

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