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俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?  作者: 星恋 hosiko


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27/67

隣にいる資格

いつも読んでいただきありがとうございます。


今回は、ついに“気持ち”に言葉が触れる回になりました。


今まで曖昧だったものを、

誤魔化しながらも少しずつ認めていく。

そんな、不器用な瞬間を書いています。


そしてカナデは、思った以上に遠慮がありません。


二人の関係が大きく動き始める回、楽しんでもらえたら嬉しいです。


それでは、第27話。

よろしくお願いします。

 酒場を出たあとも。


 ミアの頭の中には、ずっとカナデの言葉が残っていた。


『君なんだね』


 あの言い方。


 まるで全部見抜かれていたみたいだった。


「……」


 夕暮れの街を三人で歩く。


 石畳が橙色に染まっている。


 カナデはフィオの隣を自然に歩いていて、その距離感が妙に馴染んで見えた。


 それが嫌だった。


 自分でも驚くくらい。


「そういえばさ」


 カナデが振り返る。


「二人って付き合ってるの?」


「っ!?」


 ミアが盛大にむせた。


「な、な、なに急に!?」


「いや、気になって」


「気になるな!!」


 顔が熱い。


 隣を見る勇気がない。


 でも。


「……付き合ってない」


 フィオが静かに答えた。


 その声に、なぜか少しだけ胸が痛んだ。


 事実なのに。


 ちゃんと否定されたみたいだった。


「へぇ」


 カナデは意味深に笑う。


「でもリナ、分かりやすいよ」


「だから何が!?」


「フィオのこと好きなの」


「〜〜〜〜〜っ!!?」


 ミアの思考が爆発した。


「ち、違っ……いや違わないかもしれないけど今それ言う!?!?」


 終わった。


 全部終わった。


 もう街出たい。

 できれば別の大陸へ。


 カナデは完全に楽しんでいた。


「反応が答えなんだよなぁ」


「うるさい!!」


 ミアは真っ赤な顔で叫ぶ。


 でも。


 そのときだった。


「……好きなの?」


 隣から、静かな声。


 ミアの動きが止まる。


 フィオがこちらを見ていた。


 まっすぐに。


 逃げ場のない目で。


「え……」


「私のこと」


 世界が静かになる。


 街の音が遠い。


 心臓だけがうるさい。


 言えるわけがない。


 でも。


 否定も、できなかった。


「……わかんない」


 やっと出た声は、小さかった。


 フィオが瞬きをする。


 ミアは俯いたまま続ける。


「でも、フィオが誰かと仲良いと嫌だし」

「近いと落ち着かないし」

「手繋がれたら嬉しいし」

「昨日とか全然眠れなかったし」


 口に出すほど、自分で苦しくなる。


 これじゃもう。


「……たぶん、かなり好き」


 最後の声は、消えそうだった。


 数秒、沈黙が落ちる。


 ミアは怖くて顔を上げられない。


 すると。


「……そっか」


 フィオの声がした。


 笑っているような。

 少しだけ安心したような声。


「私も、ミアといると変になる」


「!」


 ミアが顔を上げる。


 フィオは静かにこちらを見ていた。


「他の人といる時と違う」

「ミアが笑うと安心するし」

「離れると、少し寂しい」


 夕焼けの光が横顔を染める。


 綺麗だ、と思った。


 こんな状況なのに。


「だから」


 フィオが小さく息を吐く。


「たぶん、同じ」


 その瞬間。


 ミアの胸の奥で、何かが壊れるみたいに熱くなった。


「…………」


「…………」


 どちらも動けない。


 そこへ。


「青春だねぇ」


 カナデが呑気に言った。


「うわいた!!」


「忘れてたの!?」


 完全に二人の世界だった。


 カナデは肩を揺らして笑う。


「いやー、安心した」


「何が……」


「フィオがちゃんと誰かを好きになれて」


 その言葉に。


 フィオが少しだけ目を伏せる。


 ミアは気づく。


 きっとカナデは、

 フィオの“昔”を知っている。


 一人だった頃を。


 でも今。


 フィオはそっと、ミアの袖を掴んだ。


 ほんの少しだけ。


 離れないようにするみたいに。


 それだけで、胸がいっぱいになる。


「……帰ろう、ミア」


「っ……うん」


 夕焼けの街を歩き出す。


 触れた袖の熱が、

 なかなか離れてくれなかった。

第27話、ありがとうございました。


ついにミアが、

「たぶん、かなり好き」

まで辿り着きました。


告白ではない。

でも、もう気持ちは隠せない。


この“恋人未満の告白みたいな空気”、

百合の中でもかなり好きな温度感です。


そしてフィオも、

ようやく自分の感情を言葉にし始めています。


「同じ」


たった一言なんですが、

この二人にとってはかなり大きな進歩でした。


あと今回、カナデが完全に保護者ポジションになり始めています。

たぶん本人も気づいてません。


次回からは、

“両想いなのに付き合ってない”

という一番危ない期間に入っていきます。


次回もよろしくお願いします。

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