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俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?  作者: 星恋 hosiko


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22/67

お前、今ちゃんと幸せ?

いつも読んでくださってありがとうございます。


少しずつ変わっていく距離感と、言葉にできない感情を丁寧に描きたくて書いています。


今回は、これまで積み重ねてきた関係が少しだけ動く回です。

静かな空気の中にある“小さな揺れ”を楽しんでもらえたら嬉しいです。


それでは、第22話。

よろしくお願いします。

 夕方。


 依頼帰りの道は静かだった。


 フィアとミアは少し先を歩いている。


 フィアが何か話して、

 ミアが短く返す。


 その繰り返し。


 でも楽しそうだった。


「……ほんと自然だね、あの二人」


 隣でリオンが呟く。


「まあな」


 俺は苦笑する。


「最近もう隠す気あるのか分かんねぇ」


「ないんじゃない?」


「やっぱそう見える?」


「うん」


 即答だった。


 風が吹く。


 草が揺れる。


 なんか穏やかな時間だった。


 その時。


「レン」


「ん?」


 リオンが珍しく真面目な声を出した。


「お前さ」


「おう」


「今、ちゃんと幸せ?」


 一瞬。


 言葉が止まる。


 思ってもなかった質問だった。


「……急に重いな」


「気になっただけ」


 リオンは前を向いたまま続ける。


「お前、ずっと笑ってるから」


「まあ楽しいし」


「でもさ」


 少しだけ間。


「無理してない?」


 図星だった。


 ……いや。


 正確には、

 “昔は”図星だった。


 俺は少し考える。


 最初。


 ミアとフィアが特別だって気づいた時。


 正直しんどかった。


 寂しかったし、

 悔しかったし、

 「俺じゃないんだ」って思った。


 でも。


「今は」


 俺は前を歩く二人を見る。


 夕日に照らされた背中。


 並んだ距離。


「なんかもう、見てると安心するんだよな」


 リオンが黙る。


「二人とも、ちゃんと笑うようになったし」


 ミアは前より柔らかくなった。


 フィアは前より素直に甘えるようになった。


 その変化を、

 一番近くで見てきた。


「それに」


 俺は少し笑う。


「俺も、一人じゃないし」


 リオンがちらっとこちらを見る。


「……そっか」


 その声は、

 少しだけ安心したみたいだった。



 その時。


 前からフィアの声が飛んできた。


「レンさん、リオンさん!」


「ん?」


「こっち、夕日すごいですよ!」


 小高い丘。


 空が赤く染まっている。


 ミアがその隣に立っていた。


 風で黒髪が揺れている。


「ほんとだ」


 俺は思わず呟いた。


 綺麗だった。


 空も。


 二人も。


 この時間も。


 全部。


「レン」


 ミアがこちらを見る。


「来ないの?」


「行く行く」


 俺は丘を登る。


 その後ろから、

 リオンがぽつりと言った。


「……やっぱ変なやつ」


「褒めてる?」


「かなり」



 丘の上。


 四人で並んで夕日を見る。


 静かな時間。


「こういうの、悪くないですね」


 フィアが微笑む。


「……ん」


 ミアも小さく頷く。


 リオンは隣で空を見上げていた。


「キミたちさ」


「ん?」


「ほんと不思議な関係」


「今さらだな」


 俺が笑う。


 すると。


 リオンも少し笑った。


「でも嫌いじゃないよ。そういうの」


 夕日が沈んでいく。


 長く伸びた影が、

 四人分並んでいた。


 その景色を見ながら。


 俺はふと思った。


 たぶん今の俺は。


 ちゃんと幸せなんだと思う。

第22話、読んでいただきありがとうございました。


派手な戦いよりも、「相手の一言で心が乱れる瞬間」を大事に書いている作品なので、今回もその空気を感じてもらえていたら嬉しいです。


ここから先、二人の関係は少しずつ形を変えていきます。

まだ名前のついていない感情が、どんなふうに繋がっていくのか、ぜひ見届けてください。

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