男同士のはずなのに、なんでこんな距離近いんだ
今回は少しゆるめの日常回です。
……のはずなんですが、
リオンがいるので空気がだいぶ騒がしいです。
そしてミア、
ついに“嫉妬”を指摘されます。
逃げられません。
「で、なんでお前まで来るの?」
翌朝。
ギルド前。
俺はリオンを指差していた。
「暇だから」
「理由が軽い」
「あと面白そうだし」
こいつ、
かなり自由人である。
ミアは露骨に警戒した目をしていた。
「……ついてくるの?」
「だめ?」
リオンが首を傾げる。
その顔。
本当に女の子みたいだからやめろ。
フィアが困ったように笑った。
「えっと……今回は採取依頼なので、危険は少ないと思いますし」
「ほら許可出た」
「まだ俺何も言ってないけど!?」
「レンって押しに弱そうだし」
否定できない。
⸻
依頼は薬草採取だった。
場所は街から少し離れた丘。
平和。
最高。
「こういう依頼だけ受けて生きていきたい」
「レン、それ三日で飽きる」
ミアが言う。
「なんで分かるんだよ」
「顔」
「便利だなその能力」
リオンが吹き出した。
「ほんと仲いいねキミたち」
「……普通」
ミアがそっぽ向く。
でも少し耳赤い。
分かりやす。
⸻
丘へ着く。
風が気持ちいい。
フィアはすぐ薬草採取を始めた。
「この辺りですね」
「へぇー」
リオンがしゃがみ込む。
「ちゃんと知識あるんだ」
「聖職者ですから」
「偉い」
フィアが少し照れて笑う。
その横で。
ミアがじっとリオンを見ていた。
「……なに」
「いや」
ミアが低い声で言う。
「距離近い」
「え?」
リオンがきょとんとした。
「フィアに」
空気が止まる。
俺は思った。
うわ出た。
無自覚独占欲。
「別に変な意味ないけど?」
リオンが肩をすくめる。
「普通に喋ってるだけじゃん」
「……でも近い」
フィアが慌てる。
「み、ミア……!」
顔真っ赤。
リオンは数秒黙ってから。
「ははっ」
急に笑い始めた。
「キミほんと分かりやすいなぁ」
「……何が」
「嫉妬してるじゃん」
沈黙。
ミアが固まる。
フィアが爆発しそうな顔になる。
俺は空を見た。
風が気持ちいい。
「ミア、嫉妬するタイプなんだ」
「してない」
「してるよ」
「してない」
「いやしてるって」
リオン強い。
全然引かない。
ミアは珍しく押されていた。
「レン」
「はい」
「こいつ嫌い」
「俺に言うな!?」
フィアが耐えきれず吹き出した。
その笑い声を聞いて、
ミアの空気も少しだけ緩む。
……ほんと、
フィアには弱いなこいつ。
⸻
採取を終えた帰り道。
俺とリオンは少し後ろを歩いていた。
前ではミアとフィアが話している。
自然な距離。
並んだ背中。
「いい空気だね」
リオンが言う。
「まあな」
俺は頷いた。
「最初はさ、ちょっと苦しかったけど」
「うん」
「でも最近、普通に安心するんだよな」
自分でも不思議だった。
あの二人が一緒にいるのを見ると。
ちゃんと幸せそうで。
それが嬉しい。
「レンってさ」
リオンがちらっとこちらを見る。
「かなり変わってるよ」
「悪口?」
「褒めてる」
たぶん本当に。
「普通、自分が好きだった子が別の相手好きだったら、離れるじゃん」
「……かもな」
「でもキミは隣に残った」
風が吹く。
少しだけ沈黙。
「……だって」
俺は前を歩く二人を見る。
「俺も、このパーティ好きだから」
リオンは少しだけ目を細めた。
「そっか」
その声は、
なんだか少し優しかった。
第21話ありがとうございました!
リオン、
かなり遠慮なく踏み込みます。
でもそのおかげで、
ミアの感情がどんどん見えやすくなってきました。
特に今回。
「フィアに距離近い」
って普通に言っちゃったの、
かなり大きいです。
本人は無自覚ですが、
ほぼ独占欲です。
あとレンとリオン。
この二人、
かなり相性いいですね。
ミアとフィアとの空気とは違う、
“肩の力を抜ける会話”ができる相手になっています。
そして今回、
レンが自然に
「俺も、このパーティ好きだから」
と言えたこと。
これが今のレンの答えなんだと思います。
失恋したまま立ち止まるんじゃなく、
ちゃんと今の幸せを選んでいる。
そんな回でした。
次回、
少しだけ空気が変わります。
リオンが、レンにあることを聞きます。




