お前、百合カップルに挟まれて生きてるの?
今回はリオン本格参戦回です。
そしてついに、
読者がずっと思っていたことを、
リオンが全部口にします。
レン、がんばってください。
「……とりあえず座る?」
気まずくなった空気を誤魔化すように、
俺は近くの屋台を指さした。
「賛成」
リオンは即答した。
「ちょうど喉乾いてたし」
結果。
俺たちは屋台のテーブルを囲むことになった。
俺。
ミア。
フィア。
リオン。
……なんだこのメンツ。
「へぇー」
リオンはジュースを飲みながら、
じーっと俺たちを見る。
嫌な予感しかしない。
「何」
「いや別に?」
「絶対なんか思ってる顔だろ」
「まあ思ってるけど」
ほら来た。
リオンは楽しそうに笑った。
「キミたちさ、かなり有名だよ」
「え?」
フィアが目を丸くする。
「“三つ星の灯”でしょ?」
「知ってるのか」
「最近ギルドでめっちゃ噂聞くし」
リオンは頬杖をつく。
「黒髪剣士と聖職者の百合カップルに挟まれてる風使いの少年って」
「誰がそんな説明した!?」
ミアが吹き出した。
フィアは顔真っ赤。
「ち、違っ……!」
「違うの?」
リオンが首を傾げる。
フィアが完全に詰まる。
ミアは露骨に視線を逸らした。
分かりやす。
「いやまあ……その……」
俺がなんとかフォローしようとすると。
リオンが真顔で言った。
「いやでも、付き合ってるでしょ?」
沈黙。
風が吹く。
屋台のおっちゃんがこっち見てる。
やめろ。
「……なんでそう思う」
ミアが低い声で聞く。
「空気」
即答だった。
「あと距離感」
「っ……」
「それにそっちの聖職者の子、キミのこと見る時だけ顔違うし」
フィアが固まる。
耳まで真っ赤。
「あとキミも」
リオンがミアを見る。
「この子に近づく男への警戒心すごい」
図星だった。
ミアが完全に黙る。
俺は思った。
うわぁ……。
外から見るとそんな分かるんだ……。
「で」
リオンがジュースを飲む。
「なんでキミ平然としてるの?」
「え?」
「いや普通、失恋して気まずくならない?」
直球。
かなり直球。
フィアが慌てる。
「り、リオンさん!」
「ん? ダメだった?」
「ダメです!」
ミアも珍しく睨んでいた。
でも。
俺は少し考えてから笑った。
「まあ、最初はちょっとショックだったけど」
二人がこちらを見る。
「でもさ」
俺は肩をすくめた。
「この二人見てると、なんか応援したくなるんだよな」
静かになる。
リオンが少しだけ目を丸くした。
「へぇ」
「なんだよ」
「いや。キミ面白い」
「褒めてる?」
「たぶん」
フィアが困ったように笑う。
ミアは少しだけ目を細めていた。
その顔が、
なんか安心したみたいに見えた。
⸻
屋台を出たあと。
夕方の街を四人で歩く。
リオンは妙に自然に会話へ入ってきた。
「レンって昔からそんな感じなの?」
「どんな感じだよ」
「苦労人体質」
「否定できないのが嫌だ」
フィアが吹き出す。
ミアも少し笑ってる。
……なんだろう。
変な感じだった。
でも悪くない。
その時。
リオンが急に小声で言った。
「でもさ」
「ん?」
「キミ、一人じゃなくてよかったね」
一瞬。
言葉が止まる。
リオンは前を向いたまま続けた。
「その二人、ちゃんとキミのこと好きだよ」
恋愛じゃなくても。
必要な存在として。
たぶん、
そういう意味だった。
俺は少し黙ってから。
「……うん」
小さく笑った。
夕焼けが街を染める。
その隣で。
ミアとフィアが、
いつもの距離で並んで歩いていた。
第20話ありがとうございました!
リオン、
かなり遠慮がありません。
でもその分、
三人の関係を外側からハッキリ見抜く役として動いています。
特に今回の
「百合カップルに挟まれてる風使いの少年」
は、かなりこの作品の核心でした。
そしてレン。
もう“失恋した主人公”ではなく、
ちゃんと二人を大切に思える場所まで来ています。
だからこそ、
リオンの
「一人じゃなくてよかったね」
という言葉が、
かなり大事だったりします。
あとミアとフィア。
そろそろ本当に隠せなくなってきました。
特にミアの嫉妬、
外から見るとかなり分かりやすいです。
次回、
リオンが三人パーティと一緒に依頼へ行きます。




