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俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?  作者: 星恋 hosiko


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18/30

ご褒美の宿で、俺だけ部屋が静か

今回は少しご褒美回です。


激戦のあと、三人が穏やかな時間を過ごします。


そしてレンも、少しずつ“二人の隣にいる自分”を自然に受け入れられるようになってきました。

 護衛任務は成功だった。


 クイーンスパイダー討伐。


 しかも護衛対象は無傷。


 結果として、

 俺たちはかなり大きな成果を上げたらしい。


「いやー! 本当に助かった!」


 依頼主の商人が何度も頭を下げてくる。


「まさか女王蜘蛛まで出るとは思わなくてな……!」


「俺も思いたくなかったです」


 本音である。


 蜘蛛もう嫌。


「報酬は上乗せさせてもらう! あと今夜の宿代も持つ!」


「えっ」


 フィアがぱっと顔を明るくした。


「ほんとですか!?」


「もちろん!」


 商人は豪快に笑った。


「君たちは命の恩人だからな!」


 ……なんか。


 こういうの、

 冒険者っぽいな。



 宿はかなり立派だった。


「うわ、ベッドふかふか……」


 俺は感動した。


 今までの宿より明らかに高級。


 風呂も広い。


 最高。


「レンさん顔が緩んでます」


「仕方ないだろ!」


 フィアが笑う。


 ミアも少しだけ口元を緩めていた。


 そして。


「部屋はこちらになります」


 案内された扉は二つ。


 ……うん。


 知ってた。


「じゃあ俺こっちね」


「うん」


「……おやすみ」


 もう誰も迷わない。


 自然に、

 ミアとフィアが同じ部屋へ向かう。


 最初の頃なら、

 俺も少しモヤモヤしてたかもしれない。


 でも今は。


「ちゃんと寝ろよー」


「レンさんこそですよ?」


「レン、夜更かししそう」


「親かお前ら」


 普通に笑えた。



 夜。


 風呂上がり。


 俺は一人で廊下を歩いていた。


 静かだ。


 窓の外には街の灯り。


 なんかちょっと落ち着く。


 その時。


 少し先のテラスに、

 二人の姿が見えた。


 ミアとフィア。


 並んで夜風に当たっている。


 話し声は聞こえない。


 でも。


 距離が近かった。


 フィアが何か言う。


 ミアが少し困ったように笑う。


 それだけなのに。


 空気が柔らかい。


 綺麗だった。


 俺は少し立ち止まる。


 前なら。


 胸が痛かったかもしれない。


 でも今は、

 それより安心の方が大きかった。


「……何してるの」


「うおっ!?」


 横から声。


 ミアだった。


「え、いたの!?」


「いた」


 いつの間に。


 忍者か。


「フィア、飲み物取りに行った」


「あー」


 俺はなんとなく頭を掻く。


「邪魔しない方がいいかなって」


「……?」


 ミアが不思議そうに首を傾げた。


「別に邪魔じゃない」


「いやでもお前ら二人の空気あるし」


 すると。


 ミアは少し黙った。


 それから。


「レンもいると落ち着く」


 静かな声だった。


 不意打ち。


 かなり不意打ち。


「……そういうこと普通に言うよな最近」


「本当だから」


 強い。


 無自覚ストレート強い。


 その時。


「レンさん?」


 フィアが戻ってきた。


 両手に飲み物。


「あ、いたんですね」


「うん。なんか捕まった」


「人聞き悪い」


 ミアが少しだけ眉を寄せる。


 フィアがくすっと笑った。


「せっかくですし、一緒に飲みません?」


「いいの?」


「もちろんです!」


 自然だった。


 俺がそこにいること。


 二人の隣に座ること。


 それが。


 もう特別じゃなくなっていた。



 夜風が吹く。


 三人で並んで座る。


 静かな時間。


「……平和ですね」


 フィアがぽつりと言う。


「そうだな」


「ずっとこうならいいのに」


 その言葉に。


 ミアと俺は、

 ほとんど同時にフィアを見た。


 たぶん。


 同じことを思った。


 守りたいなって。


 この時間を。


 この空気を。


 この三人を。

第18話ありがとうございました!


クイーンスパイダー討伐後の、少し静かな回でした。


今回かなり大事なのは、レンが“二人を見ても苦しくならなくなった”ことです。


もちろん、最初の恋心は本物でした。


でも今はそれ以上に、

「この三人でいる時間が好き」

という気持ちの方が大きくなっています。


そしてミアの


「レンもいると落ち着く」


という言葉。


これはかなり大きいです。


ミアは、本当に心を許した相手にしかこういうことを言わないので。


あと今回、フィアが自然に

「一緒に飲みません?」

とレンを誘ったのも重要でした。


もうレンは、

“気を遣う他人”ではなく、

二人の隣にいるのが当たり前の存在になっています。


次回からまた少し物語が動きます。


そしてそろそろ、新しい風が入ってきそうです。

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