このパーティ、たぶんもう運命共同体
今回はかなり大きめの戦闘回です!
ついに来ました、
巨大蜘蛛ボス。
レンはたぶん、
人生で一番頑張ります。
あと三人の連携、
かなり完成形に近づいてきました。
翌朝。
護衛隊は予定より早く出発していた。
理由は単純。
「夜盗蜘蛛、また出るかもしれないからな」
護衛の冒険者が言う。
たしかに。
昨日の数、
普通じゃなかった。
空気もどこか張っている。
「レンさん、眠くないですか?」
フィアが歩きながら聞く。
「ちょっと眠い」
「見張り交代すればよかったのに」
「いやまあ、平気平気」
すると。
ミアがこちらを見る。
「……平気って言う時、だいたい平気じゃない」
「信頼度低くない!?」
「積み重ね」
反論できない。
⸻
街道は徐々に狭くなっていた。
森の奥。
木々が濃い。
嫌な感じだ。
その時だった。
「止まれ!!」
前方の護衛が叫ぶ。
同時に。
地面が揺れた。
「え?」
次の瞬間。
ズドォン!!
木々を突き破って、
巨大な影が落ちてきた。
「うわっ!?」
馬車が揺れる。
悲鳴。
土煙。
そして。
そこにいたのは。
巨大な蜘蛛だった。
「でっっっっか!!」
無理!!
普通に無理!!
家くらいある!!
「《クイーンスパイダー》……!」
護衛の一人が青ざめる。
女王蜘蛛。
嫌な予感してたけど、
最悪が来た。
しかも。
周囲の木々。
糸が張り巡らされている。
「罠かよ……!」
蜘蛛が咆哮する。
小蜘蛛たちが一斉に動き出した。
「レン、右!」
「了解!」
俺は風魔法で駆ける。
小蜘蛛を引きつける。
でも数が多い。
多すぎる。
「うわっ、キモっ、近い!!」
「文句言いながらちゃんと戦うのすごいですね!?」
フィアの補助魔法が飛ぶ。
身体が軽くなる。
俺は一気に加速し、
蜘蛛を蹴散らした。
その間。
ミアが女王蜘蛛へ突っ込む。
速い。
けど。
硬い。
剣が弾かれた。
「っ……!」
「ミア!」
蜘蛛の脚が振り下ろされる。
避けきれない。
その瞬間。
俺は考える前に走っていた。
「レン!?」
風を纏う。
加速。
俺はミアへ飛び込んだ。
ドンッ!!
衝撃。
二人まとめて地面へ転がる。
直後。
蜘蛛の脚が、
さっきまでいた場所を叩き潰した。
「っは……!」
危な。
今の普通に死ぬやつ。
「レン!」
ミアが息を呑む。
「平気!?」
「今聞く!?」
でも。
その顔。
かなり焦ってる。
珍しいくらい。
「レンさん下がってください!」
フィアの声。
白い魔法陣が広がる。
光。
温かい。
その瞬間。
ミアの剣が、
銀色に輝いた。
「――行く」
低い声。
風が走る。
ミアが消えた。
次に見えた時には。
女王蜘蛛の頭上だった。
「はぁぁっ!!」
一閃。
凄まじい斬撃。
硬い外殻が割れる。
蜘蛛が絶叫した。
「レン!!」
「分かってる!」
俺は風魔法を最大まで使った。
加速。
跳躍。
そして。
ミアの開いた傷へ、
全力で剣を叩き込む。
「うおおおおっ!!」
衝撃。
悲鳴。
次の瞬間。
巨大な蜘蛛が崩れ落ちた。
静寂。
誰も動かない。
そして。
「……勝った?」
俺が呟いた瞬間。
護衛隊が歓声を上げた。
「やったぞ!!」
「討伐した!!」
空気が一気に弾ける。
俺はその場へ座り込んだ。
疲れた。
マジで。
すると。
フィアが駆け寄ってくる。
「レンさん!!」
その後ろからミアも来た。
二人とも、
本気で心配してる顔。
「怪我は!?」
「腕見せて」
「いやだから今休ませ――」
フィアがぎゅっと俺の手を掴む。
ミアは黙って隣へしゃがみ込む。
距離が近い。
近いけど。
今はなんか、
嫌じゃなかった。
「……ありがと」
ミアがぽつりと言った。
「助けてくれて」
その声が、
少し震えていた。
フィアも小さく頷く。
「レンさん、いなくなったら困ります」
まっすぐな言葉だった。
俺は少しだけ目を丸くする。
それから。
なんだか照れくさくなって笑った。
「そりゃどうも」
すると。
後ろで護衛の冒険者がぼそっと言った。
「もう恋愛とか通り越してるな、あれ」
「運命共同体って感じ」
……いやほんと、
それかもしれない。
第17話ありがとうございました!
クイーンスパイダー討伐でした!
レン、
ついにミアを助ける側へ回りましたね。
最初は
「守られる初心者」
だったのに。
今ではちゃんと、
三人の戦力として並んで戦えるようになっています。
そして今回かなり大事なのが、
ミアとフィアが“レンを失うこと”に本気で怯えていたこと。
恋愛感情とは違う。
でも、
絶対にいなくなってほしくない存在。
レンはもう、
二人にとってそういう相手なんですよね。
あと最後の
「運命共同体」。
これ、
かなりこの作品の核心に近い言葉かもしれません。
恋人だけじゃない。
家族だけでもない。
でも、
三人じゃないと成立しない関係。
次回は護衛任務完結編!
少しご褒美回っぽくなります。




