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俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?  作者: 星恋 hosiko


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14/37

なんで俺たち、指名依頼来てるの?

新章スタートです!


三人パーティ、

ついに周囲から“名前付き”で認識され始めました。


レンはちょっと浮かれています。


でもたぶん今回も、

百合の空気からは逃げられません。

 朝。


 ギルドへ入った瞬間、

 空気が少し違った。


「……見られてない?」


 俺が小声で言う。


「見られてる」


 ミアが即答した。


 フィアは困ったように笑う。


 周囲の冒険者たちが、

 ちらちらこちらを見ている。


 なんだ。


 また何かやったか俺たち。


「レンさんたち!」


 受付嬢が慌てた様子で手を振る。


「ちょうど探してたんです!」


「え、何かありました?」


「指名依頼です!」


 …………はい?


「指名?」


 俺は素っ頓狂な声を出した。


 初心者パーティだぞ俺たち。


 しかも結成してまだそんな経ってない。


「北街道の護衛任務なんですが、“風使いの少年と黒髪剣士、聖職者の三人組に頼みたい”って」


「風使いの少年って俺!?」


「たぶん」


 受付嬢が頷く。


 なんかちょっと嬉しい。


 俺、

 ちゃんと認識されてる。


「すごいですね!」


 フィアがぱっと顔を明るくした。


「レンさん、名前覚えられてますよ!」


「いやお前らもだからな!?」


 すると後ろのテーブルから声が飛ぶ。


「有名だもんな、お前ら」


「特に黒髪剣士と聖職者の子」


「雰囲気がな」


「やめろその言い方!!」


 ミアが露骨に顔をしかめた。


 フィアは耳まで赤い。


 最近ギルド全体が察し良すぎる。


「でも実際強いよな」


「連携えぐいし」


「あと風使いの兄ちゃん、囮性能高い」


「褒めてる!?」


 微妙。


 かなり微妙。



 依頼主は商人の男だった。


「君たちが“三つ星の灯”か」


「……え?」


 俺たちは揃って固まる。


「なんですかそれ」


「通り名だよ」


 商人が当然みたいに言う。


「最近噂になってるじゃないか。“黒髪の剣と白魔法、風使いの三人組”って」


 知らん。


 初耳だ。


「特に夜の討伐戦、かなり話題だったぞ」


「あー、ブラッドベアの件ですか」


「見事な連携だったらしいな」


 フィアが少し照れたように笑う。


 ミアは無言。


 でもちょっとだけ嬉しそうだった。


「それで?」


 ミアが聞く。


「護衛対象は?」


「この荷車だ。薬品を隣町まで運びたい」


 商人は少し真面目な顔になる。


「最近、“夜盗蜘蛛”が出る」


 嫌な名前来た。


 絶対嫌なやつ。


「蜘蛛かぁ……」


 俺ちょっと苦手なんだよな。


「レン、顔青い」


「蜘蛛デカいの嫌だろ普通!」


「私は平気」


「強い」


「フィアは?」


「わ、私も少し苦手です……」


 その瞬間。


 ミアが自然にフィアの肩を軽く叩いた。


「……私が守る」


 さらっと言った。


 呼吸みたいに。


 フィアが少し笑う。


「うん」


 …………。


 俺は思った。


 こいつら、

 もう無自覚でイチャついてる。



 依頼の説明を終えた帰り道。


 俺たちは並んで歩いていた。


「“三つ星の灯”かぁ」


 俺は呟く。


「なんか冒険者っぽいな」


「嫌?」


 フィアが聞く。


「いや、ちょっと嬉しい」


 実際、

 悪くない名前だと思った。


 三人組って感じするし。


「レン」


 ミアがこちらを見る。


「ん?」


「……ちゃんと三人の名前だった」


 一瞬。


 意味が分からなかった。


 でも。


 そのあと気づく。


 “黒髪剣士と聖職者”じゃなく。


 “風使いも含めた三人”。


 ミアはそれが言いたかったんだ。


「……そっか」


 なんか。


 胸の奥が少し熱くなる。


 フィアがふわっと笑った。


「はい。三人の名前です」


 夕方の風が吹く。


 街の灯りが少しずつ増えていく。


 俺は思った。


 恋愛の形は、

 たぶん俺の理想とは違った。


 でも。


 この三人で進む物語は、

 ちゃんと俺のものでもあるんだって。

第14話ありがとうございました!


ついに通り名が付きました!


「三つ星の灯」


個人的に、

かなりこの三人らしい名前になった気がします。


そして今回大事なのは、

ミアが

「ちゃんと三人の名前だった」

って言ったところ。


レン、

今までずっと

“二人の関係の外側”にいる感覚を持っていたんですよね。


でもミアもフィアも、

ちゃんとレンを“パーティの一員”として大切に思っています。


恋愛ではなくても。


隣にいてほしい相手として。


あと蜘蛛回が近づいています。


レン、がんばれ。

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