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俺の恋愛フラグ、全部百合に吸われてない?  作者: 星恋 hosiko


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15/21

蜘蛛より怖いもの、たぶん嫉妬

今回は蜘蛛回です。


つまりレン、

かなり大変です。


でも戦闘面では、

三人パーティがかなり完成されてきました。


あとミア、

今回ちょっと無自覚が危険です。

 護衛任務当日。


 空は曇っていた。


「なんか嫌な天気だな……」


 俺は荷車の横を歩きながら呟く。


 道は森沿い。


 薄暗い。


 静か。


 そして嫌な予感しかしない。


「レンさん、もう怖がってます?」


 フィアが苦笑する。


「怖がってませんー」


「声震えてる」


 ミアが即答した。


「お前ほんと容赦ないな!?」


 でもミアは少しだけ笑っていた。


 最近、

 かなり表情が柔らかい。


 ……まあ、

 主にフィアがいる時だけど。



 護衛は順調だった。


 少なくとも最初は。


 荷車はゆっくり街道を進み、

 商人たちも落ち着いている。


「“三つ星の灯”かぁ」


 護衛の一人が言った。


「最近ほんと名前聞くよな」


「黒髪剣士の子、強いもんな」


「あと聖職者の子可愛い」


「……」


 ミアの機嫌がちょっと下がった。


 分かりやす。


 俺はちらっと横を見る。


 フィアは困ったように笑っていた。


「いやでも風使いの兄ちゃんもいい動きするぞ」


「囮だけどな!」


「自分で言うな」


 笑いが起きる。


 悪くない空気だった。


 その時。


 ピタッ。


 ミアが止まった。


「……静かすぎる」


 空気が変わる。


 森。


 木々。


 風。


 何かいる。


「来る」


 次の瞬間。


 上から糸が降ってきた。


「うわっ!?」


 白い糸が地面へ突き刺さる。


 煙みたいに広がる粘着。


「《夜盗蜘蛛》!!」


 商人が叫ぶ。


 木の上。


 巨大な黒蜘蛛が何匹も張り付いていた。


「多っ!?」


 しかもデカい。


 無理。


 近づきたくない。


「レン、下がって」


「いや戦うけど!?」


「顔死んでる」


「蜘蛛嫌いなんだよ!!」


 その瞬間。


 一匹がフィアへ飛びかかった。


「フィア!」


 ミアが動く。


 速い。


 一閃。


 蜘蛛が真っ二つになる。


 でも。


 別方向からさらに二匹。


「っ……!」


 ミアが舌打ちする。


 数が多い。


 まずい。


 俺は風魔法で加速し、

 蜘蛛の注意を引く。


「こっち来い!!」


 蜘蛛が向きを変える。


 よし。


 囮性能高いって言われた成果だ。


 嬉しくない。


 その時。


「レン後ろ!」


 フィアの声。


 振り向く。


 糸。


 避けきれ――


「っ!」


 ミアが割り込んだ。


 糸がミアの腕へ絡みつく。


「ミア!?」


 蜘蛛が牙を向ける。


 まずい。


 考える前に身体が動いた。


 風加速。


 剣を振る。


 蜘蛛を吹き飛ばす。


「レン!」


「今切る!」


 俺は糸を斬った。


 ミアが自由になる。


 その瞬間。


 フィアの魔法が輝いた。


「二人とも下がって!」


 白い光。


 爆ぜる。


 蜘蛛たちが怯む。


 そこへ。


 ミアが飛び込んだ。


「――っ!!」


 黒い閃光。


 一匹。


 二匹。


 三匹。


 次々に蜘蛛が落ちる。


 速い。


 綺麗。


 でも。


 その顔、

 なんかちょっと怖い。


 戦闘終了後。


 最後の蜘蛛が倒れ、

 森が静かになる。


 フィアが真っ先に駆け寄った。


「ミア!!」


「……平気」


「平気じゃない!」


 フィアはミアの腕を掴む。


 さっき糸が絡んだ場所。


 赤く腫れていた。


「なんで庇ったの……!」


「フィアに当たる方が嫌だった」


 さらっと言った。


 さらっと。


 フィアが真っ赤になる。


「そ、そういうこと普通に言わないで……!」


 ミアは首を傾げている。


 無自覚だこいつ。


 かなり。


「レンさんも!」


「はい!?」


 急にフィアがこっち向いた。


「無茶しすぎです!」


「いやでもミア危なかったし」


「それでも!」


 フィアは怒った顔をしていた。


 でも目が少し潤んでる。


 ……あ。


 これ。


 本気で怖かったやつだ。


 ミアも静かにこちらを見る。


「……レン」


「ん?」


「ありがと」


 一瞬。


 言葉が止まる。


 ミアが、

 こんな真っ直ぐ礼言うの珍しい。


「……おう」


 なんか照れる。


 すると。


 護衛の冒険者がぽつりと言った。


「お前らさ」


「?」


「もう家族みたいだな」


 沈黙。


 風が吹く。


 フィアが顔を赤くする。


 ミアは少し目を逸らした。


 俺は。


 なぜかその言葉を、

 少し嬉しいと思ってしまった。

第15話ありがとうございました!


夜盗蜘蛛戦でした!


レンの「囮性能」が、

だんだん公式みたいになってきています。


でも今回、

ちゃんとレンがミアを助け返したんですよね。


今まで守られる側だったレンが、

自然に二人を守ろうと動けるようになってきました。


そして。


ミアの

「フィアに当たる方が嫌だった」


これ。


かなり重いです。


本人は無自覚です。


怖い。


あと最後の

「家族みたい」


という言葉。


恋愛だけじゃない、

三人の関係性を表す大事な一言だったりします。


次回、

護衛任務の夜。

少し静かで、

でもかなり距離が縮まる回になります。

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