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妖国伝エルソラーナス ― 剣と石の叙事詩 ―  作者: 美刀 尊志


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13/19

黒い影

はじめまして。

本作をお読みいただきありがとうございます。


世界観重視のハイファンタジーです。長い旅の始まりですが、ゆっくりと広がる物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。

夜半過ぎ――

人影のない廊下を、音もなく歩く”影”があった。


ゼルナの部屋の前で足を止める。

“影”はそっと扉へ手を伸ばした。



そのとき――


内側から、ゆっくりと扉が開いた。



薄い青の部屋着をまとい、紫を帯びた青い瞳の青年が、微笑をたたえて立っている。


ゼルナだった。



その姿を見て、“影”はわずかに目を見開く。


「起きていらっしゃいましたか。――もう、お気づきのようですね」


エリムスである。



「あなたを襲った者たちですね」


ゼルナは答える。



視線はすでに、外へ向いていた。


クリュージ川北岸――


砦の最外郭へ近づきつつある“動き”。


闇よりもなお黒く、常人では捉えがたい“漆黒”が、いくつも揺れている。



「まさかとは思いましたが……どうやら砦を急襲するつもりのようです」


エリムスの声が低くなる。


「私がこちらへ来たことで、イルージを巻き込むことになってしまいました。砦の方々へ――」



「すでに気づいているでしょう」


ゼルナが静かに遮る。


「作戦指令室へ向かいましょう」



二人は足早に廊下を進む。



砦の壁に等間隔で埋め込まれた“ストーン”が、次々と光を帯び始めていた。

守備責任者サーメルと同じ――緑の光。


防御態勢に入った合図だった。




やがて――



「ドドーン……!」



遠くから、空気を震わせる破裂音が断続的に響く。



「急ぎましょう」


ゼルナの一言で、二人は小走りに変わる。



兵士たちが持ち場へと走るざわめき。

緊張が砦全体に広がっていた。



そこへ――



「兄上、これは……!?」



「何事だ! ギゼリオンか、敵襲かっ!!?」



ユンタス、続いてイストハックが追いつく。



「私を襲った者たちのようです」


エリムスが答える。



「イルージ相手に仕掛けて来やがるのか。おもしれえ……!」


イストハックが歯を剥く。


「俺様がぶった斬ってやる!!」


対ギゼリオン戦闘用に自ら鍛え上げた兜を手に取る。



だが――



「敵の数は不明です」


ゼルナが静かに言う。


「少数のようですが、イエロネスの属性を持つエリムス殿を窮地に追い込んだ者たちです。油断は禁物です」



「モナ先生よぉ~、心配は無用だぜ!!」


白い歯を見せて笑うと、イストハックは大股で走り去った。



「兄上、私も迎撃に向かいます。お気をつけて」


ユンタスはそう言い残し、反対方向へ駆けていく。



ゼルナとエリムスは、そのまま作戦指令室へ向かった。


螺旋階段を上りきる。


見通しのよい指令室の中央――



キリムとサーメルが、“塔の目”と呼ばれる千里玉――ケレルを通して外を注視していた。


敵の動きを追いながら、攻撃計画を練っている。



「モナ・ゼルナ、エリムス殿――こちらへ」


サーメルが立ち上がる。



キリムはケレルを持ち上げ、入口近くの卓へ移動させた。


その表面に、静かに手を触れる。

お読みいただきありがとうございます。


今後も更新していきますので、よろしければブックマーク等していただけると励みになります。

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