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テト  作者: 安田丘矩
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簡単に命を問う前にちゃんと噛んでご飯を食べなさい。

気圧の変化が激しいせいで休み明けから怠い。

これが一種の五月病というものなのか。

それを口実に第2ラウンドGWできないかなと考える。

まぁ無理だけどね。次の休みは盆になるのかぁ、夏本番で考えさせられるけど。

こういう過ごしやすい時に長く休めるほうがいいのだが。

あと、3か月またそれまで頑張らないとね・・・はぁ。

「殺してくれ。」

少年の第一声だった。


ヒルマが支配する魔界は人間界に通じる場所がある。暗い森。その場所は人間の間でも決して立ち入ってはならぬ場所だった。そこから魔物が生まれてくると言い伝えられ、立ち入ってしまったら最後二度と帰ってくることはできない。暗い森では赤色の霧が立ち込めている間、魔界と人間界を結ぶ.


当時、王として争っていた魔物が人間界へ行き人々を襲っていた。人間たちは魔物の怒りを鎮めようと生贄を森へ送り被害が起きないように跪いた。その魔物はヒルマの手によって殺められたが生贄が定期的に送られてくることがあった。生贄が送られてきても自我を持たない魔物によって食べられてしまい無駄死になることがほとんどだった。


だがその少年は違った。ヒルマの元まで無傷でやってきた。


「・・・殺すも何も我は別に生贄など所望していないのだが。」

ヒルマは人間をはじめて見たので観察するようにじっと見つめた。


「人の言葉が分かるのか?なら話が早い。さっさと殺してくれ。」


「・・・えっ、嫌じゃが。」


「なぜだ。」


「理由がない。」


少年は黙り込み少し考えた後でヒルマに言った。

「じゃあ、貴様の命を奪いに来たということで返り討ちにしたと。」


「我への挑戦者だったのか?」


「いや、そう言うことにして殺してくれと言っているだろ。」


ヒルマは一体この少年は何を言っているのか分からなかった。

「其方はどうして死を望む。」


「どうせ、俺の命なんて短い。そして、生贄にさせられてもう一層のこと殺してくれた方が楽になれるからだ。」


「・・・達観しているのやら、ただの阿呆なのか。安い命だな。なら、我に殺されるより家畜の餌になって食べられておればよい。その方が世界のためになる。」


「嫌だ。」


「わがままな奴だ。そもそも死に方を選べる身分でもないだろう。」


「それでもだ。俺は殺してくれるまでここを動かん。」


ヒルマの近くにいた魔物たちはヒルマの顔を伺いながら目で対応を仰いでいた。ヒルマはこの生意気な少年をどうしようか考えた。考えた末に指を鳴らしてどこかへ飛ばした。そして、少年は姿を消した。


そして、数日後少年は再びヒルマの前に現れた。

「だから、殺してくれと頼んでいるだろう。」


「くどい。それにせっかく人間界に戻してやったのにどうして戻ってきた。そこで余生を過ごし死んでいけばいいだろう。」


「嫌だ。」


「嫌と言っても我はお前の命を奪わん。さっさと帰れ。」


「お前、俺がどうやってここまで来たのか聞かないんだな。」


「別に知りたくもない。どうせ、呪い子の類なんじゃろ。人間に疎まれ嫌われ活用方法に生贄にされた哀れな子。そんなところだろ。」


「けぇ。お見通しか。・・・俺に恨まれた者は呪い苦しむ。この力によって俺は誰にも愛されることはなかった。唯一愛してくれた母親すら何者かに殺されてしまった。そんな世界に何を望む。」


「なら、人間すべてを呪い殺せばいい。そうすれば悩みは解決するのだろう。なぜそうしない。」


「なぜって・・・。」


「その力があれば支配だって可能なはず。お前は自分の力をどうしたいのだ?その力を恨んでいるのか、その力を自慢したいだけなのか。それで、殺してほしいだと。訳が分からない。それで我の介錯を欲するのか。滑稽だ。」


「うるさい。」


「それなら自分の力で自分を殺めればいい。それが其方が楽になれる答えだろう。」


「俺は・・・死ねないんだ。」


「また面倒くさい奴だ。なら、生き続けるしかない。ほら、悩みは解決しただろう。さっさと帰れ。」

ヒルマは指を鳴らして再び少年を飛ばした。


しかし、また少年はやって来た。少年はヒルマに懇願し続けたがヒルマはずっと黙って少年の物言いを聞いていた。


「だから、殺してくれよ。」


「おまえ、それをお前が住む村人に行ったらどうだ。むしろどういう反応をするのか気になるが。」


「もうやった。すごく青ざめた顔をしていた。傑作だったよ。」


「人間の間柄も理不尽なのだな。」


「そうさ、みんな嫌うくせに呪われたくないんだ。俺が呪ってやるぞっていったら泣いて詫びるんだ。」


「けど、お前は一度も人間を呪ったことはないのだな。」


「それは・・。」


「聞いてて何となくわかる。お前はただの人間だ。その力のせいで狂わされているようだが我から見たら別に大した差はないだろう。」


「そんなはずある訳ない。俺は呪い子なんだ。」


「お前はその立場を利用しているようだな。普通に生きたいのであればそう村人に伝えればいいものを。そうしないのはその立場によって多少都合がよいあるのであろう。違うか。」


少年は黙った。


「哀れだな。なら、普通の子供に戻してやろう。」


「そんなことできるはずないだろ。」


「呪いを解くことはできぬが移すことはできる。そこら辺の芋虫にでも移しておけば問題ない。」


「ふざけるな!」


「ふざけているのはどっちだ。お前が呪い子として処世をしているのであるなら何もせずに済んだ。だが、お前はとんだ天邪鬼だ。」

ヒルマはその少年に自身の身体をまとわりつけ覆った。身動きが取れなくなった少年は苦しそうにもがく。ついには意識を失いぐったりとしてしまった。


少年が目覚めたときヒルマは横たわる少年の横に立っていた。少年は起き上がり自分の顔、身体に触れて異常がないか確認した。


「どこもなっておらぬ。呪いだけは移したがな。」


ヒルマがそう言うと少年は涙がこぼれた。

「どうしてくれるんだよ・・・。俺は一体どう生きていけばいいんだよ。」


「そんなの知らぬ。お前が今までどう生きてきたのかも知らぬ。だが、もう昔のお前はいないのだ。生きるために食べて、寝て、起きて。一つの生き物として生きてみればよい。それ以上に求めるのであれば勝手にすればいい。生き物など元々生まれた時から自由だ。ただ、弱いからこそ寄り添うしかないだけだ。」


「そんな難しいこと言われても分からない。」


「分からなくていい。ただ、無力な生き物だと肝に銘じよ。」


少年は自分の掌を見つめた後で言った。

「さっき、死ぬかと思った。はじめて死ぬことが怖いと思った。だから、生きたいと思えた。俺、呪い子の力なしで何ができるだろうか。」


「人間の世情など知らぬ。せいぜい、我のような悪い魔物に会わないように臆病に生きろ。」


「変な魔王だな。そうだな・・・俺、あの村か出て行くよ。そして、放浪して生きていく。」


「勝手にしろ。もうこれで会うこともないだろう。餞別にどこか遠くへ飛ばしてやる。」


「じゃあ、カイノスに飛ばしてくれ。」


「カイノス?隣国のか?」


「あぁカイノスへ行った村人が自慢気に話していたから気になっていたんだ。だからそこがいい。」


「良かろう。達者でな。」


ヒルマは少年をカイノスに飛ばし再びこの場は静けさを取り戻した。



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