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テト  作者: 安田丘矩
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いい上司はいつだって部下を見守っている

友人と御飯に行く時ってお店選びってどうしてます?

これは自分だけなのか、結構相手の教養を見て判断してしまう所があります。

普段何を食べているのか聞いたりして、好きそうなところを選びますが

高そうな店やある程度教養が必要なお店に連れて行けるのか考えてしまう。

さいきん、歳の離れた人とご飯に行った話。

天ぷらを食べたいと言っていたのでお高い所を設定したんですが

そもそもその人天ぷら屋自体初体験だったので慣れていなかった。

逆に無理をさせてしまっただろうか、そもそも天ぷら屋自体珍しかったのか。

まぁ喜んでくれたからよかったけど、もう少し入りやすい所にすればよかったと反省してしまった。

これは気にし過ぎなのだろうか。


一方、船着場へと向かったピッチとパッチ、そしてドミニクはヒノイデク国?の使者に会いに停泊している船に到着した。木製の船だがかなり大きい。そして、船に寄り添うように赤いフリフリした魚が泳いでいた。


「この船です。」

ピッチが指を差してドミニクに言った。


「立派な船ですね。どう呼び出すのですか?」

ドミニクはピッチとパッチに言った。


「ここから大きい声で叫べばいいんだよ。」

パッチが言った後でピッチとパッチは揃って大声で呼びかけた。

「おーい!いますか!」


ピッチとパッチの声に気づいたのか甲板に誰か出てきた。

「主ら何用じゃ。」

羽織と袴を着た一本角を生やした馬顔をした鬼だった。


「こんにちは!」

ピッチとパッチはお辞儀をした。


「おっ今日はお日柄も良く。」

その鬼もお辞儀で返した。


「すみません。実は食べ物がほしいのです。」

ピッチが早速話を切り出した。


「食べ物か?ひもじいのか?」


「いえ、移民の受け入れで島の食べ物が不足するおそれがあるので物資と交換できるなら食べ物をください。」

パッチが言った。


そのやり取りを聞いてドミニクがピッチとパッチに言った。

「ピッチさんとパッチさんってそんな直球で交渉するんですね。」


「ダメなの?」

ピッチがドミニクに尋ねた。


「相手がどんな人物か分からない以上、もしかしたら不利な交渉をけしかけられる可能性もあるのでもう少し慎重に話すべきだと思うのですが。」


「そうなのか。俺たちそういう駆引きできないや。」

ピッチが言った。


「物の価値に疎いのかな。目利きもできないからそれなりの品だったら納得しちゃう。」

パッチが言った。


「生憎だが今回は食べ物になりそうなものは持ってきていない。航海の間で腐ったり傷むこともあるから普段は交易品して持ち合わせていない。」

その鬼は真摯に答えてくれた。


「そっか。ざんねん。」

ピッチががっかりした表情を浮かべ言った。


「なかなかうまくいかないね。」

パッチが困った顔をして言った。


「すまないな。頼りにしてくれたようだが力になれそうにない。」

鬼が申し訳なさそうに言い返した後ドミニクがその鬼に問いかけた。


「あの・・鬼さんの国では穀物はありますか?」


「鬼さん?我はアセビだ。穀物は米を主食として食べている。」


「米ですか?それは日持ちしますか?」


「そうだな・・精米前の玄米の状態であるなら問題ないが。ただ、こんな暖かい気候だと虫がわいたり品質が劣化する恐れがあるからこっちに持ってくるのは難しいぞ。」


「なら、氷魔法を宿した魔晶石をお渡しするのでそれで持ってきてもらうことはできませんでしょうか。」


「そんなに必要なのか。わかった。だが、再びこちらに来れても1か月後になるが。」


「構いません。船一隻満載でどれくらいですか?」


「50俵がいいとこだな。」


「すみません。50俵ってどれくらいですか。」

パッチがアセビに聞いた。


「うーん、4万・・5万個のおにぎりができるのか?」

アセビは困りながら返答した。


「おにぎり?」

ピッチが聞き返した。


「おにぎりは我が国の国民食だ。米を炊いて形を三角に形を整えて食べるのだ。」


「へぇ食べてみたいね。」

ピッチはパッチに言った。


「ねぇ食べたいね。」

パッチはピッチに言った。


「おにぎりなら船の中にあるぞ。食べるか?」

アセビはピッチとパッチに尋ねた。


「えーいいの?」

ピッチが言った。


「やったね。」

パッチが言った。


アセビは船からおにぎりを持ってきて振舞った。手のひらに収まるサイズで白くふっくらとしていた。ピッチとパッチはおそるおそる口にすると・・

「おいしい!」

ピッチとパッチは揃って言った。ほのかに塩気が効いていて柔らかい触感が心地よかった。


ドミニクも口にしてその味に驚いた。そして、アセビに問いかけた。

「この米の調理は簡単なのか?」


「窯で炊くのだが水加減と火加減が難しいかな。」


「この島でもお米作れるかな?」

ピッチが言った。


「お米もっと食べたいね。」

パッチが言った。


「田を作らないといけないぞ。水を張ってそこで栽培するんだ。ただ、この気候で栽培したことがないから上手くできるかは分からん。」


「そんなに難しいのか。できるかな?」

ピッチが少し困りながら言った。


「育てるのもおにぎりを作るのも難しいのか・・。」

パッチは腕を組んで考え始めた。


ドミニクはこのままだと話が進んでいかないと思い物資交換の話を切り出した。

「えっと、50俵の米を鉄鉱石と交換でよろしいでしょうか?生憎、アセビさんの国で鉄鉱石と米では等価がどれほどなのか分からないので必要な量を提示していただけませんか?」


「そうか、鉄鉱石を譲ってくれるのだな。インゴットに加工してあったな。だいたい1斤ほどだとして・・・6500個ほどか。」


「結構な数だね。」

ピッチがピッチに言った。


「1か月あれば何とかできそうだけど・・。」

パッチは頭を抱えた。


「分かりました。その条件でお譲りします。ただ、あのおにぎりを配給した場合、ギンガルの住人を移住させても数日しか持ちませんね。」


「俺たちも食べたい。」

ピッチとパッチは揃って言った。


「あとは、ギンガルの町で食べ物の備蓄があればいいのですが・・。その件はシルバさんに確認してもらいましょう。」


「こちらも承知した。一度国に戻って米を運んで来よう。」

アセビは嬉しそうに返した。


「アセビさん、お米の種も持ってきてほしいな。」

ピッチが言った。


「この島でも試してみたい。」

パッチが言った。


「よかろう。種もみを持ってきてやろう。」


「やったね。ベリーゴッドン様に教えてあげなくちゃ。」

ピッチが言った。


「ベリーゴッドン様、きっと喜ぶね。」

パッチが言った。


「何と微笑ましいちびちゃんたちだ。」

アセビは笑みを浮かべた。


「たぶん上司はボヤキながらしぶしぶ仕事することになるでしょうが・・。」

ドミニクはピッチとパッチの行動力がベリーゴッドンありきなものであると理解した。そして、ベリーゴッドンはこれからずっと苦労し続けるのだろうと思いながら口にするのをやめた。


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