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テト  作者: 安田丘矩
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大切なものって物質じゃなくて本当は記憶

今年はいっぱいナスを植えました。

というのは去年暑すぎてまともに育ったのはナスくらい。

キュウリは途中までいい感じに収穫できたけど夏を越えることなくダメになる。

今年も暑くなることを警戒して猛暑にも強いナスを選んだけれどどうなることやら

スナップエンドウが夏本番までもってくれると助かるんだけどなぁ

この夏本番を迎える前に庭の暑さ対策を万全にしないと

なんか、去年の暑さにやられて生育がおかしくなった植木や花があるので心配

今年は過ごしやすい夏になるといいのだが・・・

「はい、皆さん。こちらはこの島の市場です。外界から買い付けに来た魔物たちが集まり賑わっています。」

ピッチの案内に続いてパッチが言った。


「主にこの島でとれた果物をはじめ、最近では採掘された鉱石を売っています。人気なのはやはり宝石で青く透き通るサファイアがこの島ではよく採れています。」


「素敵じゃない。ダーリン、欲しいわ。」

ユリスがおねだりした。


「そうだな。最近忙しすぎてハニーに何も送ることができなかった。ここは奮発して買おうかな。」

ドミニクは財布を出した。


「嬉しい!」

ユリスはドミニクに抱き着いた。


「あぁユリス様。あとで差し上げますので買わなくて大丈夫ですよ。」

ピッチがユリスに言った。


「ピッチちゃん。そうじゃないのよ。こういうのは誰からもらうかが大切なのよ。覚えておきなさい。」


「そういうものなのですか?」

ピッチがユリスに問いかけた。


「あなたがパッチからもらったものを大切にしまっているのと同じよ。」


「そっか。」


「ピッチはあげたものをとっといてくれてるの?」

パッチがピッチに尋ねた。


「当り前だろ。安全なところに隠してあるんだ。」


「そうなんだ。俺もピッチからもらったものはちゃんと大事に隠してあるよ。」

ピッチとパッチは嬉しそうにしていると後ろからベリーゴッドンが口を出してきた。


「そのガラクタは片づけないと一掃処分するからな。」


「なんてことするんですか!ベリーゴッドン様。」

ピッチが言った。


「あんまりですよ!ベリーゴッドン様。」

パッチが言った。


「うるさい。お前らが俺の部屋に隠すからいけないだろ。」

ベリーゴッドンは2匹に言い聞かせた。


「まぁまぁその話は追々してもらって次へ案内してちょうだい。」


ユリスがピッチとパッチに言うと2匹はムスッとした顔をやめて一緒に合わせて言った。

「では、次へご案内します。」



しばらく森の中を歩きトゥンダッダ族の集落へやって来た。ここまでの道は舗装され泥濘に脚を取られることなくスムーズにやって来られた。


「こちらがトゥンダッダ族のお住まいです。高床式のお家が主流でしたが、最近は土壌改良や建築資材の工夫によって湿気を逃がし快適に過ごせるお家を作れるようになり生活が向上しています。」

ピッチが言った。


「この土地はどうしても水はけが悪く地盤が安定しているところが少ないため大きな木を柱に住居を作るかことが多かったのです。けど、ベリーゴッドン様のおかげで地盤も改善され自由にお家を建てることができました。」

パッチが言った。


「ベリーゴッドンって相変わらずこの子たちに甘いのね。」

ユリスは笑みを浮かべてベリーゴッドンに言った。


「俺は甘くない。俺は隠居のために力を貸しているだけだ。」


「へぇ・・そうなの。」

ユリスはそれ以上追求するのはやめた。


「ここで長老のチムトッパ様をご紹介します。」

ピッチがそう言うなりパッチがチムトッパの手を引いてユリスたちの前に連れてきた。


チムトッパは前に出て一礼した後で話し始めた。

「わしがチムトッパ。トゥンダッダ族の長老をしておる。」


ユリスとドミニクは頭を下げ、シルバは二人を見るなり遅れて頭を下げた。


「チムトッパ様はこの村の長を務めてもう100年くらいになるそうです。」


「もともと、こんな島の小さい村でたまたまわしが務めてきただけだ。」


「たとえ、たまたまだとしてもそれだけ村人から信頼を得てのことかと。尊敬しますわ。」

ユリスはチムトッパに言った。


「そんな大層なことはない。だが、こうやってベリーゴッドンさんが来てくれてこの島も村も見違えるほどに変わった。まぁうちの若い衆が気乗りした結果だがいい方向に変わりワシらにとっても嬉しく思う。老い先短い身、皆が健やかに暮らしていければ十分だ。」


「ご立派です。改めて私たちがこの島に踏み込むことをお許しください。」


「構わぬ。むしろ歓迎しておる。」


「ありがとうございます。ところで、チムトッパ様はこの島の人口が増えることについてどうお考えで。」


「ん?何のことだ?」


「実はある大陸では魔物の侵略によって命の危機にさらされている人間がいるの。私たちはこの島で受け入れてくれるのか確認しに来ました。」


「ほう。そんなことが。それでどれくらいいるのだ?」


「4千人ほど?」


「4千人・・・村人だけでも200もいないぞ。」


ピッチはチムトッパに話しかけた。

「チムトッパ様。この島は発展し過ぎてマンパワーが不足しているんです。

なので、できることなら受け入れたいと思っています。」


「・・・できるのか?迎える住居や暮らしていける土地さえないぞ。」


「なので、土地ごとこちらに移設を。」


チムトッパは首を傾げた。ベリーゴッドンが話に割って入ってきた。

「俺はやらねーぞ。」


「ベリーゴッドン様ひどいです。」

ピッチが言った。


「ベリーゴッドン様あんまりです。」

パッチが言った。


「上司がそんなんじゃ部下の士気に関わってくるわよ。」

ユリスは呆れながら言った。


「お前らが厄介ごとを持ち込んでいるだけだろ!」

ベリーゴッドンは怒った。


「落ち着きなさい。埒が明かないからチムトッパ様も一緒に打ち合わせをしましょう。それに今回はあなたの労力もかなり抑えられるから聞きなさい。」


「知ったことか。」

ベリーゴッドンはこの場から去ろうとした時、ピッチとパッチがその行く手を阻んだ。


「ベリーゴッドン様。話だけでも聞きましょうよ。」

ピッチが言った。


「ベリーゴッドン様。大人の対応をお願いします。」

パッチが言った。


「俺は魔物だ!」


ユリスはやれやれとしながらベリーゴッドンに言った。

「ベリーゴッドン、あなたにとっても悪い話じゃないのよ。むしろ、当初の計画よりははるかにエコロジーよ。」


「なんだよ。エコロジーって。」


「計画を話すから一先ず落ち着ける所へ。」


「ユリス様。宮殿へご案内します。」

ピッチが言った。


「俺たちのアジトだよ。」

パッチが言った。


「あらあら、そんな素敵なところに住んでいるの。凝り性は相変わらずね。」


「うるさい。」

ベリーゴッドンは深くため息を吐きブツブツと言いながら宮殿の方へ先に歩いて行った。


「気難しさは変わらないのね。あなたたちも大変ね。」

ユリスはピッチとパッチに言った。


「ベリーゴッドン様はツンデレなので大丈夫です。」

ピッチが言った。


「ベリーゴッドン様はなんだかんだでやってくれるから大丈夫です。」

パッチが言った。


「あなたたちの方が一枚上手ね。」

ユリスは感心した。


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