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テト  作者: 安田丘矩
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雲行きが怪しい時は風向きを見る

4月ですね。新しい年度がはじまって当社にも新入社員が。

初々しいと言いますか生真面目さが伝わってきます。

ふと、気づいたことが・・・高卒はいないの?

総務へ聞いてみると「高卒の子たちは大手だよ。」

あぁ・・こんな中小企業じゃまず、ネームその他諸々で負けるか・・。

世知辛いなぁ。けど、自分が高卒で同じ立場だったら給料良くて待遇もいい。

そして、将来的安定性を求めるのは至極真っ当な選択。

これから社会人デビューを果たした皆様、ご自愛くださいませ。

その晩のこと。アルヴァンの元へユリスが戻ってきた。カイノスはもうすでに寝かしつけられすやすやと眠っている。アリスもすでに部屋に戻りこの部屋にはアルヴァンとシドだけだった。


「ユリス、遅かったじゃないか。勝手にヒルマが盛り上がって大変だったぞ。」


「そりゃあ、初体験ですもの。興奮くらいするわ。それより、イレイアできな臭くなっているわよ。」


「何があったんだ。」


「王都カイノスは隕石の落下で木っ端みじんになったって知ってる。」


「あぁ・・落ちる瞬間を見てたからな。ただ本当に直撃だったのか・・外道が。それでレノヴァや皆は?」


「レノヴァは生きているわよ。」

ユリスは少し濁しながら言った。


「レノヴァは生きているってなんだよ。」


「レノヴァはとある教祖を崇める信者の代表になってたわよ。テスカトリポカを崇める者に。」


「ちょっと待て。話が読めてこない。赤い星が直撃して・・どうなっているんだ?」


「うーん・・・信者たちはこう言っていたそうよ。『悪しき赤い星から生まれた神を滅せよ。』と。」


「ケツァルコアトルはやっぱりあの中に・・・。今どこに?」


「さぁね。けど、テスカトリポカを崇めているんだったらヤツが何かを吹っ掛けたんでしょ。それで、壊滅した王都はテスカトリポカの力によって復興した。そして、今そこには黒い獣の仮面をつけたテスカトリポカがいるそうよ。」


「テスカトリポカは今じいさんの棺桶の中だぞ・・いや違う。ディオが言っていた4つあるって。」


「よくわからないけど、王都は総本山としてテスカトリポカの信仰の拠点になっているわ。そして、そこで亡くなった人々は生かされているわよ。」


「亡くなっていて生かされている?ゾンビか何かか?」


「魂を無理やり現世に留めさせられているようね。けど、いずれその魂も自我を失って魔物と同類になるわよ。」


「奴らは気持ちの悪いことを平気でしやがる。もううんざりだ。」


シドはアルヴァンに言った。

「それでいかがするおつもりですか?」


「テスカトリポカの黒いのだったか?今神と戦える力もないし、ましてや洗脳されているレノヴァだぞ。」


「しかし、その新興勢力がイレイアを侵食してやがて脅威になる日が来るかと。」


アルヴァンは何も言い返せなかった。


ユリスが口をはさんだ。

「また戦争なるの?神様ってそういうのが好きなのね。」


「余興を楽しんでいるだけだろ。あいつらは。さて、どうしたものか。せめてギンガルの皆を何とかできないか。」


「何とかって?」


「何とかは何かだ。」


「アルヴァンちゃんノープラン過ぎよ。ちなみにギンガルにはエネヴァーの配下の魔物とグラッツが駐在しているわ。何とかするにもそいつらとの交戦は避けられないわよ。」


「頭が痛いな。それに今この状況だしな。何もできねぇよ。」


するとシドはサラッと提案した。

「なら、グラッツたちをおびき寄せてここで退治するのはどうでしょう?」


「はぁ?お前言っていること分かっているのか?」


「確かに、また総動員されたらここもギンガルの二の舞になるかもしれません。けど、先の戦いで敵も消耗しています。総動員は考えにくいかと。ギンガルにいる敵だけでもおびき寄せることができればギンガルは解放することができます。」


「おまえ、すごいこと考えるな。けど、この国を巻き込むことなんてできないぞ。」


「アルヴァン様。ここにはヒルマ様がいらっしゃいます。」


ユリスは思わず笑ってしまった。

「シドちゃん。最高よ。絶対ヒルマちゃん戦うわ。それに敵襲を見事に蹴散らしたらルジェルバ国民のヒルマちゃんへの指示が一気に上がるわよ。同時に隣国にこんな脅威が存在するのであればエネヴァーは容易に侵略しに来ることもできなくなる。」


「ユリスまでそんなことを。」


「実はこのまま王女を軟禁してジェルマを呼び出しても交戦になることは避けられない。この作戦が上手くいかなかった場合、泥沼の戦争・・ヒルマちゃんがキレてパタリオス共々灰になる恐れがあるのよ。なら、脅威であるエネヴァー軍が襲ってきたことにしちゃえば向こう納得して穏便に片がつくと思うの。」


「そんな策士みたいなこと誰がやるんだ?」


「そうね・・。けど、グッドタイミングで襲いに来てもらわないと意味がないから・・。」


「そんな都合よく動いてくれる方法なんてあるのか。」


「リカルドにかんばってもらうしかないかしら。」


「あぁ・・・大活躍だな。」


「じゃあ、アルヴァンちゃんこっちのことは任せたわよ。どちらにせよジェルマが来るまでまだ全然時間があるし。私はダーリンと一緒に偵察してくるわ。」


「えぇー。」


「うだうだしない。定期連絡をしにこっちには来るから。」


アルヴァンはカエルから夫婦貝を取り出してユリスに渡した。

「あら?この貝って。アルヴァンちゃんオシャレなもの持ってるじゃない。けど、私は既婚者よ。」


「契約者の間違えなのでは。」


「いじわるね。わかったわ。これで連絡するわ。」

ユリスは再び研究所へ戻って行った。


「アルヴァン様。仮にギンガルに駐在している輩を排除したとしてそこにいる住人はどうします?」


「そうだな・・・。どっか奴らの目に届かない所へ移住させることができればいいんだが。」


「そんなところありましたっけ?」


アルヴァンは考え始めた。さすがに魔界へ連れていく事は無理だ。それに頼れる伝手さえもない。せめて、パタリオスに掛け合うこともできるがこの状況だとさすがに受け入れ難いだろう。


「そう言えばベリーゴッドン様たちはちゃんとシロモンド諸島に行けたのでしょうか?」


「あっ!忘れてた。けど、あいつら大丈夫なのか。あそこのとぅ・・・トゥンダッダ族は癖強いからな。」


「そもそも、アルヴァン様は何しにそちらへ行ったんですか?」


「えっ・・観光?」


「嘘ばっかり。」

シドは呆れながら首を振った。



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