ひとつのことを極め抜け
おなかを出したまま寝てはいけない…。
そんなことは初等部の学生でも知っていることである…。
「南無…」
私とジョゼは引潮のⅢを埋葬し、次の目的地へと向かうことにした。
命というのは皆等しく重さが等しい。
死ならば敵味方関係なく弔うのが礼儀である。
「強敵だったな…それで、お前はこれからどうする。」
さも旧知の仲であるかのように振舞うこの男、確かジョゼ…だったな。
先ほどの戦いを見ていれば分かることであるが、只者ではない。
私はこの男を利用することにした。
王国までの用心棒として役立つだろう。
「私は王国を目指す。よかったらお前も一緒に来ないか。」
ジョゼは静かに頷き、私の左手を握る。
私たちは互いに手をつないだまま、歩幅を合わせジャングルの奥地へと歩いていくのであった…。
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【引潮亭魚市場】
『伝令!伝令ィ!』
その日の引潮亭は週末でもないのにやけに騒がしかった。
当然と言えば当然である。引潮のⅢが十二勇士の一人にやられたのだ。
「バカな…引潮のⅢがやられただと…」
~引潮のⅡ~ ネズ=ホーン
「フン…」
~引潮のⅣ~ アグリメンタル
「相手は十二勇士ですか…これはただ事ではありませんねぇ…」
~引潮のξ~ ポビットポビット
『皆の者、静まりなさい。』
一人の男が静かに、だが、力強くそう言うと先程までのざわめきが嘘のように静まり返る。
『……。』
~引潮のё~ ホーリーセブン
『……。』
『……。』
『……?』
(何言おうとしてたんだっけ…)
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「南無…」
俺はこの男を見誤っていた。
この男はてっきり、自らが殺めた男に敬意を表し、死してなお辱めを受けることがないよう埋葬しているのだと思い込んでいた。
だがそれは違った。
こいつは機嫌が悪くなるとすぐ私を埋めようとするのだ。
必死に抗っても勝率は4割といったところか。
今日も抵抗むなしく私の体は首から下が全て地面に埋まっていた。
「なぁ、ジョゼ許してくれよ…勝手に転売したのは私が悪かったよ。」
確かに俺にも非はある。
数日前、俺はジョゼに無断で彼のターバンとアイスピックを売った。
大した値はつかなかったが、それでも二人分の食糧費としては十分な額を稼ぐことができた。
この男が一文無しであることを考えれば飢え死にするのは時間の問題であったため、むしろ私には感謝してほしいぐらいなのだが…どうにも考え方が合わない。彼は気難しいところがある。
「キョウトイウキョウハ、ユルサナイ」
彼が振り下ろしてくる斧を、私は必死に避け続ける。
一歩間違えれば致命傷だが、これぐらいの窮地はいままで何度も乗り越えてきた。
ある程度避け続けると、彼の行動パターンが変化する。
今回はパターンB、俺は地面から引っこ抜かれた後、ギロチン台へと拘束される。
「とほほ…」
俺は悪いことをしているつもりはないのだが…これが文化の違いだろうか。
目をつぶり断罪の時を待つ俺の首に、ゆっくりと刃が下りてきた。
今週の異世界コソコソうわさ話はお休みします。




