鮫と香辛料
ゲヘナチケットを集めろ。
右腕が食いちぎられた。
しかし俺もプロ転売ヤー。直ぐに再生を開始した。
「お前の口撃など、効かんな。具体的に言うと、ハヤシライスにカレールーを入れるくらい意味のないものだ。いや、味が少し変わっちゃうな」
「何を言っているんだ」
この鮫は口で噛むこと以外攻撃手段はない。というか、鮫全般大体そうだろう。せいぜい、鮫肌が俺の柔肌を傷つけるくらいが関の山だ。
「さすがプロの転売ヤー。単純な攻撃じゃあ死にはしないか。だがなめるなよ。十鮫月の引潮、そのⅢの歯だ。上から8番目の実力なんだぜ?」
暴虐のフェロクスを名乗る鮫(以降長いので鮫と呼ぶこととする)は口から何かを吐き出した。
胃液だ。
非常に汚い。
俺は思わずそれを避ける。するとどうだろう、避けたところの空間が歪み始めた。この胃液は空間を削り取っている!?
「これなら再生できまい。俺様の胃液は、空間を削り取る。なぜそれが出来るかは、俺様にもよくわからねえ」
これはまずい。ただの攻撃なら直ぐに再生する力はあるが、空間ごと削られてしまうといろいろとまずい。プロの転売ヤ―は、亜空間まで販売できないのだ。
「これはまずいね。これはまずいね」
大事なことは二回言うのが俺の主義だ。だから二回言った。
俺は何度も飛んでくる胃液を避けつつも作戦を考える。ダメだ、何も浮かんできやしねえ。これならクルド王国の裸祭りに参加してる方がまだマシだ。
俺が半ば生存をあきらめかけたその時、突如空から何かが飛来した。
激しい土煙と共に、そいつは現れた。
「「ターバンを巻いた人!!」」
俺と鮫の声が重なった。
そう、土煙の中からターバンを巻いたインド人らしき男が姿を見せたのだ。
「私は鮫狩り、香辛料のジョゼ。お前を殺しに来た」
「お前、強いな。その闘気でわかるぞ。貴様十二勇士の一人だな?」
「否定はしない派だ。何事も最初から否定するのはよくないからな」
ターバンを巻いたジョゼと名乗るインド人が、その手に持つアイスピックを構える。今にも鮫に襲いかかりそうだ。
刹那、鮫とインド人の姿が消えた。いや違う!
早すぎて目に映らないのだ!その場にジャキンジャキンと音が鳴り響く。その度にカレーの匂いがふわりと鼻孔をくすぐった。
そんなお腹がすくような激闘を繰り広げる二人。第一ラウンドが終わったのか。いつの間にか二人は再び相対していた。
「やはりお前は強いな。どうだ。お前も鮫にならないか? しゃべる鮫は珍しいぞ?」
「私は絶対に鮫にはならない! なぜなら、そこに愛はないからだ!」
インド人はアイスピックを後方に構える。何をする気だ。
「絶技――ターメリック斬!!!」
インド人は目にもとまらぬ速さで鮫に突撃する。アイスピックからは謎の光が漏れ出ている。
それに対し、鮫も本気を出した。
「それでこそ人間! 俺様はそんな人間を食べるのが好きなんだぁぁ!」
両者が激突する。激しい爆音と香辛料の香りで辺り一帯はクレーターと化した。
どっちが勝ったんだ!
「くはっ。この引潮のⅢの歯が……やられるとは……」
「どうやら貴様のその歯は、カレー粉で黄ばんでしまったようだな」
なんだかよくわからないけどかっけー。
次回に続く!!
チェントはイタリア語で100。




