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グッド・ウィル・カントリー  作者: 104


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4/4

キーワードは老人

 Mは自分の部屋で考えあぐねていると、視界にゴミを発見した。朝出かけにゴミ箱に投げ入れたはずの紙くずが床に転がっていたのだ。

 それを拾ってゴミ箱に捨ててみる。

 ・・・・・・何も起こらない。

 首を傾げながらMは自分の部屋を飛び出し、家中のゴミを探してみた。ホコリも発見したので拭いてみた。始めると止まらない。自然に掃除を始めていた。親に見られると「あら、珍しいわね。ついでにトイレもお願い」などと言われかねないのでこそこそと掃除し、部屋に戻った。

 

 その矢先、Mの元へ小さな幸せが舞い込んで来たのだった。


 『オーディション書類審査に関して』という一通のメールが来ていたのだ。

 携帯電話のメールはほぼ使わないMだったがあるオーディションには必要だったためメールアドレスを先方に伝えていた。

 恐る恐るそのメールを開くと、書類審査通過のお知らせだった。

 Mは飛び上がって喜んだ。

 もしかしたらゴミ拾い…いや掃除の効果?と思えてしまうほどのタイミングだった。


 何かヒントが欲しくて、また図書館にMはいた。目的もないままフラフラしていると、マラソンランナーの特集記事が目にとまった。


マラソンランナーKは○×◇×年6月23日△□区に生まれる。

父は元陸上競技の短距離選手で現在はコーチ。母は元マラソン選手。いわゆる職場結婚を果たした親を持つ。陸上一家に育ったKは英才教育を受け、小学校の頃からマラソン大会と名のつくものに出場しては優勝。18歳という若さでこの国の最高記録を作る。今まで負けなし。


 Kは親の足りなかったところを上手く補い、マラソン界の歴史を塗り替え、今でも一線をいくトップランナーとして君臨している。


 Kが優勝した時のインタビュー記事もいくつか読んでみた。すると…「私は老人を大切にということを両親から学びました。」という内容のコメントが目立った。優勝インタビューではなく「Kと老人」というキーワードで検索してみる。


☆K、老人ホーム訪問。老人介護を体験。

☆老人に席を譲ろうキャンペーンでK大活躍。

☆老人ホームから感謝状に涙のK。


 老人に優しくする。ゴミを拾う。何か共通点はあるのだろうか?

ふとMは、Mの元へ舞い込んできた小さな幸せのことを思い出した。

Mが家の掃除をした日、部屋に戻るとメールが来た。オーディションの1次審査である書類選考突破の知らせだった。


 普段しない掃除をしたら嬉しいニュースがMの元へ。

いいことをすると自分に帰ってくる。そういうことなのか?そこで、これまで調べ上げた成功者の事例を当てはめてみる。

ゴミを拾いは大統領。老人介護はトップランナー。

 しかし、共通しない部分もある。大統領は任期途中で暗殺されるが、トップランナーは未だテレビなどに引っ張りだこで国民から注目を浴びている。

 2人には決定的な違いがあった。

 Mは一時的な成功を収めたいわけじゃない。アイドルであり続けたいと考えている。だから慎重にことを進めなければならなかった。

 だが、2次審査の面接まで時間がない。

 焦る気持ちを抑え、さらに図書館で綿密に成功の秘訣を調べ上げる決意をするのだった。

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