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肝心な時に襲ってくるあいつにぞっとした件

作者: 104
掲載日:2026/08/10

 私の恐怖体験をぜひみんなと共有したい!

 きっと共感してくれる…と信じている。


 と、その前に私が独自に調査したところ、女性が男性にオナラを聞かれることに恐怖を覚えるという人がかなりいた。あくまで私の独自調査なので文句は受け付けない。これを踏まえて話を聞いてほしい。


 ある日、もしかしたら付き合うかもしれない…そんな彼とドライブへ行くことになった。出かける前から戦争だ。メイクも髪型も服装も…前日の部屋は泥棒が入ったみたいに散らかる始末…。とまぁここまでは典型的な話だと思う。


 そのある日に、ある恐怖を体験したのだ。


 私的には最善のメイクと服装でドライブにのぞんだ。ただ昼過ぎの待ち合わせが悪かった。小腹がすいてしまい家にあった大好きな干し芋を食べてしまったのだ。

 私は小腹がよくすくタイプの人間だ。なので干し芋をバッグにしのばせ、お腹が鳴る予感またはお腹が鳴ると、ちょっと補給していた。甘くて噛み応えもあってお腹も満たしてくれる干し芋は私の中で最強の食べ物だった。だから車でお腹が鳴ることを避けるため、私は家にあった干し芋を食べたのだ。干し芋をひとくち入れるとスイッチが入ってしまった。気休めなのはわかっていたがデート前だったので昨夜の夕飯を抜いたのだ。乙女心をわかって欲しい。それが最悪の状態へと導くトリガーになるなんてその時は思いもしなかったのだが。

 干し芋を食べる手が止まらない。結局、一袋の半分を食べてしまったのだ。ただこの時はお腹が鳴るという地獄から抜け出すために必死だったと言い訳させてもらいたい。


 そして、一難去ってまた一難とは、このことをいう。


 彼と初のドライブが決まったのは、電車だと移動しづらい辺鄙な場所にあるレストランへ食事にいくためだった。車の助手席は久しぶり。友達カップルの車に便乗したりする時はもちろん後部座席だし、基本、うたた寝してしまうこともあり、率先して助手席を選ぶことはしなかった。普段乗らない場所ということもあるが、やはり彼氏になるかもしれない男性の隣というのも緊張感があることは察してほしい。


 彼との出会いは、友達の結婚式。私は新婦の友人、彼は新郎の友人というよくある話だ。二次会がビュッフェスタイルの立食パーティーだった。私はローストビーフを狙っていた。それはローストビーフの前にシェフがいて、好みの量をカットしてくれるシステムだった。私が「ローストビーフ」と声をかけるほぼ同じタイミングで「ローストビーフ」という声が聞こえた。声の主を目で追うと、そこに彼がいたのだ。お互い苦笑い。食べ物の好みが似ているらしく他の料理の前でも何度も出くわしたのだ。すると、

「$#@&*のオムライスって食べたことありますか?」

「えっ!!それ私ずっと行きたかったお店です」

 意気統合するのに時間はかからなかった。

 

 以来、お互いの時間が出来ると二人で食事にと出かけた。彼はピクルスが苦手、私は辛いものが得意ではないなか、お互いのウィークポイントを補っていた。そんな共通点とともに時間を過ごしていると異性としても意識し始めたのは自然の流れだったのかもしれない。

 友達に彼の話をすると、「あんたが彼の話をするときの顔がすでに恋してる」と言われ、自覚するようになっていったのだ。仕事仲間と美味しいものを食べた時は写真を撮り彼に送っていた。彼も彼でお勧めの店や昼に食べたラーメンと短い文章を送ったりしてくれていた。


 と、ここまで話せば、これから話すことがより恐怖に感じてくれる方も多いだろう。

 何せ、もしかしたら今日、ドライブデートの最中に告白されるかもしれないと思っている私の恐怖を!


 私たちは、都内に住んでいた。車のいらない生活だ。ドライブデートの目的地は湘南江ノ島。電車で行く選択肢もあったが彼がレンタカーを借りるといいだした。私も楽だから異論はない。そうしてドライブデートが決まった。

 彼が私の家まで迎えにきてくれた。帰りはお茶をと言って部屋に招いてもいいように掃除はちゃんとしてきた。お茶も彼が好きだと言っていたコーヒー豆を買ってある。紅茶派だったが話を聞くうちに私もはまってしまったのだ。豆は彼が勧めてくれたお店のブレンドだ。のろけ話に聞こえるならそれでもかまわない。

 

 車で迎えにきた彼は何か緊張しているようだった。普段はお店近くの駅で待ち合わせしたりするくらいだったので、お店へ行くまでこんな長い時間を二人で過ごすことはなかった。それに今回が初デートだくらいにお互い思っていたのだと思う。最初は行くお店への期待を話していた。それはいつも食事をする前のルーティーンのような会話だったのですごくスムーズに。ただ渋滞にはまり車の動きも悪くなると、それまで弾んでいた会話もとぎれとぎれとなっていった。話しづらいわけじゃなくただただ緊張していたんだと思う。沈黙の時間がしだいに伸びていく。


 そんな矢先、その恐怖が襲ってきたのだ。


 ちょっとお尻のほうに違和感を覚えた。空気が集まってくるというか…これはもしかしてオナラの前兆!?私はとっさにお尻をきゅっとひきしめた。一歩間違えば音が!と思ったより早く行動にでた。結果、出すことを止めることに成功したのだ。ほっとする私がいた。

 もし次、同じような状況に陥ったらどうしよう。うまく音を出さずに…。いやいや匂いはどうする!頭の中で混乱していると、彼が異変を感じたのか?

「どうかした?」

「ん?どうもしてないよ」

「なんか顔がひきつってるように見えたから」

「きのせいきのせい、あはははは」

 鋭い!なんて鋭いんだ!なんならこの笑いも怪しまれているかもしれない。


 またお腹に違和感!きゅっとお尻引き締める。…セーフ!


 実際、出すまでどのくらいの音量かなんてわからない。そんなの予想できる人っているもの!?少なくとも私にはわからなかった。


 女性ならこの恐怖、わかってくれる人がいるだろう。いるに決まってる!


 季節は冬だった。車の中は心地よい温度だったのだが、

「ちょっと空気の入れ替えでもする?」

 えっこの言葉にはどんな意味があるの!?私がオナラをしてもいいように窓を開けろという意味!?もしかして彼は私がどんな状態なのか感づいているのか!?だとしたら超恥ずかしい!!!

 そのまま彼の提案を受け入れるか、拒むか。彼の真意がわからず悩んでいると、

「寒いよね、ちょっと目を覚ましたかったんだ」

 私の考えすぎ?それとも優しさ?

「じゃ~すこし開けよっか」

 それが精一杯の返事だった。彼は運転席側の窓をちょっとだけ開けた。すると外からの音が少し大きめに車内に入ってくる。


 またお尻に違和感!ちょっとゆるめてかすかな音を期待する考えもある。でももし大きな音が出たら、車から飛び降りてやる!大きな音という未来は、私にとって恐怖でしかなかった。


 もっと大きな音を出してごまかす方法はあるのか?レンタカーだからラジオとかつけるってのはどうだろう。曲に任せてとかそんなことは可能だろうか。

「ラジオとかつけてみる?」

 なんとか彼に聞こえるような声で提案してみた。

「あ、いいよ。どうやるんだろう…」

「私この車友達乗ってるからわかるかも…」

 嘘だ。自分でラジオをつけることに集中することで気がまぎれると思ったのだ。適当に液晶のボタンを押してみる。


 神様は私の味方だった!


 ラジオがついたのだ。

『それでは続いてこちら聞いて下さい。@$%&』

 曲名が聞き取れなかったし、聞いたことのある曲ではなかった。だが大好きな曲のていでボリュームをあげてみた。


 これでもし鳴ってもごまかせるのではと悪知恵が働く私がいた。

 と、同時にお尻の違和感が再び!


 曲にあわせて出してみるか。知らない曲だから相当のかけだ。


 お尻の力をゆっくり緩めてみる……。


 ぷ~~~とかすかに聞こえる音がした。それと同時に曲が終わり車の中が一瞬静寂に包まれた。


 やばい!もう止めることはできない。


 ぷ~~~~~~~~~~。ぷっ!


 横の彼を見ることができなかった。


 再びラジオからは音楽が流れだしたがもうそれどころではない。匂いはどうだ!?あわてて深呼吸のように息をすってみる。

 ちょっと臭い。芋のせいだろうか。


 ぷっ!ぷっ!ぷっ!ぷっ!


 もう止まらない。

 私には恐怖でしかなかった。


 もう顔をふせ黙ってしまった。


 しかし彼はそのこと(音に関して)には、ノーリアクションを貫いた。

 この後の食事のことはほぼ覚えていない。美味しかったのかもわからない。


 さいあく…の文字が頭を堂々巡りだ。


 実際、彼がその音を聞いたのか否か、その答えは藪の中。


 その後も私たちは気になるお店があれば二人でいったりしたが、進展はなかった。自分でいうのもなんだが私は奥手だ。あの事件以降、萎縮してしまった。私にとってそれだけの事件だったのだ。この怖さ本当に伝わるのだろうか。誰か一人でもいいから共感してほしい。

 

 彼とは平行線をたどっている。


 例の音でダメになったのか、そもそもそういう関係になることがなかったのかは知る由もない。


 ただあの恐怖の出来事がなければと私は思っている。


 この乙女心を誰かに共感してほしかった。


 あなたもあの音で恐怖を感じたことはありますか?

                                         おわり

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