宿坊あやかし奇憚 外伝 美弥3
『で? どうやって付いて来るのよ?』
「それは・・・このまま本体を持って行ってくれれば・・」
『えー?!荷物が増えるじゃない?』
「いや。それは仕方が無いとして・・」
『女子の荷物は多いんだからね!』
文句を言いながらも荷物整理をしている美弥は楽しそうだった
『未来。見て見て』
京都のホテルの部屋に入ると早速、荷物の中から取り出し
手の平にそっとキツネの形代である陶器像を置く美弥
「へぇ~これが美弥が探してたキツネちゃん?連れてきたんだ?」
興味津々まじまじと見る未来
『うん。・・・・伏見稲荷に行きたいんだって』
美弥は言い辛そうに切り出す
「うっ・・・; う~ん・・・」
未来はズラリと並んだ朱の鳥居が何故か苦手なのだ
それでも修学旅行2日目、伏見稲荷に行く事になった。
無理を聞いてくれた友達の未来には感謝だ
『ほら未来!ここだよ』
千本鳥居の前で美弥が手招きすると
「やっと着いた・・」
未来はその場にしゃがみ込んでしまう
『もう!これから行くんでしょー』
腰に手を当てて運動不足!と嘆いてみても苦手な物は苦手なのだろう
本殿にお参りを済ませた辺りから未来は具合が悪そうで
戻って茶屋で一休みしても一向に治らず・・
千本鳥居を見た途端、しゃがみ込んでしまったのだ
『ちょっと未来。大丈夫??』
「う~・・ダメかも・・」
『う~ん・・そう言えば体力だけが取り得のあんたが珍しいよね?』
「だけって・・・」
突っ込む未来の顔は真っ青だ
でも・・でも・・
『・・そうだ!未来は茶屋で待ってて。奥社でお参りしたら戻ってくるから』
「1人で大丈夫?」
『大丈夫だよ♪うちの狐も楽しみにしてたし・・未来こそ大丈夫?』
「うん。大丈夫・・暫く休んでから茶屋に行くよ」
『じゃぁ後で』
未来に手を振り朱の鳥居群へと足を踏み込む
「大丈夫なのか?」
気を使ったらしいキツネが美弥に話しかけてきた
『あの子が大丈夫って言うなら大丈夫よ。』
「無理してたんじゃないか?」
『そうかもしれないけど・・未来が大丈夫って言うなら必ず大丈夫になるのよ』
「・・大丈夫になる?」
『うん。自分で解決しちゃったり・・誰かが必ず助けてくれたり』
不思議なのよねぇ・・と言いながら美弥はスタスタ歩き
奥社が目の前という所までたどり着いた時
「何者か?」
突然に声がかかった・・・境内には誰も居ない。
キツネがサッと緊張する
『何者かと問う前に自分から名乗りなさいよ? てか何処?』
気にしていないのか気の強い事を言う美弥
「自分の縄張りで名乗れと言われるとはな・・」
嘆いた事を言うが気にしてない風に狐が現れ
「我は伏見に使える御使いの朱莉と申す」
と名乗った
『始めまして。美弥と使いに成れなかったキツネです』
キツネを手に変な自己紹介をすると美弥は微笑んだ
「お前・・人だろ?」
朱莉と名乗った狐は白い顔を美弥に近づけ確認する様に言った
『はい。一応・・・人ですが・・何か?』
―― まさか人だと駄目だとか?
「使いに成れなかったキツネを連れて何とする?」
『この子が来たがったので』
衒い無く理由を口にする美弥
「いや。まぁ・・そうだろうが」
連れて来たのは願いがあるからと思って聞いた朱莉は言葉に詰まる




