宿坊あやかし奇憚 ( 桃太郎 編 4 )
「桃太郎のその後を知ってるか?」
桃太郎の問いに未来はちょっと首を傾げると首を振った
『普通、鬼が島から凱旋して、爺婆と幸せにくらしました。で終わるよね?』
「あぁ。」
『その続きがあるの?』
「あぁ。・・・・聞くか?」
そう言いながら酒を1杯煽ると半蔵は重そうな口を開いた
「まぁあれは昔話だから最初から少し・・・違うんだが・・」
あれは祟神天皇の御世だった・・・
俺は考霊天皇の第3子として生まれ名を比古伊佐勢理毘古命といい
亦の名は大吉備津日子命といったんだが
「教えを受けない者があれば兵を挙げて伐つように」
天皇の命で俺は四道将軍の1人として3人の供・・
犬飼健・楽々森彦・鳥飼いの留玉臣を連れ
まずは吉備の鬼・・温羅を倒し吉備を平定した。
この時の供が後の桃太郎の犬・猿・鳥となったのだろうなぁ
そうして・・基本は話し合いで・・・逆らう者は討伐し・・・
何度目かの遠征で俺達は、ある島を訪れた。
その島を訪れて、まず吉備津日子達は島民の容姿の奇妙さに驚いた
銀髪に・・青磁の様な白い肌に赤い唇と青い瞳がやたら目立つ
―― ・・・鬼。
「ここの長と話がしたい」
船を下りると吉備津日子は近くに居る子供に声をかけた
「その昔、神が産んだとされるこの日の本は神の子孫である天皇こそが
治めるにふさわしい国。
只今、天皇は倭と呼ばれる国を中心にこの日の本を統一しようとしておられる。
従うか否か?」
吉備津日子は長に単刀直入に切り出した
「そう言われましても・・・
私達はそんなに遠くない昔、天の使いに追われこの地に逃げた。
追われ・・と言うのは語弊があるかもしれませんが・・」
「語弊とは?」
「正確には貴方達の様な使者が来る前に住処を変えたのです
私達は出雲の悲劇を知っていましたから・・・」
「国譲りか?あれは話し合いの末だろう?」
「そう言いましても事代主様は船で沈み・・
大国主様は隠世に行かれた・・・つまり2人共死を賜ったと言う事です
最後まで抵抗した建御名方様は日の本の中央の押さえとなった」
「国造は大国主の子孫と聞くが・・・」
「国造の元は娘婿・・男系としては出雲を継いでおりません」
「出雲に詳しいな」
「交流をしていましたので・・・
出雲が平定されて以来 我等は此処に移り住み、今に至ります。
それを此処から更に出て行けと言われましても行く場がありません」
「天皇は従うか否か?と聞いておるだけだ。出て行けとは言わぬ」
「そう申されても・・・我等を貴方達が受け入れられるますか?
この容姿は日の本では忌み嫌われる・・・鬼と呼ばれる事もある。
色が違うというだけで・・1つの魂に変わりはないのに・・・
日の本で我等を受け入れてくれたのは大国主様だけでした」
「それでは従わぬと?」
吉備津日子は剣に手をかけ問うと
「従ったとて・・・」
長は悲しみを湛えた顔で言葉を切った




