宿坊あやかし奇憚 ( 桃太郎 編 2 )
「み・・未来様!今のって半蔵様ですよね?!」
客室へと案内し戻ってくると早速イズナが聞いてくる
『う~ん?そうみたいね~』
のんびりと言う未来
「未来様? 驚かないんですか?」
『そりゃ・・びっくりしたけど・・何だろう?
裏口からこっそり出てって玄関から帰ってきた。みたいな?』
「みたいな・・・?」
意味が解らないとばかりに首を傾げるイズナ
『半蔵に何か考えがあるんじゃない?』
―― 私の夢と関係あるのかな?
相変わらずあの夢を見ていたが・・内容は少しづつ進んでいた
違う名前で呼ばれるのもキスを迫られるのも変わらないが
夢の中の半蔵との暮らしがはっきり捉える事が出来てた
―― 沙羅に言われたからかな・・・
未来は1ヶ月前に思いを馳せた
「そろそろ話して頂けませんか?」
ディナーに中華とケーキのバイキングを楽しんだ後
部屋でワインを注ぎながら沙羅は切り出した
『何を?』
注がれたワインを受け取りながら聞く未来
「家出の訳ですよ・・」
『いや。家出ったって・・未成年じゃないんだから・・』
咎められた子供みたいに膨れっ面な未来
「・・そんな顔も可愛いんですがね」
『どうして沙羅はそんな事をサラリと言えるの?』
「そんな事とは?」
『可愛いとか・・』
―― 聞いてるこっちが恥ずかしいんだけど;
「本当の事だからですよ?・・ドレスも似合ってますし」
―― しまった・・・余計恥ずかしくなってきた;
思わず頬を赤く染める未来
―― こちらがムードを作れば恥ずかしがりながらでも染まるんですがね・・
何故、毎日一緒に居ながら半蔵は何もしないのか?死神は首を傾げた
『そ・・それより何だっけ?』
慌てて未来は話を戻す
「だから家出の理由ですよ」
『いや。家出って言うか・・・イヤな夢を見るんだけど・・』
「イヤな夢・・・ですか?」
『うん。でも家で起きたら覚えてないの・・・
だから場所を変えたら覚えてるかな?って』
「それで・・どんな内容だったんですか?」
―― え・・・;
そうか! この流れだと内容聞いちゃうよね?
でも・・言って良いのかな?
『ぃや・・・それは・・』
「私には話し辛い内容なんですか?」
『うっ・・・』
―― お世話になっててそれは無いよね・・?
でも沙羅とキスした事あるし・・
でも・・でも・・
あのね・・半蔵にキスされる夢だったんだけど・・
未来は夢の内容を思い切って話した
「場面が変わる度・・・呼ぶ名が違う?」
『うん』
悲しげに頷く未来
「未来は輪廻を信じますか?」
『へ? 輪廻って・・・生まれ変わり?』
「えぇ。」
『う~ん?あるとは思うんだけど・・あの世もあったし・・』
何より目の前に居るのは死神なのだ
「前世の記憶かもしれませんよ?」
『え?だって・・・半蔵は半蔵のままだよ?』
―― あの男は死ねないから・・生まれ変らない。
「今度、夢を見たらその続きを考えてみて下さい。」
『続きを考える?・・・それってお話しを考えるの?』
「いいえ。思い出を思い出す様に考えるんです
未来は私と出合った日の事覚えてますか?」
『うん。お人形を置きに行った日に会ったんだよね。
沙羅の瞳の色が綺麗で・・暗くなっても髪が月みたいに輝いてた』
「そう。それと同じ風に思い出していくんですよ。
やっぱり・・あの時浚っておけば良かったですね・・」
こんな綺麗な女性に育つんですから・・・そう言うと沙羅は小さく溜め息をついた




