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宿坊あやかし奇憚  作者: あやと
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宿坊あやかし奇憚 ( 桃太郎 編1 )

「桃太郎のその後を知ってるか?」


桃太郎の問いに未来はちょっと首を傾げると首を振った


『普通、鬼が島から凱旋して、爺婆と幸せにくらしました。で終わるよね?』


「あぁ。」



桃太郎の物語は


川から流れてきた桃を持って帰り包丁で割ると元気な男の子が出てくる。のと


川から流れてきた桃を食べた爺婆が若返り、夫婦の営みの末、桃太郎を産んだ。と言うものがある


だが終わり方はどちらも未来の言うとおり幸せオチであった筈だ




『その続きがあるの?』


「あぁ。・・・・聞くか?」


そう言いながら酒を1杯煽ると桃太郎・・・いや。


桃太郎と称した半蔵は重そうな口を開いた

























「未来様?今日は半蔵様は?」


姿が見えない半蔵を訝しがりイズナが未来に聞くと


『さぁ?』と首を傾げる未来


イズナは不安顔なのだが未来に化けている為、チグハグな鏡の様だ


「さぁ?って・・・」







今朝、起きてきたら半蔵が居なかった・・・


朝御飯と共にテーブルの上には紙切れが1枚


美しい筆書で「探すな」としか書いてなかった。





―― 半蔵って字上手んだよね・・・ ってそうじゃなくて。


   探すなって・・・


   先月の私の真似・・とか? 家出って事?


   心配するな。ぐらい書いとけってーの!


   まぁ・・半蔵なら怪しい術も使えるし・・本当に心配ないけど


   今日、お客様も来るのに・・・御飯は?





半蔵よりも客と自分の御飯を心配する未来は台所をキョロキョロと見回す


ガスコンロの上には昆布を引いた土鍋


冷蔵庫には綺麗に皿に並べられた具財と豆乳が入っている




―― 鍋に入れて煮るだけになってる・・・




今日は坦々風豆乳鍋?って事は冷酒か・・でも焼酎なんてどうかな―?


そう考えながら下の段を見ると小葱を茹でクルクルと巻いたもの・・


一文字ぐるぐるが入った小鉢が2つ




―― うん。やっぱり今晩は焼酎♪


   小葱に辛子酢味噌が堪らないんだよね~♪


   楽しみ―♪



未来はにっこりと笑うと冷蔵庫を閉めた





「今日、お客様もいらっしゃるのに・・大丈夫でしょうか?」


不安げ顔で言うイズナに


『大丈夫だよ。イズナちゃん、お手伝お願いね?』


笑顔で言う未来


「はい」


イズナは釣られて笑顔になると早速、掃除を始める為出て行く




―― まぁ・・大丈夫だと思うから居ないんだろうし・・




自分が居なくても今日は大丈夫だ。と判断したから半蔵は居ないんだ


未来はそう受け取りお客を待つ事にした



―― 今日のお客様が桃太郎て・・・


   鬼の宝物でも返してくれるのかなぁ?





















「すみません」


「はーい!!」


迎えに出たイズナは客の男の顔を見て固まった




―― 半蔵様?!  ・・・;


   え?!・・・桃太郎って・・半蔵様??




「女将はいるかな?」


ぽかん・・としたイズナの顔に苦笑いを浮かべつつ客は言う


我に返ったイズナは少々お待ち下さいと言うと未来を呼びに行った





間も無く女将の顔をした未来が


『いらっしゃいませ。お待ちしておりました』


と普段客を迎える通りに頭を下げる


『どうぞお上がり下さい』


にっこり笑い客を部屋へと案内に行った





―― 半蔵様・・・だよね?




イズナは不思議顔で背中を見送るしかなかった





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