宿坊あやかし奇憚 ( 獏 編 6)
――翌朝――
「・・・。」
またしても半蔵は悪夢を見る事なく目覚めた
「ね?僕って便利でしょ?飼おうよ?」
慣れた様子で獏は枕元から話しかける
「便利ったって・・・」
半蔵はガバリと起き上がると獏の問いには答えず
さっさと朝の支度にかかる
―― 悪夢を見ない為にコイツを飼う事が・・俺にとって本当に良い事なのか?
夢というものは心理の投影ともいう
死ぬ事の出来ない半蔵は輪廻という贖罪はない
それなら・・悪夢に苛まれるのが贖罪ではないのか?
―― しかし獏と居れば・・・永遠に夢を見なくて済む・・・
未来を自由にしてやれるって事か・・
恐らく未来の輪廻の繰り返しは自分のせいだ
少なくとも半蔵はそう思い始めていた
未来の魂に自分という不死の存在が関わっているから
いつまで経っても未来はこの世での役目を終了出来ないで居る
未来は・・・それで良いのだろうか?
『ただいま――♪』
半蔵が考えに耽っていると突然に玄関から声がする
『半蔵。お土産買ってきたよ~♪』
玄関に行くと笑顔でサンドイッチの袋を掲げる未来
―― 家出でただいまって・・・しかも・・お土産付きって・・
『朝御飯まだでしょ?2人で食べよう?』
半蔵の心の突っ込みも知らず、未来はさっさと上がる
『うちってオレンジジュースあったっけ?』
オレンジが良いんだけど・・
そう言いながら廊下を行く未来を半蔵は後ろから抱き締めた
『どうしたの?何かあった?』
驚く未来
「いや。未来・・・おかえり」
『うん』
悪夢を見ても良い・・
何度繰り返しても、未来の魂を縛る事になっても
もう・・・手放せない。
獏など要らない
お疲れ様です。
短いけど投稿します
思わぬ所で半蔵が今までを振り返ったり
未来との関係を考える機会になったと思います。
多分・・
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