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宿坊あやかし奇憚  作者: あやと
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宿坊あやかし奇憚 (清姫編4)

「だから行くなって言っただろ?」


坂田は清姫に酒を注ぎながら言った


「迷ったわよ・・・でも気になるじゃない?」


清姫は悪戯っぽく笑うと坂田に寄り添う




「お前は半蔵に女が出来る度、毎回だろ」


「そうよ。半蔵、良い男じゃない」


「・・・まだ・・好きなのか?」


「え?」


「まだ半蔵の事が好きなのか?」


「えー?!私、半蔵は良い男だとは思うけど恋愛したいとは思ってないわよ?」


「はぁ?!俺はてっきり・・・まだ好きなのかと・・」



「それで貴方と一緒になる訳ないじゃない!!


 それに・・・


 何回も輪廻し続ける1人の女をずっと追いかけてるなんて・・


 私より執念深いわよw


 あんな男と恋愛したら命捕られるわ・・・」



―― 男を1人殺してるお前が言うか・・・



「じゃぁ毎回何しに半蔵の所に行くんだよ?」


「だ・か・ら~気になるのよ」


「何が?」


「本当に2人が上手く行くのか?が・・」


「壊したいの間違いじゃないのか?キスしてただろ」


「あんなのじゃ何時も壊れないじゃない。・・・妬いた?」


「妬いた」


馬鹿ねぇ・・・そう言い笑うと清姫は坂田の頬に手を添え唇を重ねた
























「お嬢。こんな時間に、こんな所で何をしてるんです?」


半蔵は外へと出ると塀に座っている未来に声をかけた


『・・・べつに』


未来は顔を上げる事無く答えたが声は鼻にかかっている



「家に入らないと。こんな所に居たら風邪を引きますよ?」




―― いつもと変わらない優しい声・・・


   どうして今日はこんなに苛々するんだろう?




『そうだね』


不意の苛立ちに戸惑いながらも未来は立ち上がり


塀を歩いてベランダ伝いに部屋へと戻った




―― 部屋に鍵をかけて・・・窓から出て来たのか?


   それにあの態度・・・何なんだ?!








―― 何で来るのよ?!半蔵の馬鹿!




ベランダでサンダルを脱ぎベッドへ・・枕を抱き寝転がるとまた泣けてくる




―― 何でこんなに涙が出るんだろう?


   こんなの・・私じゃないよ・・









「お嬢。ちょっと良いですか?」


半蔵は壊れたドアの前で一応声をかける


『ダメ。・・・早く戻りなよ』


未来は否定の声を上げると突っ伏せたままだ



「どうしたんですか?・・・何かありましたか?」



―― はぁ?!何かあったか?! 何言ってんの??


   ・・・・てか何で入って来れるの?!



苛々が止まらない未来はガバっと起き上り


半蔵が居るのに驚いた




「お嬢。・・・泣いてるのか?!」


半蔵は半蔵で未来の泣き顔に驚く




『放っておいてよ! てか何で部屋に入れるのよ!』



「いや。それは・・・それより何があったんです?」



『良いから放っておいてって!!・・さっさと戻ってよ!!』



「放って置ける訳ないだろ!」



『じゃぁ何?また私にも部屋に来いとでも言うの??


 冗談じゃないつーの!!』



「そんな事、今言ってないだろ?!」



『だったら何なのよ!!半蔵の馬鹿!』



「はぁ?馬鹿って何だよ?! 心配して来てやったんだぞ!?」



『誰も心配してくれなんて頼んでませんね!!』



「だぁぁ! 畜生!・・・」



『・・・。』





―― え・・何で・・今、キスされてるの?




半蔵は未来を抱き寄せ唇を奪う様に重ねた


何度も・・何度も・・





―― 温かい。頭がぼーっとして何か・・・フワフワして来る



  ってちょっと待って!!さっき・・・





『半蔵の馬鹿!! 他の女(ひと)とキスした後に私にしないで!!』


未来は半蔵に蹴りを入れ逃れると


『出てって!!』と戸口を指す




―― 油断した・・しかも鳩尾(みぞおち)って・・・




しかしそこで半蔵の意識は途絶えたのだった




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