宿坊あやかし奇憚#45
「ほぉ~これは大穴じゃの・・」
「死神の奴・・・まだ着いてないのか?! 何やってるんだよ!!」
その頃、爺と閻魔は判決室の大型ビジョンを見ながら野次馬に興じていた
「しかし御爺の孫って美人だな~人形みてぇ・・手足なげぇし」
「そうじゃろ。そうじゃろ。婆さんの若い頃そっくりなんじゃ」
人形と評された未来の顔はどのパーツも美しい程に精巧だが
性格が出ているのか溌溂とした表情と放っておけない可愛らしいさがある
「俺が行けば良かった・・・・orz 」
「これ以上候補はいらんがの・・」
「そんな事言うなよ~! よし!!今からでも・・」
早速・・と立ち上がる閻魔に
「閻魔様、今日は休みではありませんよ」
篁が空かさず止めに入る
「そんな~!!勿体無ぇだろ!?」
「・・・どうやら死神が着いたらしいですね」
「さてどうなるかのぉ~」
ふぉふぉふぉと笑いながら爺が言い閻魔の言葉は華麗にスルーされた
「よぉ。死神!遅いじゃねぇか?」
狗神は未来を抱いたまま声をかけた
「何をなさっているのですか?」
死神の眼は氷の様に冷たい光を帯びている
「何って・・・見れば解るだろ?」
そう言うと狗神は意地の悪い笑みを浮かべ
ジタバタ暴れる未来を離さない構えだ
「何故、こんな犬っころに好きにさせておくのです?」
死神はそのままの眼を半蔵に向け聞く
「・・・八つ当たりか?」
呆れ顔で半蔵は答えたが答えにはなっていない
「貴方なら仕方がないとして・・・」
「・・・俺なら良いのか?」
「犬よりマシですから」
「犬よりマシって! 死神お前!!」
「さっきから聞いてれば犬、犬、って煩いんだよ!!」
「犬だろ!」「犬です」
半蔵と死神が珍しくハモッた時・・
『 みんなうるさ―――――い!!!
もう! どうして静かに爺の御見送りさせてくれないのよ!!
みんな出てって!! 天狼も沙羅も半蔵も出てって!!』
―― 俺もかよ・・・
未来にキレられ仕方なく男3人は退散する事となった
「ふぉふぉふぉ!未来の勝ちじゃ」
爺は痛快に笑うと、どうじゃ?と閻魔の顔を見る
閻魔は目を皿の様にし驚き、篁は難しい顔をして米噛みを抑えた
しん・・と静まり返った部屋に1人残るとまた泣けてくる
止め処ない涙を隠す様に未来は棺にうつ伏せに突っ伏した
『 お爺・・どうして?そりゃお爺はじじぃで年寄りだったけど・・・
私より長生きなんてしないとは思ってたけど・・
突然すぎるよ?
前の晩だって普通に呑んでたのに・・・
老衰って言われたって納得できないよ
お爺元気だったし・・明日も明後日も元気だと思ってたよ
お爺・・・私・・1人になっちゃったよ・・・』
「お嬢を1人にはしないつもりですがね・・」
後ろから半蔵が静かな声で言うが未来は振り向かない
その小さな背中を半蔵はぎゅっと抱き締めた
『・・・半蔵。出てってって言ったのに』
「出て行きましたよ?戻ってきただけです」
あっさりと言うが半蔵の声音は優しげだった
「おぉ!! 遂に本命か?!」
「半蔵にあんな甲斐性があったとは・・」
「はいはい。2人共、此処までです」
篁はそう言うとリモコンで電源をOFFにした




