お掃除の時間ですよ~
『さて・・じゃぁ私はあちらの方をお掃除しますね』
片手に叩き、方手に箒を胸の前で持ち
首をちょっと傾げながら未来がニッコリと笑う
「はい・・お願いします。私は薪割りしてますから」
『は~い』
未来は張り切った様子でパタパタと駆けて行く
調子が狂うったらありゃしないんだが・・・
どこから引っ張り出したのか割烹着姿に三角巾
止めはあの笑顔・・・半蔵は頬が赤くなるのを感じた
――しかしお嬢のあの様子・・
ゴトッン・・
楢を薪割り台に乗せると、躊躇いも無く斧を振り下ろす
カーン!
いい音をたてて薪が真っ二つに割れる。
今まで手伝いを進んでやる事など・・・
いや。あったか・・・幼い頃だけだが・・
あの頃のお嬢は素直で可愛かったなぁ・・
いつも俺の後を着いて来て・・
割った半分をまた薪割り台に乗せる
カーン!
ゴトン・・・カーン!!
・・ゴトッ・・・カーン!
淡々と同じ作業を繰り返しながら考えにふけっていた時
「に゛ゃ゛――!!」
何処からか悲壮な猫の声が聞こえた
見れば白い猫がしきりに前足を舐めている
「当たったのか?!」
普段なら気配で判る筈なのに・・・
慌てて猫に近寄るとフーッと背毛を逆立てている
「ごめんな・・」
更に近寄ると逃げる素振りは見せず、フッフッと威嚇するばかりだ
・・・足を怪我してるせいか?
「手当てさせてくれないか?」
そう言い無理やり抱くと手を引っ掻かれた
「っつ・・・この猫・・」血が滲んでいる
「よしよし。2人で手当てしような」
引っ掻かれた手を舐めながら笑顔で家へと入った
『まぁ!半蔵様たいへん!!』
家に入っていくと丁度、掃除を終えた未来が見て騒ぎ立てた
「これくらい大丈夫ですよ。それより猫が・・」
『でも・・野良猫なんかより半蔵様の方が心配です』
瞳を潤ませ見つめる未来に半蔵はふっと笑う
やはり・・
「それよりお嬢。薬箱取っていただけませんか?その棚の上です」
『はい。すぐに・・半蔵様の傷の手当てしなくてはなりませんものね。』
椅子を持ってくるとその上に乗り手を伸ばす
『キャッ・・あっ・・』
箱を取ってバランスを崩した未来を半蔵が支える
「大丈夫ですか?」
『はい・・』
支える半蔵の手が温かい・・見つめる視線が真剣そうだ
見詰め合う2人・・未来は真っ赤になりながら視線を外した
『あの・・もう大丈夫です・・』
か細い声で言う未来。
ところが半蔵は尚も手を離さず耳元に口を近づける
『あの・・』
我慢出来ずに身を捩る未来
半蔵は離すまいと手にいっそう力を入れた
「お嬢・・・」
「・・・・いや。お前は誰だ!!」
突然の大声にビクリと未来が震えた
『わ・・私は未来ですよ』
「・・・その姿でか?」




