宿坊あやかし奇憚#40
「話はついたぞ。未来は還っても良いそうじゃ」
爺は帰ってくるなり半蔵に言った
「それでは私は手続きに帰ります。
あぁ・・未来ちゃんはそのままでお願いしますね
魂が戻れば元にもどりますから・・」
篁は半蔵にそう言うと爺に一礼し消えた
「おい・・爺・・」
半蔵は未来をボンヤリと見ながら爺に声をかける
「なんじゃ?」
「未来を残すのは俺の為って言うのは本当か?」
「さぁて・・・本当だったらどうするんじゃ?」
「何故・・・」
「何故?未来の世話をしてくれたからかのぉ~」
「そんな事でか?」
「そんな事と言うけどのぉ ワシは楽したしの~」
いやぁ。子供の世話はなかなか大変で・・と、ふぉふぉふぉと笑う爺
「昔・・俺が来た日を覚えているか?」
「さぁて?何かあったかの?」
「爺。お前は未来の世話が俺の為になると言ってた・・」
「そんな事言ったか?ワシも人の良い」
「あぁ。・・・それは俺が探しているのは未来だと知っていたのか?」
「知ってるも何も・・・半蔵。ワシを誰だと思おている?」
「大国主・・・」
「そうじゃ。隠世を司る神に
お前さんの事情が解らないとでも思おてか?」
「知ってて黙っていたのか?」
「本人が言わないモノを言ってどうする?
未来が運命の女子だとは気が付いてなかったようじゃがな・・」
「あぁ。気が付いたのは随分経ってからだ」
「ただ・・・お前さんの運命を未来が受け入れるかは別だがの」
「別とは・・? 今まで出会えば互いに惹かれ添ってきた女だぞ?」
「自惚れてるのぉ~。輪廻しても必ず出会い添う・・
今まではそうかもしれんが・・未来にその兆しはあるかの?」
「・・・無い・・かもしれない・・・orz 」
「そうじゃろ?未来が決める事かもしれんぞ」
複雑そうな顔の半蔵に爺は愉快そうに言う
「まぁ・・・頑張るんじゃな」
ふぉふぉと笑い部屋を出て行こうとした爺に半蔵は
「爺・・・いや。 御爺様・・有り難う御座います」
そう言うと頭を下げた
「はい。今、ケーキを買いに。えぇ・・・」
死神は端から全て買う勢いでケーキを選んでいる未来を見つめながら
電話に出ていた
「では。後程・・・」
『沙羅。お仕事?』
「いいえ。後で篁が家に来るそうです」
『あ~じゃぁ。篁さんのも買う?』
「篁も私も1個で良いですから・・もう良いですよ」
苦笑い気味に死神が言うと
『え~! 1個で良いの?』
何故、それで満足出来るのか・・不思議そうに首を傾げる未来
「えぇ。さぁ帰りましょうか?」
死神は支払いを済ませケーキが詰まった箱を2個、受け取ると未来を促す
『うん。あ!私も持つよ?』
「いいえ。女性に持たせるなんて出来ません」
―― うわぁ~女性だって・・何か・・照れる・・;
『沙羅の家って近いの?』
「えぇ。あそこに見えるマンションがそうです」
『うわ~大きい!』
―― 管理会社とかあるのかな?・・家賃どうなってるんだろう?
・・・あれ?何だか・・歩き辛い
2人で歩きながら思案していると突然に未来はある事に気が付いた
―― そうか・・沙羅の手がないから・・
死神と歩いてると何時も腰か肩に手が添えられ、未来が行きたい所に
勝手に行ってる様に見えて常にリードされ歩いていたのだ
―― 何か・・寂しいかも・・
服の端をきゅっと掴む未来
死神は未来を見てふっと微笑むと片手に箱を持ち未来の手をとり指を絡める
「たまに手を繋ぐのも良いですね」
『うん・・』
―― わぁ~!!ど・・どうしよう。ドキドキする・・




