宿坊あやかし奇憚#34
『 あ~! 沙羅♪今日は、お仕事は?』
「・・一体これは、どういう事ですか?」
死神は篁の自室に入ると未来に微笑み、篁にタブレット端末の画面を見せる
「・・・・。」
「知っていたんですか?」
「いや。・・・そんな・・馬鹿な・・」
篁は思案顔でちょっと待てと言うと携帯で誰かに連絡をとる
「未来ちゃん。急用が出来たので失礼させて頂くよ・・
死神に色々と案内してもらうと良い」
そう言うと急ぎ部屋を出て行ってしまった。
『 ねぇ沙羅。案内って・・・ここ何処?』
「あの世と呼ばれる場所です。」
『 あぁそうなんだ~。沙羅が案内してくれるの?』
―― この状況を、あぁそうなんだ~。で・・済ませますか?
「えぇ。何所か・・行きたい所はありますか?」
苦笑い混じりに死神が言うと
『 三途の川 !』
空かさず未来は言う
「じゃぁ行きましょう」
死神は当然の様に未来の腰へと手を回すと部屋を出た
「お嬢?どうですか?」
あれから半時も経った頃、半蔵は再び未来の様子を見に来た
戸口で呼びかけたが・・返事は無い
―― まだ眠っているのか・・? ・・・・いや。違う!!
半蔵は未来をかき抱くと揺さぶり声をかけた
「お嬢? お嬢?・・・未来!・・おい!! 未来っ!!」
まったく反応は無く未来の体が力なく揺れる
息もなく・・・鼓動も感じられなかった
「未来?・・・おい。目を開けろよ」
魂の気配が・・消えている・・・
「おい。未来・・・?冗談だよな?・・返事をしてくれ!!未来!!!」
必死に未来を呼ぶ半蔵の声だけが部屋に虚しく響いた
『 はい?』
未来は返事をするとキョロキョロと辺りを見回す
「未来。どうしたんですか?」
未来を抱く様に、器用な歩き方をしていた死神は訝がり聞いた
『 ん―? 半蔵に呼ばれた気がしたんだけど・・』
変なの~と言いキョロキョロしている未来
「さぁ。未来、此処が三途の川です・・」
死神は気にする風でもなくガイドをする
コバルトブルーの川面に、どこまでも続く白い空
向こう岸は見えない
『わ~♪綺麗!! 1度来て見たかったんだ―♪』
―― 一生に一度で十分だと思いますが・・・
『 ねぇ?何で空が白いのに・・川はこんなに蒼いの?』
「あぁ。未来?触ってはダメですよ
ここは欲を洗い流す川・・・清いから蒼いんです。」
『 ・・清いから蒼いんだ?
・・じゃぁ沙羅の瞳も清いから蒼いんだね?』
―― 私の蒼い瞳は邪眼ですが・・
未来が言うと清く思えるから不思議ですねぇ・・
「・・ありがとうございます」
『 何でお礼?』
「嬉しいからですよ」
死神は微笑むと未来の頬にキスをする
『 何でキス?』
顔を赤らめ質問する未来に
お礼ですよ・・と言うと、もう片方の頬にキスをする
恥ずかしさに堪らず目を閉じる未来
―― 前に教えたでしょうに・・
死神は未来の顎に手を沿え顔を上に向けさせた
―― あ――ッ!!そう言えば!!
未来は死神から言われた事を思い出しパッと目を開けたが
気にせず唇を未来の唇に重ねる死神
―― え――?! 目開けたのにっ!!
未来の反応に唇がふっと笑む形になったが死神はキスを続けた
―― は・・恥ずかしいし;・・・息が;




