宿坊あやかし奇憚#29
『ん~♪美味しい―!!』
「ねぇ・・駅弁、何個買ったのよ?」
『え~?これは、ひっぱり蛸飯でしょー。でーこれが京都牛膳
それでこれが、あなご寿司でー。これが・・・京のおばんざい』
未来は蛸飯を頬張りながら、牛膳をおかずにしている
「はぁ・・」
美弥は未来の食いっぷりに関心するばかりだった
修学旅行最終日、要は帰るだけ。
爽耶は形代に戻り、半蔵は・・・朝起きると居なかった
―― 半蔵ったらどうしたのかなぁ?
何か怪しげな術で帰れると思うけど・・・まぁ大丈夫でしょ。
う~ん?と考えたものの、解らないので取り合えず未来は
目の前の弁当を片付ける事にする
デザートは、とろける抹茶プリンだ
―― 大人気なかったか・・・
その頃、半蔵は途中放棄した家事を再開しながら考えていた
―― 未来は夢だと思っていたんだし・・
てか・・あの状況で寝るか?
あれ位の年齢だったらもっとこう・・
前の時はもう・・それなりに・・・
でもやっぱり黙って帰る事はなかったよな。
はぁぁぁ・・
反省と雑念と深い溜め息に塗れる半蔵だった
『あれ?・・・沙羅?』
「え?沙羅さん?」
『う~ん?ちょっと見てくる!!』
そう言うと未来は駆けて行ってしまう
「え~?ちょっと未来?!」
美弥が声をかけた時には、この車両から見えない所に行ってしまっていた
『沙羅!!』
「見つかってしまいましたか・・・」
未来は死神をずっと追いかけ、やっと捕まえたのは運転席の手前だった
『お仕事?・・・じゃないね?』
今日の死神はローブも着ていないし大鎌も持って居ない
細身のパンツにⅤネックのカットソーとかなりラフな格好だ
「えぇ。ちょっと・・知り合いに会いに。」
『あ・・ごめんなさい。邪魔しちゃうね』
「良いですよ」
未来なら何時だって大歓迎です・・と言いながら腰に手を回す
『今日帰るんだよ~すごい偶然だよね?』
「偶然でも無いんですけどね・・」
『え?』
「いえ。・・・立ち聞きしてないで出てきて良いですよ?」
死神は運転室に向かって言うと扉も開かないのにスーッと出てくる陰
それはムクムクと形作ると人型を成しニコリと微笑んだ




