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宿坊あやかし奇憚  作者: あやと
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宿坊あやかし奇憚#15

「ほら未来!ここだよ」


千本鳥居の前で美弥は手招きした


『やっと着いた・・』


未来はその場にしゃがみ込むと息も絶え絶えに言う


「もう!これから行くんでしょー」


美弥は腰に手を当てて未来ったら運動不足!と嘆いている



修学旅行2日目・・・



伏見稲荷にどうしても来たがった美弥のお供で来てるのだが・・


本殿にお参りを済ませた辺りから体が重い


戻って茶屋で一休みしても一向に治らず・・


千本鳥居を見た途端、吐き気がしてきた



「ちょっと未来。大丈夫??」


『う~・・ダメかも・・』


「う~ん・・そう言えば体力だけが取り得のあんたが珍しいよね?」


『だけって・・・』


青い顔をしながらも突っ込む未来


「・・そうだ!未来は茶屋で待ってて。奥社でお参りしたら戻ってくるから」


『1人で大丈夫?』


「大丈夫だよ♪うちの狐も楽しみにしてたし・・未来こそ大丈夫?」


『うん。大丈夫・・暫く休んでから茶屋に行くよ』


「じゃぁ後で」


手を振り美弥は朱の鳥居群へと消えていく





「大丈夫ですか?」


それを待っていたかの様に男の声がした


『あ・・はい』


未来はなんとか返事をし顔を上げ・・・・・驚いた


『死神・・』


「あぁ未来。大丈夫ではないですよ・・顔色が・・」


死神は未来を抱き上げると近くのベンチに座らせる


「横になった方が楽ですか?」


コクリと頷く未来を自分の膝を枕に寝かせると頭を優しく撫でた


『死神?仕事で来たの?』


「今日はオフです」



―― そう言えばローブ着てないなぁ・・・って


あれ?気持ち悪いの治ってる・・・?



『死神って神社にお参り来るんだ?』


「そうでは無いんですが・・帰ろうとしたら未来が見えたものですから・・


こんな所で会うなんて流石に驚きましたが・・」


『・・ん?修学旅行だよ』


「あぁそうですか・・何日程こちらに?」


『あと5日・・・かな?』


そうですか・・と言うと死神は笑いを堪えるように横を向いた









「さぁ未来。もう大丈夫ですよ」



―― あ・・治ってる・・・



『ありがとう』


未来は体を起こすとニコリと微笑むと


「どういたしまして」


死神もつられて微笑んだ



『あれ?ねぇ・・死神の瞳・・グリーン?前に見た時は・・』


死神をじーっと見ていた未来が段々と顔を近づける


「あぁ。あれは仕事中でしたから・・・。未来?近いですよ・・」


いくら私でも我慢できません・・と言いながら死神は頬にキスをした


「まぁ・・頬で我慢しますけどね」


『・・いっ・・今のは治療代だからね!』


未来は頬を押さえ真っ赤になりながら大声をだした


「今のが治療代でしたら・・命を救ったら未来を・・頂けるのですか?」


『い・・い・・?・・頂ける?!』



―― ど・・どういう意味?・・えーっとこの場合・・え??え――?!



「えぇ」


死神は未来の照れも楽しむ様に腰に手を回す



「え~っと・・お邪魔かな?」


『美弥ぁ~』


救いの女神とばかりに振り向くと美弥は見知らぬ男の子と一緒だった


『・・・だれ?』



―― あれ?・・この子・・・



「狐のボウヤと一緒とは・・お邪魔なのはこちらでは?」


死神の言葉に


『あぁ~美弥の所の狐ちゃん?』


未来が納得顔で頷いた


「うん。」美弥は頷くと爽耶(そうや)っていうのと嬉しそうに紹介する


紹介された爽耶はやや不機嫌気味にペコリと頭を下げた



『こっちは死神の・・・死神って名前あるの?』


「未来の好きに呼んで下さって結構ですよ」


『ん~・・・じゃぁ沙羅(さら)』


「女の子みたいじゃない?確かに美形だけど・・」


流石に美弥が突っ込む



―― 沙羅双樹・・仏陀が亡くなる時に臥床(がしょう)にあったという・・



「沙羅・・そう呼んで下さい」


死神はニッコリと笑うと頷いた



「じゃぁ・・紹介も終わったし、4人で観光しょうか?」


『えぇぇぇ?!』


美弥の提案に未来1人だけが絶叫したのだった


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