宿坊あやかし奇憚#13
『あ・・これ半蔵にいいかも?』
未来は小さなストラップを手に取った
瑠璃色の天然石が羽の形になっている・・・星を散らした様な金が綺麗だ
「それ何処でも売ってるじゃない?」
『うん・・でも・・』
「まぁ・・お土産って名目じゃないと買えないか?」
『・・・うん。』
大概、未来と半蔵は一緒に居る
未来が年頃になってからは友達との買い物までは付いてこないが
半蔵にいいな・・と思っても何と言って渡して良いか解らず買えずにいた
したがって半蔵にプレゼントなどと言うのはお土産だけなのだ・・
「それにしても・・未来の所の半蔵さんってカッコイイよね~
その辺のイケ面俳優さんも真っ青って感じよね?」
『・・はっ??・・・半蔵が?!』
「うん。って未来・・あんた・・目悪かったっけ?」
『両目2.0』
―― 幼い頃から一緒に居るにしたって・・
何度と無く見てる私でも半蔵さんカッコイイと思うけどなぁ~?
未来の美意識っていったい・・
友達の美弥はそっと溜息をついた
半蔵がここに来て13年目・・未来17歳の時
『ぎゃぁぁぁ!!寝過ごした――!?』
未来のけたたましい叫び声が宿坊に響き渡った
バタバタと階段を下り食堂へとやってくると
『半蔵!!どうして起こしてくれなかったのよ!!』
口開一番、半蔵へと文句を言う
「何度も起こしたんですがね・・・
その度にあと5分と言って寝たのは、お嬢じゃないですか」
半蔵は、しれっと言い返すと御飯を頬張る
『そう言っても普通、起こすでしょ!?
修学旅行に遅刻したらどうするのよ!!』
―― 遅刻で行けなくなっても一向に構わんが・・な
半蔵は無視を決め込むと玉子焼きに箸をつける
それを恨めしそうな顔で未来は見ると
『兎に角、行ってきます!!』
半蔵特製朝御飯に後ろ髪を引かれつつ未来は飛び出していった
『・・・修学旅行に遅刻したらどうなるんだろう?』
そう考えながらも懸命に走り
何時ものバスに飛び乗ると美弥が笑っていた
半蔵は一ヶ月前程から憂鬱だった・・
―― 修学旅行で一週間・・・?
修学旅行というものがあるのは知っていたし小学・中学にもあった。が・・
・・1週間?!・・・1週間も未来が居ない??
そう考えただけで半蔵はクラクラと眩暈に襲われた気がした
目の前が暗くなる気さえしたのだが・・
―― まさか・・行くな!とも言えないよなぁ。
「付いて行っても構わんぞ~ワシもおらんし」
爺は愉快そうに言っていたが・・・しかし・・付いて行くのも・・
しかし・・1週間眠れない・・・のは無理だろ・・
何百年もそういう夜を過ごしたのを棚に上げ半蔵は考え耽る
ここへ来てから未来と寝ると悪夢は見なかった
流石に大きくなってから一緒に寝てはいないが・・
未来が居ないと悪夢を見る事に気が付いたのは
小学校の修学旅行での3日間だった
―― あれが1週間も続く・・・ orz
半蔵の憂鬱をよそに1ヶ月が経ち・・
今日を迎え未来はドタバタと出て行ってしまった・・
どうする・・?酔い潰れて寝るか・・




