宿坊あやかし奇憚#8
――死神は未来の瞳を見た時、ヒトツの疑念を抱き・・
抱き寄せた時に愁いの原因が未来のせいでは無い事に気が付いた
「未来?親の死を自分のせいだと思ってるんですか?」
未来はコクリと頷くと死神の蒼い瞳をじっと見つめた
その瞳の蒼は海の様に深く・・どこか空の様に澄んでいた
蒼い瞳に吸い込まれる様に未来の意識が遠のく・・・・
何故か白い部屋に死神と2人きりだった
「未来は悪くありません。悪いのは邪・・・」
『・・邪?』
「そう。邪が母に憑かなければ母は邪にも魔にもならなかった・・
未来は見たままを御爺様に言っただけで、何も悪くはない・・
何も悪くないんです。ただ・・父の事は残念ですが・・」
そう言うと死神は自分も痛いという顔をした
未来は泣きながら死神の頬を撫でる
「未来は優しいですね。もう自分を責めないで下さい・・」
死神は未来の頬に唇を寄せると涙を舐めた
ビックリした未来は頬を赤く染め両手で涙をゴシゴシ拭く
「ふっ・・照れた未来も可愛いですね。・・あの男には内緒ですよ?」
死神は「シーッ」と未来の唇に人差し指を当てる
『・・・半蔵?』
「えぇ。嫉妬されかねませんからね・・」
『しっと?』
「半蔵が怒るから内緒です。解りましたか?」
『うん』
「じゃぁ戻りましょう」
死神は微笑むと今度は未来の額にキスをした
―― 何だか・・体が動かない・・・
「私の手は未来で塞がっているので、こちらには来させないで下さいね
あぁ・・それからもう少し声を落として下さい。未来が目を覚ましてしまう」
―― あれ?・・半蔵・・何か怒ってる?
ねぇ・・半蔵・・お話ししていいの?
「良いんですよ。もう未来は・・話せます」 死神が耳元で囁いた
「帰るぞ未来!!」
―― うん。帰ろう・・お家へ
「ったく・・・来たいって駄々捏ねたのはお前だろ?」
未来は両手を半蔵の首に回しコクリと頷く
「起きてたのか?」
未来はもう一度頷く
―― お話しして良いんだよね・・?でも・・言えるかな?
『は・・半蔵。あり・・が・・とう』
―― 言えた!!
『半蔵。ありがとう』
未来はハッキリ言うとニコリと笑う
「未来!!」
―― 痛いよ・・でも半蔵って温かい・・
未来もぎゅっと半蔵を抱き締めた
「私に・・お礼を言ってくれてもいいですよ?」
突然の声に見れば死神が外に出てきてこちらを見ている
「死神。お前・・何かしたのか?」
「えぇ。可憐な少女の声が聞きたかったもので」
死神はあっさりと頷いた
「あ゛ぁ?!未来に何をした?!」
「・・内緒です」
「はぁ?」
「2人の秘密ですから・・ね。」
死神は口の端を引き上げ微笑すると戻っていった
「あほか・・・」
半蔵はそれを呆れ顔で見送ると未来に笑顔を向る
「未来?もう一度、俺の名前をて呼んでくれないか?」
『半蔵・・』
―― 何だか・・半蔵、嬉しそう・・
「もう一回」
『はんぞう』
―― 半蔵が嬉しいと私も嬉しいなぁ・・
「・・もう一回」
『・・・半蔵。』
「もう1回」
『・・・・半蔵』
―― 嬉しいけど・・でも・・しつこいよ・・
「もう1回」
『・・・・。』
未来は何も言わずぺチッと半蔵の頬を叩いた
「イテッ!!・・・なぁ未来?もう1回だけ」
それでも半蔵は言い募る
『・・半蔵』
「未来・・未来・・」
名前を呼んでくれる人が居る喜びに感慨深い想いを抱きながら
半蔵は涙が流れないように天を仰いだ
薄くなる星の輝き・・瑠璃色から東雲へ変わる空・・
―― この日を絶対に忘れない
お疲れ様です。
今日は2ページ更新で
#7を半蔵目線・#8を未来目線で書いてみました
解り辛かったらすみません;




