未来の憂鬱
『・・・はぁ~』
未来は自分の部屋に戻りベットにゴロリと寝転がると溜息をついた
――鬼の血かぁ・・
お爺に言われてから未来は未来なりに考えていた
いつの時代かは聞かなかったけど
ママの親が爺と婆で・・爺と婆にも両親が居て・・・
そう考えていくと大変な数よね・・
それでも血の濃さって薄まらないモノなのかなぁ?
濃さってよりDNAってやつ?
この現代に鬼と言われても実感がない。
いや。無かった・・坂田の話しを聞くまでは
――だって本物の鬼に会った事無いんだもん
未来が視えると言えば、さっき話していた邪の他にオーラ
幽霊と呼ばれるモノと妖・・だが鬼は見たことが無い
爺の話が嘘だとは思ってないけど・・
現代でも鬼を追う者が居るとは思わなかった
坂田が斬りに来たのは邪だったけど・・
そういう依頼を頼む人が居るって事は・・鬼退治を頼む人も・・
――いつか自分も鬼として退治される事があるのかなぁ・・・
酒天童子は人に置き換えても・・まだ誘拐と殺しで罪がある
しかし桃太郎の鬼は「鬼だ」と言うだけで襲われ駆逐された
住み分けしていたにも関らず・・・だ。
『・・・。』
未来は唇をかみ締めながら、縫い包みを引き寄せるとギュ~ッと抱きしめた
――殺される・・・
未来は今まで命の危機など感じたことの無い・・普通の女子だ
事故や事件で死んでいく命をTVで見、悲しくなっても自分の事ではない
それがある日、誰とも解らない人が来て自分が殺される
――怖い・・
今まで経験のしようのない恐怖が未来を襲う
――怖いよ・・
コールタールのようにドロドロとした闇が・・死が未来を侵食していく
――死にたくない・・
不慮ではなく確実に自分を殺しに来る人間が居る
――絶対嫌だ!!・・・イヤ・・嫌ァァァァ!!
恐怖で叫び声にもならない否定は嗚咽として口から吐き出された
死という恐怖はそれだけで未来の息の根を止めるかのように絡みつく
未来は喘ぐように口を大きく開け喉元を押さえ悶え苦しむようにのた打ち回る
――く・・苦しい・・・助けて・・誰か・・は・・半蔵・・
――半蔵・・!!
未来が部屋を出た後、男2人は呑み直しとばかりに昔話と近況報告で盛り上がっていた
「・・・。」
ふっ・・と半蔵の表情が強張った。それを誤魔化す様に酒を煽り手酌で注ぐ
「半蔵?行ってもいいぜ・・」
坂田も自分のグラスに酒を開けると一気に流し込む
「すまん」
「いや。」
半蔵は坂田の返事も聞いてるか聞いてないか・・未来の元へ急いだ




