泣き虫未来
「おい。半蔵!!このジャジャウマ泣き上戸か?」
「え・・?」
坂田の声に見れば
昼から始まった2人の酒宴に加わり大人しく昔話を聞いていた未来が
流れる涙もそのままにボロボロと泣いている
「お嬢。どうしたんですか?!」
『う・・・うぅ・・っ・・・グスンッ・・グスッ
だっ・・だって・・酒天童子ったら可哀想なんだもん・・・
食べ物を食べてただけで殺されるなんて・・
ひ・・人だって馬や牛を食べるのに・・・グスッ』
「お嬢。落ち着いてください・・さぁ」
半蔵はティシュを渡し涙を拭くように促すが・・
『らって・・・だっ・・・て・・うっぅぇぇぇぇん』
今度は声を上げて泣き出してしまった
半蔵はさらにティシュ箱を渡すと子供にする様に背中を擦る
「・・・お前等・・ホント変わらないよなぁ
それで?・・話を続けていいか?」
含み笑いで2人を見つめる坂田は未来に確認する様にいう
未来はコクリと頷いた
――それから俺達は英雄扱いさ・・頼光は武人としての名声を大いに上げた
俺は・・・酒天童子の最後の声が忘れられなくてな
童子斬りと呼ばれるようになった安綱を盗み出すと都を離れた
盗み出したってこれから先・・鬼が殺されない保障はないんだが・・
酒天童子の形見みたいに思えてなぁ~
取り立ててくれた頼光様にも申し訳なかったが・・・
いや。もうその頃には申し訳ないとは思ってなかったな・・
奴等は何をどう取り繕おうが殺意をもって生き物を殺した時点で殺生戒を犯している
飢えを癒す為に人を喰らうしかなかった鬼達より・・・
奴等が偉いと誰が言える?
協力した神仏でさえ・・鬼を裁く事が出来るのか・・?
俺は疑問を抱えたまま山へと帰った
足柄山は変わらず・・母や動物達は優しく迎えてくれた
母は何も言わなかったが・・・動物達は鬼退治の話を聞きたがった
最初は無難に都で流行っている物や着物の話しなどをして誤魔化したんだが・・・
どうしても動物達に聞きたくなった事があってな
「なぁ?皆は食べる物が無くなったらどうする?」
「この山から食べ物が無くなってしまうのですか?!」
驚いた様に熊が聞く
「違うよ~食べ物がなくなっちゃったらどうするか?って話しだよ」
賢いウサギが説明する
「それなら・・他へ捕りに行きます」
熊は安堵の顔で答える
「う~ん?他に捕りに行くって・・熊さんはここから離れないの?」
リスが首を傾げながら聞く
「ここから離れても住む所がないじゃないか
熊は縄張りが広いから他の熊の所には住めないし・・・
他に移るって事は縄張り争い・・熊同士で戦うって事なんだ」
――鬼もそうだろう・・・
全ての鬼が人を喰らう訳では無いにしても・・住み分けされている・・
いや。人に駆逐されるのを恐れ、山へ逃れたのだ
人の恐怖は攻撃的に善となる
この熊だって里に下りれば・・人は驚き、恐怖し、駆逐しようとするだろう・・
例え熊がそこをたまたま通りかかっただけだとしても
熊の縄張りに後から人が住もうとも・・・
人の都合に合わせて動くのがこの世だ・・・
それを食物連鎖と一言で片付けるには
頂点に存在していると思い込んでる人間はあまりにも弱く・・
他の動物達より・・・自然より・・
知恵という「優れているもの」をもっている自負が更に人を傲慢にしていく
――俺も半分は人間だ・・・
「チッ・・」
坂田は半分の人の血に嫌悪するように短く舌打ちした
「金太郎・・自分が・・父が疎ましいかえ?」
不意に母が全てを見透かしたように坂田に聞いた
「・・・。」
――答えられる訳が無い・・
目の前に居る鬼の母と人の父が愛し合い出来たのが自分だ
人の血が疎ましいと言えば2人の・・・1人になっても自分を育てた母の愛を否定する事になる
坂田は唇の端をキツク噛み締め黙り込んだ
「 血が・・」
母が坂田の切れた唇をサラシで拭う
「悩むという事は悪いことではありませんよ」
母は諭すような優しい声で言い募る
「私のせいで貴方の生筋が変わったなどと思ってはおりません
金太郎・・・貴方は望んで私達の元にやってきた命
高名な御坊様が言っておった通り・・世に生まれる事が修行ならば
貴方が望んだ修行だと言う事・・悩み迷い・・信じる道を進みなさい」
「・・・はい。」
坂田は口を結ぶとはっきりと頷いた
お疲れ様です。
何だか今回は何かに邪魔をされてるが如く
更新が遅れました;
何故だ・・・鬼の味方をするからか?




