坂田様ご予約入りました
『半蔵・・危ない人に見えるよ?』
半蔵は先程から一振りの刀を抜き熱心に手入れ中で
珍しがった未来が眺めているところだった
「そうですか?」
涼しい顔で刃紋を見る半蔵
日本刀の刃長二尺六寸五分 80.3cm 反り鎺元にて約一寸 3.03cm
刀身の厚さ二分 約0.6cm 佩表に「安綱」二字銘が彫られている
『それにしても・・それ何か嫌な感じがするんだけど・・』
興味を示して見学しているものの未来は顔を顰めた
「お嬢の血のせいかもしれませんね・・」
『鬼の血?』
「えぇ・・この刀は童子斬り安綱と言いまして
酒天童子――鬼を斬った刀だと言われています」
『鬼を斬った刀?・・・半蔵は大丈夫なの?』
「はい。大丈夫です」
『何で?』
「何で?って・・」
何故大丈夫なのか?
不思議でたまらないという顔で自分を見る未来に苦笑いしつつ
半蔵はもう一振りの太刀を抜いて見せた
『わぁ~凄く綺麗!!』
「お嬢!危ない!!」
ダダダッと近づく未来に半蔵は声を荒げた
『うぅ・・だって綺麗なんだもん・・つい・・』
「これは妖刀と言われる刀です」
珍しくシュンとする未来をまだ睨みながら説明を続けた
「童子斬り安綱と同じような造りですが違う点は
お嬢が証明したようなものですね・・
人を魅了する力があるから妖刀と呼ばれている所以です」
『惹きつけるから妖刀?』
「はい。・・これを見てどう思いました?」
『すっごく綺麗!!』
「それが惹きつける力ですが・・これを手に取り見ていればワクワクしてくるそうです」
『ワクワクって??』
「これで人を斬ったら楽しいだろうな~とか
血の緋色を纏ったらもっと綺麗なんじゃないか?と思うそうです」
『そ・・そんな物騒な』
思わず顔が引きつる未来
「えぇ。でも戦国時代なら誰もが欲しいと思ったでしょうね」
『どうしてよ?』
「人を斬って楽しい刀は罪悪感に苛まれる必要が無いからです」
『それって・・・』
今度は思いっきり顔を顰めた未来は後に続く言葉が見つからなかった
「そういう時代の話しです」
きっぱりと言い切る半蔵
『・・・で?そんな物騒な物を出して何するのよ?』
「お嬢が知らないだけで、たまに手入れしているんですがね・・
今日いらっしゃるお客様が貸して欲しいと言う事でして
手入れをしているのです」
『坂田様?』
「えぇ」
――今日のお客様ねぇ・・
この時代に何に使うのか?疑問ではあったが
未来はもっと大きな疑問の方を口にした
『ところで半蔵・・何で家にそんな物があるの?
それって国宝とかじゃないの?国立美術館にあるような・・』
「あぁ・・美術館のは贋物です」
半蔵はあっさりと言うと刀を鞘に収めた




