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宿坊あやかし奇憚  作者: あやと
14/106

名探偵?!未来

『お食事中にお酒はいかがですか?』


食事中の亀の元に未来がやってきて聞いた


今日はワゴンに沢山の酒ではなく、紺碧(こんぺき)色の一升瓶を手に持っている


『大海酒造の海です。芋焼酎ですがフルーティーで爽やかな後味となってます』


「じゃぁもらえますか?」


『よし!・・』


「何か言いました?」


『いいえ。私も御相伴(ごしょうばん)に預かってよろしいですか?』


「勿論です。お爺様の孫さんと呑めるなんて嬉しいですよ」


『私も色々聞きたい事がありますし・・』


未来は亀の分のグラスと氷を用意すると


自分には半蔵特製、地鶏の串焼きが乗った皿と氷の入ったグラスを持ってきた


未来がお酌をすると亀は少し照れた様な顔をしてから


それを隠す様に酒を煽る


『お爺とも呑んだんですか?』


手酌で焼酎を注ぎ未来は聞いた


「えぇ。竜宮に行かないって事でしたので・・お礼に長寿酒をお持ちしました」


『長寿って・・・死んじゃいましたけど?』


「はい。一口呑めば5年・二口呑めば10年長生きし・・


三口呑めば死ぬまで生きるという代物なんですが・・・・」


『爺ったら全部呑んじゃったんでしょ?ww』


「はい」





――爺の話をしながら呑んで30分後・・・




「お~ぃおぃおぃ・・お~爺~様~!!


どうして?待っていてくれなかったのですか~!!


亀はもう一度お会いしたかったのに~」


泣き上戸だったらし亀は突然、叫びながら泣き始め


またもや半蔵が駈け付ける羽目となった


「お嬢?!どうしたんですか?」


『どうもしてないわよ?ただ爺の話しして呑んでただけ』


「・・・まだ半分も空いてないないじゃないですか?」


『うん・・泣き上戸みたいね?』


「御労(おいたわ)しい~!!お爺さま~!!」


「・・・黙らせますか?」


叫びながら泣いている亀が煩わしいのか・・拳を握り半蔵が物騒な事を言う


『まぁ待ってよ・・ねぇねぇ亀さん?』


「はい・・」


グジュグジュと鼻を鳴らしながら亀が返事をする


どうやら会話は出来そうだ


『どうして・・今までお爺に会いに来なかったんですか?』


「それは・・・」


『お爺に助けられたって言ってましたよね?』


「はい・・」グスッ


『どうして亀さんは崖の上から落ちたんでしょう?』


「そっそれは・・」


『私ある事を思いついたんです・・・違ったら違うって言って下さいね?』


未来が問うと亀は黙って頷いた


『亀さんには死にたくなる程の罪の意識があった・・・例えば・・


大切な人に隠し事をしているのが辛くなったとか・・


その人に嘘をついたけど・・悲しむ顔を毎日見るのが辛くなったとか・・


毎日・・毎日。蓄積されていく罪悪感・・日々を重ねる内に耐えられなくなった?』


亀は黙って頷いた


『そしてある日。とうとう決心して自殺を図ったけど・・死に切れなかった。


それどころか・・今際(いまわ)で生きたい!!と強く思った


自分の浅ましさを知ってしまった・・知りたくなかったのに・・


自分の命で罪を購(あがな)うつもりだったのに・・


その時、お爺に何か言われて・・


怪我が治った亀さんは竜宮に帰る事を決心して帰った


でもそこで・・罪を償うのに時間がかかったって所かしら?』


どう?と問いかける表情の未来に亀は驚きを隠せない顔で見つめている


「お嬢・・凄いですね」


半蔵もしきりに感心している


・・・半蔵ったら知ってたのね


未来はプイッと顔を背けた



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