浦島太郎さま御宿泊です
『むかし~むかし~浦島は~♪助けた亀に拉致られて~♪』
「お嬢・・・連れられて~だ。」
――お嬢・・・未来は今日の宿泊の予約者の名前を見てから、歌いながら準備中だ
その後をイズナが嬉しそうにパタパタと着いて歩く
『どっちでも良いじゃない?』
「良くない・・です」
「未来様~今日来る浦島さんって本物ですか?」
『さ~?着てみないと判らないけど・・って爺の友達らしいから
本人だったら何歳よ?って事になるわね~』
「あの・・あの・・本物だったらサイン貰っていいですか?」
イズナが嬉しそうにピョンピョン跳ねる
面食らったのは未来だ
『・・・へ?浦島太郎って有名人?』
「はい。人でありながら竜宮に行き乙姫様に会うも袖にして
尚且つ不死になったとか・・凄い方じゃないですか!!」
『何が??』
「え・・何が?って・・・・・」
不思議でたまらないって顔で質問する未来に
イズナが当惑した顔を半蔵に向ける
「・・・。」
その視線をうけつつ無視な半蔵は黙々と地鶏に串打ちしている
肩ではイズナがチラッと雌イズナを見て消えた
『半蔵!何が凄いのよ?』
「お嬢は浦島太郎の物語をどう思っているんですか?」
流石に未来に質問されてはしょうがない・・と
しぶしぶ話す半蔵だが目は串から離さない
『どうって・・・開けるなって言われたのに玉手箱を開けた大馬鹿者?』
未来の身も蓋もない意見に半蔵は苦虫を潰した表情になると
「お客様の前でそれは言わないで下さいね」
と釘を刺す
『じゃぁどう凄いのよ~?』
「凄いと言えば・・人の身でありながら竜宮城に行けたって事ですかね・・」
『海の中に行ったのが?』
「はい・・・いいえ・・」
『どっちよ?』
「はい。でもあり、いいえ。でもあるんですが・・・
浦島太郎・・住江の浦嶋子だと言われていますが
万葉集・風土記にも取り上げられる日本最古の物語だとされています
日本書紀などは別巻を用意した程なんですが現存はしていません」
串打ちした鶏に塩を振りながら半蔵は説明を始める
『半蔵・・・その話しって難しい?』
「難しくはないと思うんですが・・・」
自分から聞きたがった割りに、面倒な話しには興味を失う未来に
苦笑いしつつも半蔵は話を続けた
「まず竜宮城と言うのが海上の島であるとか、海底にあると言われてますが
この世と彼の世の中間にあるんです
蓬莱山やニナカライとも呼ばれ・・・行きたいと願っても容易には行けません
垂仁天皇の御世に田路間守が不老不死になる実・・
非時香菓を捕りに行った時は10年かかったとも言われてますが・・・
橘の実である事と彼が天日矛の末裔であった事から
行ったのは新羅だったのではないか?とも言われています」
『要するに・・浦島太郎以外は行って帰って来てないって事?』
「はい。ですからイズナが凄いと言ったのでしょう」
『人じゃないのに・・行けないの?』
「蓬莱山は蓬莱に選ばれた者にしか見えません」
『あの世って存在なら死んだら行けるんじゃない?』
「いいえ。仙人・天女の住む島ですから俗界のあの世とは違います」
『ふ~ん・・だから凄いかぁ・・』
「何か?」
『う~ん・・・仙人や天女が凄いから蓬莱山が凄い場所なんでしょ?
行った浦島が凄いのとは違う気が・・・』
未来は口を窄めてう~ん?と考えている
イズナは首をかしげると
「未来様って変わってますね・・・」
と呟いた
お疲れ様です。
短いですが投稿します
次がお客様をお迎えです




