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空手勇者〜鍛錬中毒者は武神を目指す〜  作者: がいあ


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3/7

新たな場所で目覚めて2

朝になり窓から日差しが差しこむ。

そして、目を覚ます。


「昨日は確か誕生日で祝ってもらってから……」


そう言うと、ヴェルトの目が点になり、だんだん凍りついていく。何かに気がついた。

――俺としたことが、ご飯を食べた後、鍛錬しようと思っていたのにやっていないじゃないか!

ストイックな性格は変わっておらず、

――昨日の分もやろう。

すぐに起き上がると準備体操する。

そして、目を瞑り息を整えイメージし、目の前に敵がいて襲いかかってくる。空手の型は100種類以上存在する。ヴェルトはオリジナルを含め180種類の型をマスターしている。新しい体で、すべての型を丁寧に確認しつつ正確に行った後に、もう一度息を整え目を開ける。

前世で、毎日こなし続けたルーティーンは体がしっかりと覚えている。

――この体でも技術は衰えてなくてよかった。

と安心した。

型の稽古を一通り終えると、次に高速腕立て伏せを始めるが、30回程度で上がらなくなってしまう。――うわ。なんかきっつ。

やはり、この体では前世とは同じようにいかない。

ヴェルトにとってはショックだったろう。今まで積み重ね、続けてきた努力が水の泡になってしまった。だが、凹んでる暇はない。前を向こうと思った時、ヴェルトは目を見開き眉が上がると閃いたような顔つきになった。

手をポンッと打ち


「前世のトレーニングを今のうちから繰り返していったら、最強に近づけるぞ!」


――転生できてラッキー!

一回も上がらなくなるまで腕立て伏せを行いスクワットと腹筋は攣るまで繰り返した後に、ゼインがプレゼントしてくれた靴を履く。

――あ、そうだ!ランニングのついでに村の様子を見てみよう。

玄関を開け、村の中を走り出す。

村の周りは木々が生えており、門がありその周りを木で出来た柵で囲われていて、前世に比べると狭く貧相に感じている。

村人は決して多くはない。田んぼや畑が多いたので

農民がお米や野菜を作り、狩人が熊肉や鶏肉、川魚を取り帰ってくる。

物資は基本的に自給自足でたまに行商人が来て、海魚や風邪薬、牛肉など村では手に入らない物を持ってきてくれる。お米や野菜などの村で採れたものと物々交換してお金に交換してもらったりしている。

――村の様子はわかったし、話も聞けてある程度は理解できた。

最後に全力で走って家に帰り、荒くなった息を整えて拳を握り見つめる。

――拳は絶対鍛えないとな。

だがこの村には鍛える場所がない。

頭を悩ませ辺りを見渡す。


「んー、決めた。村の周りの木を殴り続けよう」


とニッと笑い口から出た。すると、背後から聞いたことのある声が聞こえた。


「殴り続ける?」


びっくりして振り返るとゼインだった。

誤魔化さなければ変に思われてしまうと思ったが、

見透かされたようにゼインが微笑む。


「誤魔化そうとしなくても大丈夫、俺には隠さなくていいよ。木を殴り続けるんだろう?」


ヴェルトは、誤魔化すのを諦めて。


「うんそうなんだ」


と気弱な声を出した。

ゼインが不思議そうな顔をして優しい声で


「でもどうして木を殴り続けるんだい?」

「僕、最強になりたいんだ!」


ゼインは木を殴り続けて最強になるなんて空前絶後の発想だと思い、目を丸くして驚いたような顔を見せた。動揺していたがすぐに微笑んで、落ち着いた声で言った。


「じゃあ、武神にならなきゃね」


口を半開きにしてゼインを見つめる。


「武神?」

「そうだよ。武神の称号を与えられたものが最強になった証だよ」

「そうなんだ! 僕絶対武神になるね!」


そう言うと頬があがって目が細くなりニコッと笑うとゼインはヴェルトの笑顔見て笑顔になった。


「それなら時間がある時俺が相手になるよ」


と言ったくれたのだった。

ヴェルトは目をキラキラ輝かせて、ゼインを見つめる。

「ほんと?ほんとにほんと?」


ゼインは微笑み続けている。


「ほんとだよ。お前の夢は、ずっと誰よりも応援するよ」


前世からそんなこと言ってもらえたことがない。

ヴェルトは嬉しそうにしていて、満面の笑みを浮かべる。


「約束だよ!」


兄弟だからなのかそうと決まれば2人とも行動が早い。ヴェルトは道着に着替え、ゼインは鎧を脱ぎ

すぐに組み手を始めようとお互いに構え始める。

ゼインはいつもより鋭い目つきになり


「遠慮はいらないよ」

いつもとは別人のようなゼインの雰囲気に緊張が走り胸が高鳴る。


「じゃあいくよ!」


ヴェルトは勢いよく一歩を踏み出し洗練された正拳突きをゼインに向かって突き出した。すると、ゼインは4歳の拳とは思えず、一瞬戸惑ったが冷静に上手く受け流し、カウンター入れようとした。

ヴェルトはそれを避ける。一歩下がり綺麗な三日月蹴りをするが軽くいなされる。攻守攻防が繰り返し続き、ヴェルトが一瞬体勢を崩した瞬間を逃さずゼインが攻め込み、右ストレートが顔面目掛けて飛んできた。

―これはやばい。

ヴェルトは危機一髪のところでガードをしたが、


「うおわ!」

4歳の体では耐えられず飛ばされて、尻餅をつく。


「いてて」


大きすぎる差にヴェルトは困り果てて頭を掻く仕草をする。


「大丈夫かい?日が沈んできた。今日はここまでにしよう」


と微笑みながらゼインが手を差し伸べる。


「うん、ありがとう」

ゼインの手を取り立ち上がる。


「少し甘く見ていたけど、最初の1発を受けてから確信に変わったよ。ヴェルトは才能があるよ!」


ヴェルトの顔から笑みが溢れている。


「ありがとう!それにしても兄さん強すぎだよ」

「俺は一応冒険者だからね。弟にはまだ負けられないよ」


腕を組みかっこいいだろう。と言わんばかりの表情でヴェルトを横目で見る。


「え!冒険者なの!?」


ヴェルトは興味津々で胸が高鳴る。

ここまでのキラキラとした眼差しは、見たことがなかっためゼインは笑う。


「興味あるのかい?」


すごい勢いと速さで何回も頷く。


「じゃあ少し冒険者について話そうか」


と言い地面に座り始めたのでヴェルトもつられて座り出す。それを確認してから話し始める。


「冒険者は、街か王都にギルドがあるからどちらかに登録してなれる。最初は皆Fランクから始まり、クエストを受けその功績によって、冒険者ランクが上がっていく。ランクが上がるごとに受けられるクエストの幅が増える。

クエストにより報酬が分かれていて、難易度が高ければ高いほど報酬がもらえる。ちなみに、街より王都のギルドの方が、クエストの報酬も難易度も高い。ってところかな?」

「何歳からなれる?」

「16歳からなれるよ」

「兄さんは何ランクなの?」

「大したことない。SS〜Fまであるけど俺はまだCランクだよ」


――21歳でCランクってすごい方なんじゃないか?

ヴェルトは兄さんに対し聞きたかったことを、思い出した。


「そういえば、昨日森で斬撃みたいなの飛ばしてたけど、あれはなに?」

「あれは、剣にプラーナを乗せて斬撃を飛ばすんだ」

「プラーナ??」


首を傾げてじーっとゼインを見つめる。


「プラーナは生命活動に必要なエネルギーで誰しもが流れているが個人差があって、使いこなせる人間と使いこなせない人間がいる。火、水、土、風、木、光、闇の7つの属性があるよ。冒険者には絶対必要だな力だね」


ヴェルトの心はさらに躍った。目を輝かせてゼインを見つめながら


「どんなのが使えるの?」

「属性によって使い方は違うから適当なことは言えないけど、基本創意工夫だね。俺の場合は風の属性で空気の斬撃を飛ばせたり、音が他の人より聞こえるかな」


――だからあの時居場所がバレて木の枝が切れたのか。


「あとは何ができるの?」


迷った顔をして顎に手をやり頭を悩ませた。


「今言ったのくらいだけど、最近見つけたのは念動力かな?まだ試行錯誤してるところだけどね!」

「えすごい!僕にも使えるかな?」

「王都にある専門学校に行って自分の属性を知り、学べば使えるとおもうよ。冒険者は、王都の専門学校を卒業しないとなれないんだ」

「専門学校?いつから行けるの?」


ヴェルトは食いつきが凄い。興味津々なんだろうってことがわかりゼインは笑う。


「10歳で試験を受けられる。ただし、毎年受験者の3割しか受かっていない。とても厳しい試験だ。受かれば16歳まで在籍することになって、家には帰ってこれないから寮生活になる。だから、友達を作るといいんじゃないかな?パーティも組めるだろうし」


ヴェルトのさっきまでのテンションは消えてしまっていた。前世の記憶を思い出していた。俯き少し暗い表情に見える。

――6年間、しかも寮で生活……嫌気がさす。

その様子見てゼインは心配になり、ヴェルトの頭を撫でながら聞いた。


「どうしたんだい?落ち込んでるように見えたけど」

「独学では学べないの?」

「属性が分からないと厳しいと思うな」


――この世界で最強になるためにはプラーナを使えるようになることは必要不可欠だろう。どうしようかな……

「あっ」と言いなにか思いついたような顔をする。

――まだ受かってもないのになにを気にしていたんだろう。まだ、6年もあるんだ考えすぎだった。


と我に返るのだった。その様子を見ていたゼインが安心したように微笑んだ。


「そろそろ夕飯にしましょ〜」


セレンが呼んでいるのが2人に聞こえてきた。

ヴェルトとゼインの目が合い、同じタイミングで微笑む。


「さぁ帰ろう」

「うん!お腹すいたぁ〜」


と腹から息を吐き出すように言って、家に入るのだった。








 

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