33 第二次栗崎城の戦い 其の3
予想通り、吉沼の栗崎城に攻め込んで来た多賀谷勢…
重兵衛達が取って返すと、白井全洞による罠が…
果たして重兵衛は仲間達を守りきれるのか?
それでは本編をどうぞお楽しみに下さいませ...
私達は、吉沼の栗崎城に着いた…
戦況は一進一退の膠着状態に見えた…
「内蔵助以下、一番隊は城の守りをっ!三五郎以下、二番隊は私と共に最前線に斬り込むっ!!安兵衛以下、三番隊は手筈通りに頼むっ!!それでは各々方、参るぞっ!!」
おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!……………………
因みに、今回は、政重様には堀江安兵衛、道鎮殿には赤崎源蔵、外記様には片岡源左衛門、与五郎殿には不破梶右衛門、武藏守殿には磯貝十郎右衛門に各々マンツーマンで付いて貰っているのだった…
千代王と私は先陣を切って最前列に斬り込んで行った…
「おぉっ、重兵衛、参ったか?!」
「はぁっ!しかし、政重様、このような最前列では危のう御座る!」
「なぁに、このような奴等、わしと道鎮とで充分と思ったが…ほれ、あ奴の働きを見よ!」
「おぉっ、あれなるは与五郎殿っ!!」
「何と見事な若武者っぷりよのう?!」
「御立派になられましたなぁ…」
「それ、見とれてないで我等も未だ未だ負けては居られぬぞっ!!」
私は安兵衛、源蔵、梶右衛門に目配せした…
3人は頷いて持ち場に着いた…
「重兵衛、やつら、何かおかしくないか?!」
「はい…」
「攻めて来たぞと思ったら退いていき、また攻めて来たと思ったら退いていき居る…」
「確かに…下栗でも…こんな感じでした…」
「何か時間稼ぎでもしておる様じゃのう?!」
(時間稼ぎ?…確かに…しかし下栗だけなら未しも…何故…この吉沼でも……ん?!…まさか?!…しまったぁっ!!)
「政重様!道鎮殿!これは白井全洞によって仕掛けられた巧妙な罠かも知れません!!兵を退いて早く石毛城と伊古立城にお戻り下されぇっ!!」
「な…何じゃとぉっ?!」
「我々を下栗城と栗崎城に引き付けておいて、袋畑、伊古立、石毛、豊田と中央突破を狙う腹です!!」
「な…何ぃっ?!…袋畑…伊古立…石毛…豊田…中央突破だとぉっ?!」
「政重様っ!!」道鎮殿が叫んだ...
そこへ小治郎殿が来た…
「政重様、重兵衛殿の言う通りかも知れませんっ!!袋畑の北一里の処に多賀谷の軍勢が押し寄せています!!その数およそ五千!!」
「五…五千……豊田、石毛、伊古立、袋畑の勇者達は皆、急ぎ、各城に戻るのじゃ!急げぇぇぇぇぇっ!!」
「はぁっ!」「はぁっ!「はぁっ!」「はぁっ!」…………
「小治郎殿、吉沼を、外記様を、与五郎殿を頼みます!!」
「任せておけ!それより御主も袋畑へ急げ!奥方一人で心細かろう?!」
「忝ない!小治郎殿っ!御武運を!!」
「うむ!御主もな!さぁ早く参れ!!」
私は頷いて叫んだ…
「袋畑の勇者達よ!多賀谷勢の中央突破を阻止せんが為、我等はこれより袋畑城へ舞い戻る!良いな!!」
おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!……………………
私は安兵衛、源蔵、源左衛門、梶右衛門に目配せした...
四人共頷いて各々の持ち場に散っていった…
私達が袋畑城に着くと、もう敵が迫って来ていた…
城内では私の奥さんが鉢巻きを締めて薙刀を片手に指揮を執っていた…
「あっ、あなた、敵が、多賀谷が来るわっ!!」
「うん、ママは、城内を頼む!」
「はい!」
「内蔵助以下、一番隊は城の守りを堅めよっ!三五郎以下、二番隊は私と共に最前線に斬り込むっ!参るぞっ!!」
おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!……………………
私は千代王と共に最前線に斬り込んで行った…
(敵は5000……此方は200……流石にキツイよなぁ…)
(雷神様…どうか…今一度…御力をお授け下さい……)
私は天に向かって祈ってから……………………叫んだ...
「袋畑の勇者達よ!敵は大軍である…が、木偶の坊ばかりである!臆せず進めぇっ!!これ迄の修練の成果を今こそ見せる時ぞっ!袋畑侍の意気地を見せてやれぇっ!!」
おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!……………………
袋畑勢200は物凄い気迫で、多賀谷勢5000に突進していった…
やがて上空に雲が立ち込めてきて、稲光りが走った…
耳をつんざく様な雷鳴が大地に轟いた…
私は久々に、あの感覚を感じていた…
身体が熱くなってきた…
そして、私の身に纏いし黄金の甲冑から火花が激しく散り始めた…
(右京殿…見ていて下さい…あなたが…命を懸けて…守り抜いてきた…この袋畑の地を…某も…この命を懸けて…守って見せます…そして…どうか…御家来衆を…御守り下さい!)
私は太刀を抜いて天に翳した…
剣先からも火花が激しく散り始めた…
袋畑勢200は火の玉の如き気迫で、多賀谷勢5000に体当たりしていった…
この気迫に圧されて、流石の大軍も怯んだようだ…
私は火花散る剣先を大きく振り回しながら、先陣を切って千代王と共に突き進んでいった…
「ら…雷神が龍に乗って来たぞぉぉっ!!」
「雷神だぁっ!雷神様が来るぞぉっ!!」
「逃げろぉっ!!殺されるぞぉっ!!」
「逃げろ逃げろぉっ!!」……………………………
(敵勢は慌てふためいている…)
(今だ!ここで行き切るしかない!)
(敵が怯んでいる隙に一気に方を付けなければ!)
私は太刀をもう一度、大袈裟に天に翳してみた…
掌に強い振動を感じた…
剣先からは激しい炎が噴き出し始めた…
私は太刀を思いっきり前方に振り下ろした…
敵本陣まで貫通する程の炎が、大きな火の玉となって発射された…
「相変わらずやりよるのう、重兵衛?!」
いつの間にか道鎮殿が北斗王に跨がって最前線に上がって来ていた…(勿論、源蔵も一緒に…)
「ど…道鎮殿?!この様な処まで来ては危のう御座る!!」
「何を言うか重兵衛?!御主もじゃ!この機を逃すなっ!!前に道がぽっかり開いたぞ!」
「はいっ!」
「皆の衆!今じゃぁっ!!進めぇぇぇぇぇぇっ!!」
おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!…………………
恐るべし白井全洞の仕掛けた罠に嵌まりまくる重兵衛達…
あっちに行ったり、こっちに行ったりさせられます…
一体、白井全洞の真の狙いとは…?
それでは次回の「つぐみ龍の伝説」は…
『34 栗崎城の戦い 其の4』にどうぞ御期待下さい!




