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31 第二次栗崎城の戦い 其の1

10年の歳月を経て、豊田勢は強固な軍団へと変貌を遂げて参りました…


多賀谷勢が、いつ何時、何処から攻めて参ろうとも、余裕の構えを見せておりますが…


そんな折り…重兵衛は、ある確信に辿り着いたようです…


それでは皆様、本編をどうぞお楽しみ下さいませ…

政重様と道鎮殿と私は、それから10年というもの、日夜、多賀谷の吉沼攻めを想定して策を練り、吉沼の栗崎城は元より、各城に赴き、様々なパターンを想定して、静かに、しかし、着実に演習を積み重ねていった…


豊田勢は連戦連勝の影響もあってか、兵の数も着実に増えて総勢4000に達し、兵士の質も日増しに向上していった…



そんな天正元年(1573年)のとある朝…


甲斐の武田信玄公御逝去の報が入ったのは、春未だ浅い3月初旬の事だった…


「えらい事になったぞ!殿と清岩様の関係を見て、多賀谷の奴ら、勝手に当家と武田家の繋がりが深いと勘違いしておったようだが…信玄公が亡くなったと知れば、奴等、また必ず攻め込んで参りましょう…」


「左様…どうやら…重兵衛の申した通りになりそうじゃな…」


「はい…やはり、また…吉沼に攻めて参るかと…」


「うむ…しかし…ここまで、きっちり備えて参ったのじゃ…何も心配はあるまい!」


「はぁっ!」「はぁっ!しかし、油断は禁物です!」


「うむ!」




天正元年(1573年)4月、常陸藤沢城に佐竹勢が押し寄せて参りましたたが…


田土部川の戦いで、御屋形様こと小田氏治様が、佐竹勢の梶原影国、北条治高、真壁久幹らを撃退したとの知らせが届いた…


正に、ちょうどその頃、小治郎殿から多賀谷の動きが怪しいとの一報が…


「重兵衛殿、高道祖(たかさい)の白井全洞の屋敷に、入れ替わり立ち替わり侍達が出入りしておるぞっ!」


「真か、小治郎殿っ?!」


「あぁ、どうやら御主の申していた通り、奴等の狙いは吉沼のようじゃ!」


「うむ…」


「しかし、御主の助言のお陰で、これまで、たっぷりと演習を積み重ねて参ったのだから、いつでも来い!という感じじゃのう?!」


「うむ…しかし、小治郎殿、油断してはならぬ!引き続き探索を頼みます!!」


「うむ!任せろっ、重兵衛殿!!」




私は伊古立城の道鎮殿と石毛城の政重様の処へ立ち寄り、小治郎殿からの報告を各々に伝えてから、豊田城へも足を延ばし、治親様にも報告を済ませ、ノブに会っていた…


「もうあれから10年経ったね?!」


「はい!」


「クルマは見てくれてるの?」


「勿の論です!バッチリ整備してあります!!いつでも動かせますよ!」


「そうか、有り難う!きっと動かすことになるだろう…ところでノブ、これから別雷(わけいかづち)神宮に行こうと思うんだけど…一緒に来ないか?」


「はい!喜んで御供します!!」



私とノブが金村別雷(かなむらわけいかづち)神宮に着くと…


「ノブさんだ!!」


「あれ?!奥さんだ!!」


私は奥さんを呼んでおいたのだ…


「久し振り~っ!まさか戦国時代でもお会いするなんてね?!」


「はい…自分のせいで…すみません…」


「ノブのせいじゃないよ!こうなる運命だったんだよ!!それより早く例の泉の処へ行ってみよう!」


私達三人はキチンと参拝をしてから、泉の湧き出る池の前に来た…


私はスマホを取り出した…


暫くしてからブーンと音がしてスマホがフル充電になって電源が入った!!


「凄ーい!ホントに電源が入ったぁっ!!」


「ね、本当だったでしょ?!」


「うん!早くユウちゃんに電話してみましょうよ!!」


「うん!」


私はユウキにLINEでテレビ電話してみた…


…………………………………………………ブンッ…


「あっ!ユウちゃん!!」


「あっ!ママっ!!」


「ユウちゃん、元気?!」


「うん!ホントに戦国時代に居るんだ…ママも…」


「そう!ノブさんも居るんだよ!!」


「うん!あっ…えーと…父さんの…」


ユウキが気を遣って口ごもったので私が割り込んだ…


「実はこちらの10年は、令和の世の1日程なんだよね?」


「えぇぇぇぇぇっ?!本当ぉぉぉぉぉっ?!」


「はい!俺等3人が、この戦国時代にタイムスリップして来てから20年は経ってますよね…でも、ユウキ君の居る令和の世では、あの日から未だ、たったの2日間しか経ってないようなんです…」


「嘘ぉぉっ?!でも…うん、確かに…ユウちゃんったら……20年前と全然変わってないわ…」


「うん!だってこちらでは未だ、あの事故から、2日しか経ってないもん…」


「全部…本当なのね…?」


「うむ…皆、良く聞いてくれ!……こちらでは…あの日から20年経った…と言うことは…令和の時と同じ位の年齢になったと言うことだよね?……と言うことは…また…そろそろタイムスリップが起こってもおかしくないと思うんだ!…多分…何か…また…大きな…命に関わるような事が起こってね…多分…その時に…470年後の令和の世の中に戻れると思うんだ……だから、俺とママとノブは、これから常に3人で、極力、行動を共にした方が良いと思う!…今、こちらは…1573年4月……少なくとも1577年迄に何か大きな事があると思う……ユウキ、そちらは今、何時頃なのかなぁ?」


「今…昼の12時52分…」


「ユウキ、すまないが、日暮れ位迄そこに居てくれないか?!」


「うん!別にいいけど…」


「あと、もし、日が暮れてしまったら…病院に戻ってみてくれ!」


「うん、でも何で…?」


「何かあったら、また、LINEでユウキに確認したい事が有るかもしれないし…そちらの時間で…あと…4~5時間程度で…3人共…恐らく…そちらに戻れると思うんだよね…」


「えっ?そんなに早く戻れるの?!」


「令和の時間では、だよ!」


「今度の第二次栗崎城の戦いでって事ですかね?」


「いやぁ…ちょっとわからないけど…違うと思う…でも…その後…色々な事が起こると思う…そのどれかで…きっと…ユウキ、第二次栗崎城の戦いの後…何か書いてないかなぁ…?インターネットで…?」


「うん!ちょっと待って…1574年…小田城落城…梁田氏の関宿城も落城…」


「1575年は…?」


「何も無いよ…」


「豊田城も石毛城も何も無いかね?」


「うん、別に…何も…」


「そうか?!何も書いてないか?!良かったぁっ!!…」


「何が…?」


「いや…何でもない…それじゃあ、ユウキ、悪いけど暫くそこに居てくれ!皆は手筈通りに頼む!!」


「うん!」「はい!」「はい!」


                     (つづく)

信玄公御逝去の報を受け、迫り来る熾烈な戦いを前に、重兵衛は令和の時代に戻れる道筋を模索し始めていました…


しかし、何れにせよ…治親様・政重様・道鎮殿・外記様・与五郎殿の5名の御生命を守り抜かなければ、戻るに戻れないでしょう…


果して重兵衛は、5人の生命を護りきり、奥さんとノブを連れて、無事、令和の時代に戻る事が出来るのでしょうか?


それでは次回「つぐみ龍の伝説」…


『32 第二次栗崎城の戦い 其の2』に、どうぞ御期待下さい!!

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